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最近の金融経済動向(2023年9月)


メガバンクのドル預金0.01%→5.3%に。

 ネットバンクで既に年率9%(税引前)のドル定期預金が存在するため、メガバンクの金利引き上げは今更感が強いものの、昨年から今までFRBが利上げし続けていたにも関わらず、ほぼ利子が付かない状態のまま推移していたことに驚く。

 今回、外貨預金の利率を大幅に引き上げたことで、外貨預金の申込みが殺到すれば、メガバンクという看板に流される情弱に、自然な形で為替変動リスクを個人に押し付けられ、自分たちは手数料で手堅く収益を得たい魂胆が見え隠れしている。

 ここに来て金利を上げてきたのも、米国の金利が今から大幅に上昇するシナリオは考えづらく、日銀の金融政策も、将来的には緩和縮小路線に舵取りをする可能性を総裁が示唆していることから、そろそろ円高方向に振れることを見越して、自らが保有しているドル資産を利確しておきたい思惑があるものと考えられる。

 FRBの政策金利誘導目標が5.25〜5.5%で推移しており、仮に更なる利上げで6%とかになったとしても、銀行側はただ顧客の米ドルを預かっているだけで、6%の利息を受け取り、そこから外貨預金の契約者に対して5.3%分配すればよく、悪く言えばピンハネできる。

 逆に米ドルの利下げや、日本円の利上げにより、日米の金利差が縮小した場合、円高方向に触れる可能性が高く、現状の148円台から、140円台まで円高が進むだけでも、5%以上の為替差損が生じる計算となる。

 米ドルを銀行が持っていれば、銀行がこの損失を食らうが、外貨預金であればこの損失を負うのは利率5.3%に釣られた個人であり、銀行は預金金利のピンハネで利益が出せずとも、両替手数料で手堅く回収できる算段となっている。

ウマそうな話には必ず裏がある。

 ここでの学びは、パンピー相手にウマイ話など転がってくる訳がなく、必ず相応のリスクという名の裏があると思って吟味する鑑識眼の重要性だろう。

 米ドルを持っているだけで、何もしなくても5%の利息が貰える。新興国と違い世界の基軸通貨だから、米国が債務不履行する可能性は極めて低く、高い利率も魅力的だ。

 私にとっては生前の話だが、30年前の日本では郵便貯金の利率が5%超と、現在の米ドルを彷彿とさせるような時代があったらしい。しかし、その後の我々が生きる日本経済は長期低迷に陥り、未だにそこから脱却できず、安い国ニッポンとして円の価値が低下し続けているのが、為替にも表れている。

 2019〜2021年にGAFAを始めとするメガテックが爆発的に成長したことから、米国一強の価値観が根強いが、歴史を振り返れば1900年代はイギリス、1990年代は日本が全世界株式の時価総額で、米国と同等もしくはそれ以上の時代があった。

 我々パンピーは日本に居住して、日本円を使って生活している人が圧倒多数で、いくら米ドルで利息を貰ったところで、そのドルを最終的には円に換えなければならない以上、為替リスクが付きまとう。

 ここに米国から翻訳された投資本は、執筆者はドルで生活しているため為替リスクはなく、自国の株式全体をパッシブ運用すれば良いは、理に適っている。

 しかし、日本人は円で生活する以上、そっくりそのまま当てはまらない難しさがあり、生きているうちに米国一強が覆る可能性は、余命が長いであろう若い世代ほど考慮して、外貨建て資産を選択することが望ましい。

 その視点を持った上で、銀行が外貨預金の利率を大幅に引き上げた変化を深読みすると、ある種、金融のプロとも言える銀行が、持っているだけで5%の利息が貰えるはずのドルを、個人に売って手放そうとしている。

 つまり、貰える利息以上のリスクがある。利息を捨ててでも米ドルを手放したいと金融のプロが判断して売り始めている訳で、その裏が読めずにウマイ話と誤認した金融の素人が、近い将来にババを引く可能性が高いと考える。

 本当に儲かるウマイ話ほど、誰にも教えずに内々で荒稼ぎするのが、賢しい選択なのが世の常だ。そう思えば、なぜ大した資本もない一介のパンピーに、「特別なアナタに」の謳い文句でオファーが来ること事態、あり得ないのは明白だろう。

日テレHD、スタジオジブリ子会社化。

 2013年の「風立ちぬ」「かぐや姫の物語」公開以降、後継者問題で度々動向が注目されていたスタジオジブリだが、日テレHDの子会社となることが決まり、個人的には無難なところに落ち着いたように感じたが、この材料で日テレHDがストップ高水準まで反発することは予想外だった。

 というのも、ジブリ制作の長編作品は、映画単体では採算が合ってない作品の方が多数派な上、長年の宮崎駿・高畑勲のツートップでの制作はもうできない。

 後継のクリエイターが不在な中で、スタジオが宮崎作品、高畑作品のような名作を、将来に渡って生み出し続けるのは現実的ではなく、既存の作品のビジネス展開だけでは、長期的にはいつか限界がくると考え、個人的には好感材料とは思えなかったからだ。

 非上場企業ゆえに決算書も簡素なバランスシートと、期末の当期純利益の記載のみしか公表されていないが、作品の採算が合わないにも関わらず、ここ数年は黒字経営を維持している。

 これは関連グッズや娯楽施設で支える経営、もしくは保有資産の売却等によるものと思われ、前者であれば本業の黒字と言えるが、後者であれば経営としては不健全だろう。

 公表されている資料では、現時点でどちらかを判断できる状況にない以上、定量的な投資判断はできず、定性的な期待先行で株価が上昇しているのが現状だろう。

 個人的にはラピュタの「40秒で支度しな」でお馴染み、ドーラおばさんの「こういうときは動かない方がいい」が脳内再生され、ジブリ子会社化後の日テレHDの決算書が出てから投資的確なのか判断しても、長期目線なら決して遅くはないと考える。


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