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【簡単あらすじ】777(微ネタバレ)【伊坂幸太郎/角川書店】

『はじめに』
今年は暖冬と言われていますが、突然雪が降ったりポカポカ陽気になったりと、体調を崩しやすい日が続いております。しかし、部屋で読書に勤しむことはそういった外の気候が全く関係ありませんので、最近読んで印象に残ったり、買ったまま積んでいたりした本の感想を書こうと思います。
このレビューを読んだことで、作品や著者に少しでも興味を持って頂ける内容にしたと思いながら書いていますが、登場人物やぼんやりしたあらすじなど、『微ネタバレ要素』を含む記載がありますので、その点にご注意ください。

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伊坂幸太郎さんの二年ぶりの完全書下ろし

さらに私の大好きな殺し屋シリーズ・その中でも大好きなマリアビートルの続編

ということですので、発売まもなくこの本を購入してから、この本のレビューで2023年を締めくくるということを決めておりました。

当然全く本を開き・内容を見ようとしませんでしたし、何とかしてネタバレにも引っ掛からないようにしてはや約3か月。

満を持して読み始めたのが、2023年12月31日午前9時。

今これを書いているのが11時30分ということで、わずか2時間半で一気読みしてしまうほど、期待に違わぬ内容でした。

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今回は、宿泊すると幸せな気持ちになるから『死にたくても死ねないホテル』と呼ばれるウィントンパレスというホテルが舞台です。

登場するのは、

天道虫・七尾と仲介者・真莉亜
逃走中の女性・紙野裕花と逃がし屋・ココ
清掃業者・マクラとモウフ
爆発物処理に堪能な高良(コーラ)と奏田(ソーダ)
情報局(日本版CIA)長官・蓬と秘書・佐藤


など、殺し屋シリーズでは有名なキャラクターから、新キャラまで多くの魅力的なキャラクターたち。

主人公の七尾は、

・白いジーンズを購入すると、穿いた初日に車がはねた水で汚れ、
・スーパーのレジに並べば、自分の列の進みは遅く、
・荷物を運ぶだけの仕事で新幹線に乗れば、停車駅で屈強な男たちに押し戻されてしまう。

など、プライベートでも仕事でも読者が可哀そうになるくらいの不運に巻き込まれ、自分自身が不運体質と理解してはいるのですが、前作マリアビートルも今回も、不運に巻き込まれそれが発展してしまったことの一因は自分で作ってしまっているので(本人も理解しているので)、「正真正銘の恩知らず」にならないよう、本作でも目の前の出来事に対し出来る限り奮闘します

本作は殺し屋が二桁以上登場する作品ですので、当然殺し合いの現場が記述されているのですが、それがまるでスポーツのように・空手の型やダンスのようにスムーズに流れるイメージが出来るところが見どころです。

個人的には、殺し屋同士の戦いが「ホテルの一室のような狭い(=自由に動けない)空間」で、「熱湯やシャンプーなど日常生活で使う商品で、特殊な道具を使わない」ところが好みです。

ですので、少年マンガやドラマのように派手なシーンにはなりませんが、そういったところを気に入る方も多いと思います。

また、いつも伊坂幸太郎さんの作品の締めで記述しているのですが、今回の777も「多くの殺人が行われているが生理的に受け付けないような描写はほとんどなく、様々な人物と清々しい読了感を味わえる」作品でした。

まあ、今回はコーラとソーダに関しては少々気の毒に感じました。
マリアビートルでの檸檬・蜜柑枠でしたね。

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まとめると、控えめに言って最高でした。

殺し屋シリーズは、多くの個性的な人物が登場し、各人物が自分の好き勝手にわちゃわちゃ行動しているのに、最終的には綺麗にまとまって終わるところが大好きです。

777を今年最終読了本としたことで、良い締めが出来たなあと思います。

今年は、伊坂幸太郎さん・湊かなえさん・阿津川辰海さんなど、既存の作家さんの名作を味わうことが出来た上、新川帆立さん・坂本司さん・井上真偽さん・似鳥鶏さんなど、沢山の新しい作家さんと出会えることも出来ました。

来年2024年も、素晴らしい読書ライフが過ごせたらと思います。
皆様も、よいお年をお迎えください。

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