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【#4】 マーケティング・プロセスの6つのフェーズ:「発見」フェーズ

前回の最後に

「マーケティング・プロセスの6つのフェーズ」のそれぞれのフェーズと問いについて、詳しく見ていきましょうと書きました。


今回は、【発見】について、解説していきたいと思います。

マーケティング・プロセス 【発見】フェーズ

ここでは、「どこに、どのくらいの機会や課題があるのか?」を理解し、大きな方向性を決めていくことが、コアになります。

例を出して考えてみよう

例があった方がわかりやすいと思いますので、「新しい組織・新しい事業」をスタートさせるケースで考えてみましょう。

その組織は、「人々の日々の健康に貢献し続ける」とパーパスを持っているとします。

その場合、どのように機会や課題を理解し、方向性を決めていくのでしょうか?

まず、そもそも「健康」について理解し、取り組みたいと思える切り口や対象を定めないといけません。

例えば、健康といっても、「治療アプローチなのか、維持アプローチなのか、予防アプローチなのか」と考えるだけでも、その後の考え方やアクションは変わりますね。

病気になっているのを治す:治療
病気になっていない状態を保つ:維持
病気にならないように前もって対応する:予防

今回は、パーパスをシンプルに逆転させ、「そもそも、日々の生活の積み重ねによって健康が阻害されるとは、どういう状態なのか?」について理解しようと決めたとします。

そうしますと、日々の食事や運動の状態によって引き起こされる「生活習慣病」が大きなキーワードとして上がってきます。

もちろん他のキーワードも、この段階ではあがってくると思いますが、今回はシンプル化するために、色々検討した上で「生活習慣病」を、まずは自分たちはフックとすることと決めたとします。

そうすると、以下のような側面で発見・気づき・理解があると思います。

量的・質的な側面における様々な発見・気づき・理解

社会的実態
「生活習慣病には、7大疾病がある。がん、心疾患、脳血管疾患、糖尿病、高血圧、肝硬変、慢性腎不全。」「生活習慣病が国の医療費全体に占める割合は約3割」などなど

社会的影響
「その中で、糖尿病は、失明や四肢切断といった甚大なマイナスの影響を与える病気となっている」などなど

現状規模感
「国内における糖尿病罹患者は、現在、950万人おり、予備軍も含むと2050万人となる」などなど

未来予測
「今後、日本を含め世界中で、糖尿病患者数は増え続け、2030年までに6億人を超え、2045年までには8億人近くまで増えると予測されている」などなど

生活者実態
「日本で糖尿病に罹患している人には、毎日・毎食、薬を飲まなければならない人も多い」などなど

生活者感情
「糖尿病が進行しているAさんは、食後、自分でインシュリン注射を打つ必要があるが、自分で注射するということに対して、すごく怖いと感じている」などなど

広く見た上で根拠と意思を持って決める

生活習慣病といっても様々あるが、データを収集し、集計・分析し、整理した上で、途中からフォーカスしたように「自分たちは、糖尿病という病に対して取り組んでいきたい」という決めます。

つまり、「具体的に何に対してタックルするのかを見つけて、大きな方向性を決める」のが、この【発見】のプロセスとなります。

今回は、いろいろ調べていく中で「糖尿病」にフォーカスしていくという流れにしましたが、もちろん、高血圧だったり、高脂血症だったり、他の病気でも構いません。

ポイントは、「自分たちは、いろいろ理解した上で、何にフォーカスするかという大きな方向性を、納得した上で決める」ということです

大きな方向性の決め方

決め方にルールはありません。

納得のためには、「根拠」と「意思」の双方が必要ですが、このウェイトは組織や個人において様々です。

「これこそが課題と信じているので、これを解決するのだ」という意志に重きを置いた決め方でもいいですし、「現在の規模感」や「未来の規模感」という社会的影響の大きさに重きを置いた決め方でも構いません。

「よし、この大きな方向こそが、自分たちが取り組むべき/取り組みたい方向性である」とさえなれば、問題ありません。

企業や組織が取り組む場合は、そもそも会社としてアプローチしたい領域や収益性といった観点、SDGsやCSRなどの観点もあると思います。それらの視点も、もちろん重要です。

ただ、規模感や利益だけを求めていくと、「そもそも、自分たちって、何をするための集まりだっけ?」というところから離れていく可能性があります。

前回記事の通り、揺るがしていけない部分は、絶対に死守しましょう。

https://note.com/researchandmetal/n/nafefc6aa07b2

その上で、自分で決められる場合でも、所属する企業・組織において決裁を取る必要がある場合も、重要なのは、「高い動機づけを生む納得性」ということになります。

【特定】フェーズへのつながり

そのためには、次の【特定】のプロセスも非常に重要になってきます。

なぜなら、【発見】では、ヒトの理解がまだまだ大枠・大味であることが多いですが、次の【特定】では、【発見】で決めた大きな方向性に対して、その方向において課題を抱えているヒトに対して、徹底的に向き合うからです。

向き合うことによって、「より高い確信」や「使命感」といったものも生じていきます。

合わせて、「本当に自分たちは、この方向性で、この人たちに対して、何かできるのか?」「それは、今までに無い価値を伴った提案になりそうか?」といった点も真剣に考えるようになります。

【発見】と【特定】は、特に行ったり来たりが重要、かつ、多く思考・試行するフェーズでもあります。

次回は、その【特定】のステップについて見ていきましょう。


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