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DNX Ventures 倉林✖️Resilire 津田の対談。「シリーズAでResilireにリード投資をした裏側」

Resilireは2024年4月に、リード投資家としてDNX Venturesを迎え、シリーズAラウンドで総額6.2億円の資金調達を実施しました。今回、DNX Venturesの倉林陽さんをお招きし、当社代表取締役の津田と対談を行いました。シリーズAの投資意思決定に至る背景や、シード期から見る中でのResilireへの印象の変化。そしてResilireへの今後の期待についてお伺いしました。

■初めのResilireの印象について
津田
改めまして今回はシリーズAでリード出資いただきましてありがとうございます。DNXさんとの関係は、2021年にシード出資、2023年にプレシリーズAで出資もいただいて、今回は3度目の出資をいただくことになります。
早速ですが、初めにResilireに対して感じていた印象からお聞かせいただけますでしょうか。

倉林
初めの印象は、対象領域がサプライチェーンということで、エンタープライズ寄りの重ためのソリューションになるだろうと感じましたね。同時に、非常に魅力的なビジョンだと感じました。日本は、製造企業が多く、バリューチェーンも長い。そして地理的に地震も水害も高頻度に発生します。そういった意味では日本発でこの課題を解決するソリューションが生まれるべき領域だと感じましたし、日本の製造バリューチェーンのど真ん中に入っていけるソリューションになるだろうとワクワクしました。

津田
ビジョンに魅力を感じていただいていたのがとても嬉しいです。初めて出資いただいた時はまだエンタープライズからたった1社導入が決まり、社員も0というタイミングでした。投資を検討する上では、かなり不確実性が高く、それなりの懸念があったのではないかと思います。

倉林
そうですね。エンタープライズ領域でビジネスをするには大人なプレイも求められる中、当時は代表の津田さんが若く、業界経験もソフトウェアのバックグラウンドもなかったので、ファウンダーマーケットフィットがあるかをきちんと確認することを心がけました。
DNXはアントレプレナーの謙虚さや傾聴力、社長の成長性をすごく大事にしているので、まずはシードファンドから出資し、津田さんの成長ポテンシャルを時間をかけて見させていただきたいなと思いました。

津田
そうですよね、その懸念もあってか、当時の私に対する見極めがとても厳しかったことを覚えています笑
私が学生起業だったので、高校時代のバイト先である居酒屋のオーナーや、飛び込み営業の仕事でお世話になった社長へのリファレンスチェックを通じてしっかり見極めていただいていました。笑

倉林
そうでしたね、過去のリファレンスチェックはしっかりやらせて頂くことにしています。

津田
結果、リファレンスチェックからファウンダーマーケットフィットなるものを見出していただき、投資に至ったという背景がありましたね。

■シリーズAを決めた要因
津田
ここから改めて今回のシリーズAで投資を決めていただいた背景をお伺いできればと思います。
実はDNXさんにシリーズAの出資を決めていただいたタイミングは、ARRがまだ全然出ていないタイミングでした。そのタイミングで決めていただいたポイントはどのようなところだったのでしょうか。

倉林
複数の製薬会社が顧客としてしっかりResilireを導入していた点です。私たち投資家の視点からすると、数字が積み上がっていたとしても、幅広い業界に対して薄く広く展開している形だと評価がしづらいんです。それよりは、小さな市場でも良いのでそこでしっかり価値を提供できていることが示された方が投資の意思決定はしやすくなります。その点を確認できたことが大きかったと思います。

津田
ありがとうございます。私も、DNXさんに製薬企業での広がりについて特に評価いただいていた感覚を持っていました。

倉林
加えて、投資先スタートアップの経営者からのリファレンスがすごくよかったんです。ESGという近しい観点をもつゼロボードの渡慶次さんにResilireのビジネスについて「これどう思う?」と聞いたら、「めちゃくちゃ面白い。ESG観点でも共感できるし良い会社ですね」と言っていましたね。
また、カケハシの中川さんから「Resilireがすごく面白い事業をしている」と聞いたり、アンドパッドの稲田さんから時間を使ってアドバイスを貰っている様子を見受けたり、色んなところで投資先の起業家からResilireの良いリファレンスを聞いていました。

