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インターネットのお陰で地方暮らしに妙味。

大抵の娯楽がネット上で完結する時代。

 Amazonがプライムデーを7/11から行うのに際して、7/12までの期間限定で、電子書籍であるKindleのサブスクが、3ヶ月無料体験を実施している。

 私は2021年に同じ無料体験を利用したため、1年程度は同じキャンペーンの対象外となり、月額99円が関の山となるものの、ほとぼりが冷めると再度、四半期の無料体験期間が開放される。

 PCの場合、登録した直後に「注文履歴」から「購買登録を管理」画面に移動することで、自動継続しないよう、登録解除ができる。登録直後にこれを行なったところで、3ヶ月間の無料体験そのものが消滅するわけではない。

 そのため、前回から仕様が変わっていなければ、最大10冊を限度にレンタルすることができる。Kindleの端末がなくても、スマホアプリや、PCから閲覧できるため、ラインアップに乏しい地方の書店や図書館には置いていない書籍が、電子とはいえ無料で読み放題となる意味で、本好き地方民には有難いキャンペーンとなっている。

 7/21には、つい最近終演したシン・仮面ライダーがプライムビデオで解禁される。バイトテロ被害に遭ったポルシェ乗り監督作品の、アマプラ解禁が早いだけかも知れないが、映画館すらない僻地でも、公開から半年も待たずに観れるなら、わざわざ都市部に出向いて、料金を支払ってまで観なくても良いと個人的には思ってしまう。

 地方暮らし、特に北海道や離島などの、送料無料対象外エリアに住んでいる人ほど、会員なら全国送料無料のAmazon Primeがもはやインフラ化しているのは地方民あるあるかも知れない。

 日本では会費が諸外国ほど値上げされていないため、月額500円で無料配送、速達便、映像コンテンツ、電子書籍などの、大抵の娯楽がネット上で完結する時代に、わざわざ割高な家賃を支払って、都会暮らしをする必要性がないと、デジタルネイティブ世代ほど感じてしまう。

限界集落でも暮らせるのは若い時だけ。

 「街が滅びてる…」休日に生存確認兼冷やかしに来た友人が、私が移住した地方の様子を車越しで見た印象である。ゴーストタウン化しているのは間違いないが、食べ物が買える店と、生活インフラである電気、水道、ネット辺りが最低限整っていれば衣食住は満たせるため、特に不便はない。

 車社会故に鉄道駅周辺が荒んでいて、幹線道路沿いの方がまだマシな田舎あるあるで、主要な道路は地方経済の生命線故に、財政状況の割に整備されている。

 だから自転車さえあれば、場所にもよるが30分圏内のギリギリ不便を感じない範囲内で、郵便局、コンビニ、ホームセンター、鉄道駅辺りが網羅できる立地の物件は、根気よく探すと出てくるし、投げ貸し状態だったりする。

 インターネットが普及する以前の時代なら、そもそも近場に働き口がないため生計が立てられず持続しなかったのかも知れないが、リモートワークやクラウドソーシングで場所を選ばずに労働できる時代となっている。

 私も株取引でそれっぽく生活しているが、ネット証券でスマホ一台あれば売買できる環境だから為せる技であり、証券会社の窓口や電話で割高な手数料を支払って注文していた時代なら、そうはいかなかっただろう。

 生活の主軸がインターネットと、ある種のバーチャルな世界の比重が大きくなったことで、リアルな世界は生理的欲求さえ満たせれば、どうとでもなりつつある。

 現役時代に都市部でバリバリ稼ぎ、老後は地方でのんびり暮らす的な、世間の憧れにも似た潮流と逆行するが、若くて体力のある時期ほど、風光明媚な田舎や限界集落で暮らして、老化でそれが難しくなってからコンパクトな都市部で暮らす方が、理に適っているように思う。

望んだ未来は案外、手の届く範囲にある。

 そもそも、老後に地方移住を夢見ている人は、現状の都市部での暮らしに疲れている証拠である。そうした今、漠然と思っている風光明媚な地方で暮らしたい願望を、現状では現実的でないと理性でブレーキをかけて、現状維持に徹して楽しみを先送りしていると、突然死が迫ってきた際に間違いなく後悔する。

 不確実な将来のために、確実な今を犠牲にしたところで、未来に報われる保証などどこにもない。かつての私は不確実な将来のために、確実な今を生きなかったことで、身体が悲鳴をあげ、20代半ばで健康体を失った。

 ただでさえストレス過多だった社畜生活で、2020年以降のコロナ禍がダメ押しする形となり、溜まりに溜まったストレスで死の恐怖が目の前まで迫ったところで入院、手術。

 こんなことになるなら、病気や感染症リスクとは無縁だった時期に、やりたいことを目一杯やっておけば良かったと、入院中に後悔していたのは想像に難くない。

 喧騒な都市生活にもう疲れた。風光明媚な場所でのんびり暮らしたい。そう思っているのは、未来の自分ではなく、今、この瞬間を生きている自分である。心の声を聞けるのも、それを実現できるのも自分しか居ない。

 インターネットのお陰で、あらゆる障壁が取り除かれ、住む場所を好きに選べる時代である。「いつか」暮らしたいではなく、「いま」暮らすためにできることを着実に積み上げていくと、望んだ未来は案外、手の届くところにある。移住して数ヶ月が経ち、そんなことを思う今日この頃である。


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