見出し画像

肘下がりの正体とその改善方法

こんにちは。
Re-Viveの平山です。

「肘が下がっている」
「肘を上げて投げよう」

野球をしている方なら、
このような指導を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。


実際に選手のリハビリを担当していると、
「肘を上げろと言われるが、うまくいかない」という声をよく聞きます。


そこで今回は、ボールを投げる際に「肘が下がる」という現象とその改善方法について書きたいと思います。

今回の記事は、Youtubeでも同様の内容を公開していますので、
ストレッチの方法などは動画でも確認してみてください。


専門的には「肘が下がる」という現象は、「SSEライン」が崩れている状態のことを指します。

SSEラインとは、Shoulder-Shoulder-Elbowのことで両肩を通る2点と肘を結んだラインです(図1の青いライン)。
ボールをリリースする瞬間にこのラインが一直線上にあると肘にかかる負担が最小になると言われています。(今回の記事では右投げを想定して記載します)
(Matsuo, 2006)

つまり、オーバースローの選手であれば肘を高い位置に持ってくるために上半身が左へ倒れる(体幹側屈)必要があります。(図1)

画像1

                 図1

少し専門的になりますが、ボールをリリースする時に肩と体幹がどのくらいの角度であれば肘に対するストレスが小さくなるのかを調査した研究を紹介します。

この研究の結果では、ボールをリリースする際に肩は90~100°外側に開き(外転)、体幹は約10°左へ倒れている(側屈)ときに最も肘への負担(内反トルクが最小)が小さくなったと報告されています。 (Matsuo et al, 2006)

そのため、「肘下がり」に対しては、肘の位置(肩関節外転角度)だけでなく、
身体の傾き(体幹側屈)も合わせて考えなければなりません。

そして実際にSSEラインが崩れたフォームで肩や肘を痛めてしまった選手に対しては、
その選手がなぜ肘をあげられないのかについて考えていく必要があります。


まずチェックしてほしいのは、胸と脇の硬さです。

ここが硬くなると肩関節の動きを制限してしまうため、
投球動作中に肘を上げることが難しくなります。

今回は1人でも簡単にチェックできる方法をご紹介します。

脇の硬さをチェックする方法は、
図2のように両肘を体の前で合わせて上に上げていきます。

ファイル_000 (5)

              図2

両肘を離さずに鼻の上まで上げられれば問題なしです。(図3)

ファイル_001 (3)

             図3

鼻の高さまで肘を離さずに上げられないという方は、
次に紹介するストレッチを行ってみてください。

まずは四つ這いから伸ばしたい側と反対の斜め前方向に両手を伸ばして重ねます。(図4)

図4

             図4

そこから脇を横方向に押し出すようにすると(図4青矢印)、
脇が伸ばされている感覚が出てくると思います。(図5斜線部)

図5

             図5

脇が伸びている感覚が出たところでゆっくりと深呼吸を3回行いましょう。
左右3セットずつ行ってください。


続いて胸の硬さについてです。
胸の硬さは実際にストレッチを行って、その左右差で比較します。

まずは四つ這いとなって、片手を斜め前に出します。(図6)

図6

             図6

そこから肩を地面に近づけていきます。(図6青矢印)
そのときに胸の前から肩の前が伸びてくる感覚があればうまくできています。(図7斜線部)

図7

             図7

こちらも伸びている感覚が出たところで深呼吸を3回行いましょう。
先ほどと同じように左右それぞれ3セットずつ行ってください。


特にピッチャーなど投球数が多い選手ほど利き手側が硬くなりやすいです。

上記の硬さが肘下がりに関係していると考えられる場合、
今回ご紹介した2つのストレッチを練習前や練習後、寝る前など頻度を多く行ってみてください。

特に練習前に上記のストレッチをすることで投げやすく感じる選手の場合は、
肩周りの硬さが肘下がりの原因になっているかもしれません。

続いて、体幹の左への傾斜(体幹左側屈)が少ないために「見た目上」肘が下がって見える選手について。

柔軟性はあるのに「肘が下がっている」と言われているピッチャーは、
上半身を使わずに腕だけで投げようとした結果、SSEラインが崩れて「肘下がり」と言われているケースが多いです。

このような選手の場合は、椅子に座ったまま上半身だけで投げる座位スロー(図8、田中ら, 2020)や足をそろえたままキャッチボールをする正面投げ(図9)などがおすすめです。

座位スロー

               図8

図9

              図9

下半身を使えない状態で投げることで、
肩と背骨や肋骨が連動した動きを引き出していきます。

あまり近すぎると腕だけでも投げることができてしまうので、
慣れてきたら少しずつ距離を遠くしていきます。

これらの練習では、リリース時の腕の動きに体幹の側屈が連動することでSSEラインを一直線にすることを目指します。

感覚がわかってきたら、普通のキャッチボールでも同じような感覚で投げられるように練習していきましょう。

今回は、野球においてよく耳にする、
「肘下がり」についてお話しさせていただきました。

「肘下がり」という見た目は同じ現象でも、
肩周りの硬さが原因である選手もいれば、投げ方が原因の選手もいます。


原因が違えば、解決策も違ってきます。

肘下がりでお困りの選手は、
SSEラインと肩周りの柔軟性をチェックして、ご自身の原因を探ってみてください。


原因がわかれば、おのずとやるべきことも見えてきます。

肘も肩も痛くない状態で、野球そのものを楽しめるようになるといいですね。


次回は、肘下がりと同じくらい悩んでいる選手が多い、
身体の開きについて書いていきたいと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

YoutubeやInstagramでも情報発信していますので、
ご興味のある方はぜひご覧ください。

instagram

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!
国立でプロスポーツ選手から小学生まで幅広くサポートしてます。 リハビリ、トレーニング施設を運営。 HPはこちら http://reviveconditioning.com/