津田
おお、それはすごく嬉しいです。DNXの投資先の起業家の方々は皆すごく魅力的ですね。DNXの投資先経営者向けのイベント「SaaShip」でも、先輩起業家の方々とのつながりが増え、成長の機会を多くいただいています。
加えて、今回の調達にあたり組織面でも評価をいただきました。投資判断に影響したポイントはありますか。

倉林
シードラウンド以降組織もすごく成長して、良い採用ができていると思いましたね。別の投資先で活躍していた方や、グロースステージのスタートアップ役員や上場企業の役員経験者など、IT業界で実績をしっかり出してきた大人な人たちが集まっていました。そういった人を魅了し採用しきれるのは、代表としての魅力だと感じます。また、津田さんがメンバーに対してしっかり向き合いフィードバックをしてきたことで、良いカルチャーを作っていて、たいしたものだなと思いました。シード投資直後と比べ、質問への反応が非常に落ち着いていましたし、業界理解の進捗や、スタートアップ経営者としての心構えの成長に安心感を覚えました。DNXチーム内で津田さんの起業家としての成長についての見解が一致し、シリーズAの投資決定の納得感が醸成されていきました。

津田
昨年の11月、シリーズAの調達に動き始める前に倉林さんの家で1on1をさせていただいたこともありましたね!その時はまだARRがほとんどなく、「翌年春からARRも結構出るのでそのタイミングからシリーズAの調達検討しようと考えています」とカジュアルに相談したことを覚えています。

倉林
そうでしたね。そういった投資の交渉前に前広に素直ベースで相談にきていただいたのも安心できましたし、有難いな、我々をちゃんと見てくださってるなと感じていました。
こういった姿勢はビジネスでも同じ、お客様に対しても丁寧なコミュニケーションを取っているでしょうし、商談相手としても安心感があるだろうと想像できました。

津田
その1on1ではその後のプロダクト展開について相談をさせていただきました。そこで倉林さんにプロダクトのポテンシャルを理解していただいた実感がありました。

倉林
おっしゃる通りあの時にすごく解像度が上がりましたね。

津田
また、倉林さんはプロダクトに対して代表がどれくらい解像度を持って向き合っているかを丁寧に見ているとも感じ、私もすごく大事にしていて意識していることだったので、改めてDNXさんが大事にしている方針とのフィット感も感じていました。倉林さんに「今焦らない方が良いよ、プロダクトの価値にちゃんと向き合ってプロダクトをしっかり磨いた方が良い」と言っていただいたことをすごく覚えています
「そのために一定の金額を集め、落ち着いて腰を据えてプロダクトに向き合えると良いよね」と、春にARRが積み上がるのを待たずして出資を決めてくださいました。

倉林
そうですね。実は当時、自分が頭でっかちになっていたところがあるんですよ。
投資経験があるからこその先入観から、元々Resilireに対して「サプライチェーンでしょ、そんな難しい領域で勝負するの(できるの)」という点がずっと頭にあったんです。ところが、エンタープライズ向けのビジネスではあるものの、私が想像するより開発や導入の難易度が高くないこと、スペースがあることをしっかり説明していただいて、「じゃあ大丈夫かもな」と思いました。
起業家の立場に立つと、投資家側の認識がズレていてネガティブなこと言われるのはめんどくさいはずですが、津田さんは、めんどくさがらず爽やかにほぐしていただいた感じがあった。おかげで「そっかそっか」という瞬間があったんです。「あなた、ズレていますよ」と言われていたらムキになっていたかもしれませんし笑、紐解いていただいたのはとてもよかったですね。そうしていただいたおかげで良い案件に納得感を持って投資を進められた。すごく感謝しています。

