お金持ちの習慣を真似ぶ。
整理整頓の秋。
今年2度目の持ち物総点検週間が到来している。なぜこの時期かと言えば、冬は寒く、夏は暑くて、体温調整に体力が持っていかれるからだ。春と秋なら過ごしやすい気温で、1日掛かりで行う持ち物総点検やそれに伴う整理整頓を行っても疲れ方が違う。
それに、みんなが揃いも揃って年末や年度末に大掃除をして、一気にゴミを出したら収集する清掃事業の人たちが大変になるだけで、申し訳ない気持ちもあり、周囲が大掃除やゴミ出しを行うきっかけがないであろう5月、11月を目安に持ち物を点検し、整理整頓を行うように心掛けている。
特にこの時期はゴールデンウィーク、シルバーウィークと祝日が多く、娯楽施設はどこも賑わっており、人気の多い場所や混雑が大嫌いな、引きこもり陰キャな社会不適合者は、外に出ず黙々と整理整頓を行うくらいが性に合っている。
そうして、周囲が年末や年度末に断捨離に追われる頃に、ひっそりと外出しては閑古鳥が鳴いている施設や日時を狙って、通常若しくは割引料金でファストパスレベルの快適さで利用するのが、世間一般と生活リズムが異なり、平日休みがある鉄道員の特権かも知れない。
話は元に戻り、整理整頓という言葉は非常によく出来ている。「整理」は持ち物の総数を減らすこと。「整頓」は適切な場所に配置すること。この2つを合わせて整理整頓と呼ぶのであって、持ち物を処分せず並べ替えている人は、整頓しているだけで、整理していない。
自己管理能力の高さが鍵。
お金持ちほど日頃からキチンと整理しているから部屋がキレイに整頓されている。一方で、資金繰りに困っているような家庭ほど、もったいない病が発動して何ら処分できず、テレビなどで知った収納グッズを買ってみては、溢れんばかりの物をギチギチに収納して、一時的に整頓した気になっては、翌年の同時期に再び物で溢れ返っている汚部屋に元通りとなっている。不思議ではないだろうか。
両者の違いは自己管理能力の高さである。お金持ちの定義にもよるが、年間で稼げる額以上の純資産を有していて、仮に1年間失業しても生活に困ることがないような状態が整っている人は、各方面で自己管理が出来ていて、生活に困窮している人よりも部屋がキレイである確率も高い。
もちろん、自己管理ができているからと言って、お金持ちになれる訳ではない。しかし、自己管理能力が高い状態が習慣化すると、不思議とお金に困らなくなると聞けば、何だかスピリチュアルにも似た胡散臭い匂いがプンプンするが、ここにはキチンとロジックがある。
お金に困らない状態というのは、収入よりも遥かに低い支出で暮らしていることを意味する。低支出な生活を実現するためには、自分が今、何にいくらお金を使っていて、使い道が妥当であるかを逐一把握する必要があり、その為には、既に持っている物を無駄に重複して買わないために、持ち物を把握する必要がある。自己管理能力とは、そう言った地道な作業の積み重ねで形成される。
家計簿で支出を継続して記録できるだけでも、金融リテラシーが低い日本人の中で上位だと思うが、そこから更に源泉徴収票と住民税通知書で年間の手取り収入と、年間支出との差額(収支)を求めて、収支と口座残高の増加分がおおよそ一致しているのかまで確かめる人はほぼ居ない。
大抵の場合、収支の8割前後しか口座残高が増えておらず、家計簿を付けているつもりでも、1~2割は使途不明金が潜んでおり、こいつの正体まで割り出して、初めて完全に収支が把握できている状態となる。
字面を見るだけでも、ものすごく面倒臭そうな雰囲気が漂うが、自己管理能力の高い人ほど、これがしっかり出来ている。だからこそ、無駄金を使わない引き締まった家計となり、貯蓄体質が持続して、ある程度の時間が経過すると、何があっても向こう1年以上の生活に困らないお金持ちとなっているのである。
ズボラな人ほど仕組みで解決。
理屈は分かったが、ズボラには到底できそうにないと思った方ほど素質がある。なぜなら私が超ものぐさ人間だからだ。面倒臭がり屋さんは、自分が長期的に楽をするためなら、短期的な労力は惜しまない特性があるから、それを最大限引き出して、一度楽に成果の出る仕組みさえ構築してしまえば、ズボラな性分なのに何故か自己管理能力はべらぼうに高いと言う、一見矛盾した状態が実現する。
家計簿アプリはクレジットカードの履歴と紐付けて、支出を自動計上してくれる。普段の買い物なら最初に一度支出項目を仕分ければ、機械学習によってあとは自動で振り分けてくれるから、普段とは違う支出をした時と、現金で決済した時だけ操作すれば、毎月、毎年の収支が自動集計され、把握できるのだから、無料の範囲で使わない手はない。
私が利用しているマネーフォワードは、銀行預金、証券口座、クレジットカードなど、10口座まで無料で登録できるから、それ以上持っている方は、これを機に10個までにまとめる契機となる。私はこれでメガバンクとおさらばした。
副産物的には、現金を使うと手動で金額と項目を計上しなければならないことから、自動集計に慣れてしまうと却って面倒で使わなくなり、日常はキャッシュレス決済で完結するようになった。
上記は一例に過ぎないが、かつては周辺的正社員の薄給激務によるストレス発散のため、衝動買いを繰り返しては貧乏暇なしで、尚且つ部屋は物で溢れかえる負の無限ループを、10代の最後まで繰り返していた私である。
しかし、成人式で死んだ魚の目をしている高卒社会人と、人生の夏休みと言われるキャンパスライフを謳歌している大学生との、活力差をまざまざと見せつけられたり、同業他社の友人が過労で倒れたと知り、今の生活の延長線上ではヤバそうだと気付いてから、まずは衝動買いの元凶であるストレスを軽減するため、残業を減らして貧乏暇なしから貧乏な暇人となった。
それから、少なくなった収入で暮らせる様に、支出を減らす為に工夫を凝らすようになった。ECサイトからクレジットカード情報を削除して、購入するたびにカード番号を入力しなければ買えない仕組みにして、面倒臭いから後でいいやと、ものぐさな性格から衝動買いをしなくなった。
新しいものが届かなくなってから、今持っているものに意識が向き、同じような物を何個も持っていることに気付いた。普段使いのスタメン以外を思い切って整理してみたら、全体の8割は大して使えていないにも関わらず処分する羽目になり、勿体ない嫌な思いをしたが、これを繰り返したくないがために、新しい趣味趣向品を買うためには、今ある物を手放して得たお金の範囲内で買うと自分ルールを2019年から設けて、今でも継続しているし、整理整頓のモチベーションにもなっている。
そうして残した2割のモノを適切に管理するようになり、半年毎に遊休資産化していないか点検しては、フリマアプリで使ってくれる人に譲り、持ち物の総数を徐々にコンパクトにまとめて、今では年収の何倍もの金融資産を保有、運用するに至っている。
「学ぶ」の語源は「真似る」から来ている説があるように、お金持ちならやらないと思う生活習慣をやめてみて、反対にやってそうな習慣を真似てみると、新しい学びがあるかも知れない。
そうした習慣の積み重ねが、セルフイメージをお金持ちに書き換え、気付いたら遠いところまでに来て、セルフイメージ通りになっていたと言う、スピリチュアルにありがちな常套句で締めくくりたいと思う。
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