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まだ私がソーシャルワーカーとして胸を張れなかった頃

5月になりましたね。
新入職員の皆さんは、ようやくやってきたGWにほっとしていらっしゃるのではないでしょうか。
連休じゃないわ!って方ももちろんいらっしゃいますよね💦社会を支える皆さんに感謝です。
私が新卒で医療ソーシャルワーカー(MSW)になって、9度目の春です。
今日は、私が新人だった頃のことを振り返ってみようと思います。

ソーシャルワーカーの専門性ってなに??

私の入職した病院はそこまで大規模ではなく、同期は理学療法士2人と作業療法士1人でした。
みんな社会人1年目です。
わりとMSWの方に多いと思うのですが、私の上司は看護師でした。
社会福祉士の実習は社会福祉協議会でしたし、棚ぼた的になったMSW。
まず、医療業界の言葉が分からない。看護師さんたちの申し送りがさっぱり。
CVポート?IVH?PEG?DNAR…???

入職1週間で担当患者さんを持たせてもらい、どうしていいかわからず、ただただ足を運びお話を聞き、リハビリを見学させてもらったり。
そんな訳の分かっていない私をよそに、同期たちはすぐに独り立ちしていきました。
他の医療職と違って、MSWってわかりやすい「手に職」がないのですよね。
いや、正確に言うと、当時の私にはそれが分からなかった。
言われるがまま、振り回され戸惑う日々が続きました。

「ソーシャルワーカーの専門性ってなに?私が大学で学んできたことは何だったんだろう。この病院で私だけプロじゃない。MSWって誰でもできる仕事なのかも…」
そんなことを思いながら、ひとり隠れて泣いてばかりいました。

悩んでいること自体が、あなたがソーシャルワーカーである証

今思えば、ちゃんと私の中にソーシャルワーカーとしての価値や倫理の種はちゃんとあったのです。
あったけど、その根拠に自信がなかったし、自分の中に見出せなかった。
医療というフィールドは専門職だらけ。
MSWはあらゆる立場の人たちの意見が集まり、四面楚歌になる仕事です。
しかも業務の範囲が職場によってもそれぞれ。求められること=やるべきこととも限らない。
枠組みも分かりにくいのですよね。離職率が高いのも頷けます。

半年ぐらい経った頃、職能団体で同年代の仲間や他の医療機関の先輩たちに出会いました。
みんなで倫理綱領を読みながら、「あーやっぱりそうだよね。私たちの仕事ってこういうことを大切にするんだよね」と。
ほんの少し、自分の軸の片鱗が見えた気がしました。

その後研修で、保正友子先生のMSWの成長過程についての講演を聞きました。
「他の職種は雛で生まれるけれど、私たちは卵で生まれる。だから大切にしないとすぐに潰れてしまう。だけど、悩んでいること自体があなたがソーシャルワーカーであることの証。」
とても救われる言葉でした。
すすり泣く声もあちらこちらで聞こえてきたくらい。
この心の揺らぎこそ、大切にするべきなのだと気づけました。

「私はソーシャルワーカーです」

今でもまだ、私は「ソーシャルワーカー」にはなりきれていません。
いつまでも、きっとこれからも私は、「ソーシャルワーカーになりたい」と思い続けていくのだと思います。
私の思うソーシャルワーカーにはまだまだ程遠いから。
それでも、あの頃に比べたらずっと、自分の中の違和感に自信を持てるようになったと思います。
「私はソーシャルワーカーです」と、何とか名乗れるようになってきました。

入職して何年も経って、もう新人ではなくなって、頑張ってるだけで褒められる立場ではなくなった頃。
信頼する歳上の理学療法士さんに「tsukiは本当によく頑張ってるねぇ」と言われて、堰切ったようにぼろぼろと泣いたことがあります。
その方は、何もできなかった頃の私にいつも優しく声をかけてくれ、時には注意し、「どう思う?」と意見を求めてくれ、言語化を促してくださった方でした。

「私あの頃ずっと、『私だけプロじゃない』って思ってたんです」
「それは違うよ。プロかどうかを決めるのは、患者さんやご家族だよ。やっぱりtsukiはいい子だな😊結局は人間性なんだよ」
初めてあの頃の気持ちを口にして、当時の私が何年か越しに救われた気がしました。

きっと今もたくさんいるであろう、「あの頃の私」へ

大学の同級生は、何人もMSWになりました。
けれども、休職した人もいるし、結婚や出産を機に退職した人もたくさん。
辛い場所からは逃げていい。私はそう思っています。
けれど、なりたくてなった仕事なのに、志半ばで心が折れてしまうのはやっぱり悲しい。

本当はもっと学生のうちから実践力をつけておきたかった、自分の身を守るセルフケアの方法を身につけたかった、なんて思ったりもするけれど、すぐに養成課程の内容は変わるわけではないし。
大学での学びはやっぱり私の基礎になっているし。
だから今の私にできることは、実習生や新入職員を迎えた時に、その卵を大事に温めることなのかなぁと思ったりしています。
そのために、あの頃の私の感覚は忘れてはいけないなと。
色々悩んで、セルフケアを学んだ今の私なら、伝えられることもきっとあると思いたい。
この鋼メンタルでないと生き残れないような業界を、弱くても続けていける優しい業界にしたい。
とか言いながら、急に転職してるかもしれないけど笑

今まさに新人MSWとして悩んでいる皆さん。
気持ちを言葉にできていますか?1人で悩んで苦しんでいませんか?
まずはこの1ヶ月頑張ったご自身を、褒めてあげましょう。
今の自分を認めてあげてくださいね。
悩んで苦しんでいることは、成長しようとしている証なのですから。