津田
倉林さんの意見は至極真っ当だなと思っていました。「本当にそうかな」と思ってディープダイブすると見える真実があった。一般的な仮説から逸脱した真実を見つけるのが経営者の仕事でもあると考えていたので、そこを気づいてもらえるようにコミュニケーションしようと意識していた気がします。

■DNXさんが大事にしていること
津田
少し話が変わりますが、DNXのメンバーはどの方と会っても人として好きになれる気がしています。
また、以前参加させていただいたSaaShipでも思ったのは、DNXの投資先の起業家は皆が魅力的で人として大好きで。何かDNXが好きな人の像があるんだろうなと感じたんですが、その辺りお聞かせいただいても良いでしょうか。

倉林
僕らは「DNXがアントレプレナーに求めるもの」というものをWebサイトに載せさせていただいていて、投資判断においては起業家の方がそれらを体現しているかどうかをすごく大事にしています。
志が高く、目線が社会に向いていて、皆で成功を分かち合っていける、そういう方に投資したいと思っています。
今まで数多くの起業家に投資をしてきたその教師データから、私なりの「危機察知レーダー」ができていて、長く話しているとインテグリティや目線の高さについての危険信号や違和感が感じられる。もちろん間違えたりもしますが。
ビジネスだけでなく社会や地域に貢献するというディープパーパスをしっかり持っているかということも大事だと思っています。
また、日本の場合はほとんどの方が初回起業家です。その上、アメリカのようなガバナンスが効かない。だからこそ、変に奢らない、傾聴力を持っているか。
傾聴力があって成長でき、人としてそもそも卑怯なことをしないという人でないと、難しい。日本はとにかく創業者の伸び代が、適宜CEOを交代できる米国より重要なんです。

津田:そこがまさに自分がDNXの投資先の起業家を好きになる理由でもあるかもしれないですね。

倉林
そうだと思います!
DNXの投資先の起業家の方々は、皆が津田さんにめちゃくちゃ親切にアドバイスすると思うんですよ。うちの会社だけが勝ち抜こうという感じがない。
投資先の方々には、次のアントレプレナーのロールモデルになっていって欲しいなと思っています。
ぜひ津田さんにも今後若い人にバトンを渡す、目標となる存在になってもらえたら嬉しいと思っていますね。

津田
皆が自分たちの経験や得た知見を若い起業家に共有していこうという気持ちを持たれている印象がありますね。自分も先人の方々のように、色んな方に貢献できるように成長していきたいです。最後にResilireに今後期待していることをお聞かせいただけますでしょうか。

倉林
Resilireに期待していることは、日本からグローバルに出ていける、領域の持つポテンシャルですね。初期から感じていましたが、そこが面白さだと思います。
日本発だから良いソリューションが作れるっていう領域はなかなかないと思うんです。
ただResilireにはそれがある。グローバルに出るべき理由があると思います。
製造企業が非常に多く、天災も多い日本からスタートしていて、SaaSに知見があるVCがちゃんとバックアップしていて、津田さん、そしてテクノロジーに強いマチュアなチームがいる。
だからこそ、日本から世界標準が生まれる可能性がある。
そこが期待していることですね。
あと、Resilireは今後も素晴らしい方がどんどん入ってくると思うんですが、良いメンバーがいたとしても、一つに束ねるのはしんどいところがある。
一つに束ねるのはCEOだと思いますが、そこには相当なコミュニケーションや愛情が必要。ただ津田さんは既にそれができていると思います。今後チームが急激に拡大し続けても、皆が同じ方向を向いて走っていけるようにチームを引っ張っていって欲しいなと思います。
マーケットが面白くて人も良い。着眼点がユニークで他のプレイヤーが入ってきづらい。
そういう意味では、かなり良いスタートダッシュを切っていると思うので、これからが楽しみです。

津田
ありがとうございます!
日本発である強みを活かし、世界標準となるようなプラットフォームに成長させていきたいと思います!
今後ともよろしくお願いいたします!

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