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新しい経営の教科書

最近、本を読むことを怠けていたが、ようやく再開できた。滞っていた理由がいくつかあるが、最大の理由は「本を買っていなかったこと」に尽きる。買っていないのだから読めなくて当たり前だ、という話なのだが、意外と「これ、買っていいものだろうか…」と、躊躇することがよくある。

今回は、岩田松雄さんの「今までの経営書には書いていない 新しい経営の教科書」である。

よくある分析ツールの話や小難しいカタカナ語の説明はない。どちらかというと心構え、気を付けるべきことなどが中心に展開されている。一見すると、こういう意識で経営している人ってそんなにいないのかな?と思ったが、徹底しきれていないのかもしれないなと思わされた。

例えば「現場」という言葉はできるだけ使わないようにしていました。「現場」という言葉に、何か上から目線な印象を持つのです。(中略)だいたいどの社長さんも「現場が一番大切だ」と言うのですが、本当にそう思うのなら、呼び方から注意すべきだと私は思います。

本書26章より

言葉には言霊が宿るということは本書でも書いてあるが、言い方一つとっても注意を向けるべきということである。たしかに、無意識のうちに選んでいる言葉が、実はその後の行動を決めてしまっていることはある。先日も"呼称の問題"で書いたが、敬称を選ぶ段階でも人間は相手のことをどう捉えているかがわかってしまう。これは、立場が上になればなるほど気を付けねばならないことなんだろうと思う。経営者と従業員では、普通に接していたらどうやっても経営者側が優位になってしまう。だから、普通でなく、過度なくらいに丁寧にして初めて対等な感じが出る(それでも対等にはならないだろうが)のだと思う。

一方で、著者はオーナーの意識にはなれないと正直に書いている。3社も社長を務めた人がそういうのだから、オーナーの意識というのは、本当に抜けているものがあるのだろう。これは誰でも応用できそうな考え方で、たとえば、あの人のようになりたいと思う人がいるとする。しかし、やはり他人である以上、同じにはなれない。それならば、接し方を真似してみるとか、もしあの人ならどう答えるだろうか?とか、方向性だけでも合わせることくらいはできそうである。

経営者の仕事というのは本当に多岐に渡ることがよくわかる一冊である。数々の会社を渡り歩いて経験されたことが凝縮された内容になっていると思う。

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