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「えっ、そういう意味じゃないのに!」から卒業する論理力トレーニング/論理トレーニング101題

「論理的に考える力をつけたい」
「もっと説得力のある文章を書けるようになりたい」

こうした思いを抱えながらも、具体的にどう学べばよいのか悩んでいる方は少なくないでしょう。本記事では、論理力を飛躍的に高めてくれる良書『論理トレーニング101題』を紹介したいと思います。

タイトルだけ見ると何やら難しそうな印象を受けるかもしれません。しかしご安心を。本書は論理学の重厚な理論書ではありません。むしろ、私たちの身近にある文章を題材にしながら、実践的に論理力を鍛えていく演習本です。

全体は大きく2部構成になっています。前半の「議論を読む」パートでは、主に文章の論理構造の読み解き方を学びます。後半の「論証する」パートでは、自分の主張に説得力を持たせるための論証の技法を身につけていきます。

本書の最大の特長は、なんといっても豊富な練習問題の数々です。全部で101題あり、評論や新聞記事、小説など、実に様々なジャンルの文章が取り上げられています。机上の空論ではなく、私たちに身近な"生きた文章"で論理のエッセンスを学べるのは嬉しいポイントです。

それぞれの問題には、丁寧な解説もついています。たとえば接続表現の使い方一つとっても、筆者は実に細やかに論じます。

『むしろ』は、直前の文の内容を軽んじて、重大な事柄を述べるときに使う

『したがって』は、前の文を根拠として後の文の内容を帰結するときに使う

などなど、日本語のニュアンスにまで掘り下げた考察は、なるほどと膝を打つこと間違いなしです。

前半の「議論を読む」では、主張と根拠を整理しながら、筆者の主張を正確に読み解く練習をします。

本書を読み進めるうちに、何気なく目にする文章の端々から、筆者の主張が見えてくるようになるはずです。接続表現などの細部に目を凝らせば凝らすほど、議論の骨格がくっきりと浮かび上がってくる。そんな体験が味わえます。

後半の「論証する」では、議論を批判的に吟味する方法を学びます。ここが最も実践的なパートです。相手の主張の論拠を見抜き、その妥当性を問う。反論に対する再反論を想定し、備える。日常の議論でもビジネスの場でも、こうした論理的思考力は大いに役立つはずです。

本書のAmazonレビューを見ても、本書に対する評価の高さがわかります。

「これまでモヤモヤとしか感じられなかった"文章のおかしさ"の正体が見えるようになりました」

「ロジカルライティングの仕事でとても役立っています。説得力のある企画書を書く自信がつきました」

「難解そうと尻込みしていましたが、筆者の明快な語り口ですんなり読み進められました。論理的思考の基礎体力が着実についた手応えがあります」

もちろん、内容に関しては賛否両論あるようです。例文が難解すぎる、もう少し平易な問題のほうが親しみやすい、といった声も見られました。確かに私もある程度の読解力がないと読みにくいと思われる部分がいくつかあると感じました。

ただ、論理力の獲得に王道はありません。地道に積み重ねていくしかないのです。本書に真摯に向き合えば、必ず着実な力がついていくはずです。

現代は情報があふれ、自分の頭で考える力が一層問われる時代といえるでしょう。ネットや書籍、論文や報告書。私たちの目に飛び込んでくる文章は日々膨大な量に上ります。それらを批判的に読み解き、自分なりの考えを発信する。そのために不可欠なのが、論理的思考力にほかなりません。

ビジネスの場面を想像してみてください。あなたは取引先に企画書を提出しようとしています。この企画の優位性を示し、提携を勝ち取るには、論理の力が物を言います。主張とその根拠を明快に示し、相手を説得する。ロジカルシンキングが出来るか出来ないかで、ビジネスの成否が分かれることはとても多いです。

思考力は、筋肉と同じ。使わなければ退化の一途をたどります。反対に、鍛錬を重ねていけば、大きな武器にもなります。だからこそ、日々の地道なトレーニングが大事です。通勤電車の中で、休日の休憩時間に。スキマ時間を活用して、着実に思考の筋力をつけていきましょう。

論理的思考力は、教養であると同時に、現代社会を生き抜く武器でもあります。ただ知識を詰め込むだけではなく、自分で考え、判断し、表現する力を身につけること。本書は、まさにそのための道しるべとなってくれるでしょう。

論理トレーニング101題(Amazon)


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