近代医科学

【博物館】近代医科学記念館の感想

 博物館企画の第2弾です。第2弾は近代医科学記念館を取り上げます。近代医科学記念館は白金台から歩いて2〜3分くらいのところにあります。入館料は無料です。

感想①:日本医学史から外すことができないビックネームの展示が多い

 近代医科学記念館は1892年に設立した伝染病研究所に関する展示を主体としています。伝染病研究所は後に東京大学医科学研究所となります。伝染病研究所に携わった人物はビックネームが多いです。北里柴三郎(当時伝染病研究所の所長を務める)をはじめ、野口英世も一時期在籍していました。もう少し踏み込むと、高木友枝(「台湾衛生学の父」と呼ばれる。台湾総督府医院長などを務める)、長与又郎(長与専斎の三男)、秦佐八郎(梅毒の特効薬であるサルバルサンの開発など)、志賀潔(赤痢菌の発見など)など日本医学史を分析する上で、重要な人物が所属していたことが明らかになります。

 このように錚々たる人物が所属していた伝染病研究所ですが、伝染病研究所の管轄は度々変わっています。特に伝染病研究所が内務省から文部省に移管したときに、北里が伝染病の所長を辞めることは有名な話です。近代医科学記念館でもこの話について触れています。

感想②:佐々学の著作が揃っている

 佐々学は日本を代表する寄生虫学者です。彼は東京帝大が管轄している時代の伝染病研究所に所属していました。そのためか、佐々の著作や手書きの草稿などが保存されていました。佐々学がこれほどの著作を残していたのは個人的に驚きました。

おわりに

 伝染病研究所の歴史は日本の医学史を叙述する上で外すことができない存在です。その歴史の一端を無料で閲覧することができるのです。ちなみに15分から30分くらいあれば、一周できると思います。白金台はオシャレな場所です。近くには美術館や公園もあります。白金台におでかけしたときについでに立ち寄ってみてはいかがでしょうか?

参考文献

今回の記事を作成するにあたり、もう少し詳しく知りたいという人に向けて参考文献を数冊つけておきたいと思います。リンク先はAmazonです。入手しやすいところでいうと、

小川鼎三(1964)『医学の歴史』中公新書第5章が近代日本の医学史になります。古い文献ですが、入門としては今でも読むべき本です。

手に入りにくいですが、

神谷昭典(1984)『日本近代医学の定立』医療図書出版社では伝染病研究所に移管について、記述があります。

これ以外には北里の伝記や小高健の『伝染病研究所』があるようです。このあたりは私はまだ読んでいないので、何も言えませんが、まだまだ文献はありそうです。また、本文ではあまり触れませんでしたが、長与専斎に関する研究も数多くあります。長与専斎はどこかで触れるような気がするので、また別の機会に紹介します。

読むべき文献が増えたような気がしますね。がんばろう...

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↓:リンク先

※休館日に気をつけてください。

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