高松市に欲しい“まちなかスタジアム”
高松市には海沿いの生島町に香川県の総合運動公園、その先の亀水町に亀水運動センター、郊外の牟礼町に牟礼中央公園運動センター、国分寺町には県立プールと体育館がある他、橘ノ丘総合運動公園が規模が大きい。
そして南側には髙松空港に近くに最近整備されたりんくうスポーツ公園、三谷町に南部運動場など、規模の大きなスポーツ公園が東西南北にバランスよく整備されている。中には平成の大合併で合併町に整備されていた施設も多くあり、それぞれの地域で市民スポーツの拠点となっている。
本来なら大規模な施設の整備を目論んでいたのが、最後に整備された高松町に誕生した高松市東部運動公園。ここはサッカーに力を入れて第1、第2サッカー場とフットサルコートがある。軟式野球場にソフトボール場と野球にも力を入れた。
当初予算は本来はもっとスタンドを備えた本格的な運動施設を整備されていたはずなのだが、公共工事にありがちな毎年少しずつ予算消化することで、長年の時間が掛かってしまった。その間経済環境が変化し市の財政難も手伝い見直しによって夢と消えてしまった。
しかし計画当時とは違い、香川を拠点の地域スポーツ熱が、プロチームの誕生によって様変わりしてきた。例えばプロサッカーチームのキャンプ地誘致を目指すなど、目指す計画仕様の変更を行えば時代のニーズに対応した仕様にすることもできただけに、市民スポーツ施設への大幅変更縮小は誠に残念でならない。
替わりに老朽化した屋島陸上競技場を県から譲り受けた
高松市は機能低下して老朽化から存続が議論された同競技場の所有を、香川県から引継ぎユニバーサルデザインを施し、屋島レクザムフィールド(収容6千人)として活躍している。
当時は香川県のプロサッカー(カマタマーレ)の専用スタジアム案も計画段階にはあったが、周辺住宅の騒音問題もあって陸上競技に特化した。もちろんサッカーファンからすると専用スタジアムでの観戦は夢である。現在の丸亀市のレクザムスタジアムは収容人数は大きいが陸上競技場。
Jリーグは昇格の条件としてスタジアム整備を掲げており、J2で1万人以上、J1で1万5千人以上の座席を有することが条件、芝生席は含まれない。人口6万人ほどの地方都市鹿嶋市にあるカシマサッカースタジアムは4万人収容の日本有数の規模で町の中核だ。
人口103万人と香川県に似た規模である北陸の富山県。県庁所在地の富山市も人口42万人で高松市と同規模
コンパクトシティの推進、北陸最大のアーケード街など町づくりでも高松市とはリンクする部分が多い親しみを持てる街だ。
今ここに、野球のBC独立リーグ(富山サンダバーズ)、バスケットボールBリーグ(富山グラウジーズ)、Jリーグサッカー(カターレ富山)、バレー(黒部アクアフェアリーズ)が相次いで誕生。これも当地と状況が似通っており、高松市共々、地方都市でこれだけの地域プロスポーツが集積するエリアの例は他にあまりないと言っていいのではないか。
ただそうしたチームのメーンとなる競技施設は高松市より条件が良く、すでに日本海側で唯一となる3万人収容の野球場と、4600人収容の体育館、28000人収容のJリーグ基準を満たした陸上競技場を富山市内に擁しているという恵まれた環境にある。またそのことがスポーツ熱の高さに繋がっているとも言えるだろう。
その点、高松市には野球のスタジアムも郊外にある古い施設だし、サッカー場には観戦スタンドがほぼない。体育館については、サンポート地区に建設を計画しており、バスケットボール(ファイブアローズ)のホームアリーナについては唯一、更新される見込み。市民スポーツレベルでは多くの施設が整備されていても、お金を取って観戦するスポーツセンターの整備は立ち後れていると言える。このことが大きなハンディになってしまっている。
まちなかにスタジアムがあることの意味
“富山旋風”が地域スポーツ界に吹き荒れる、新潟市における地域プロスポーツ運営の成功物語となった第二の新潟アルビレックスとして、プロスポーツが地域おこしにも、人々の結びつきをもたらし市民スポーツの活性化に相乗効果をもたらしていく。高松市の動向に注目をしているところだが、現在までのところ大きな動きはない。高松市でも地域プロスポーツチームの発展をサポートしていけるかが問われている。一番は多くの市民や県民に現地に行って観戦をしてもらえること。富山市には負けられない。
スポーツ観戦の楽しさはもちろんチームが強いことではあるが、それにも増してスタジアムやアリーナ環境の良さが影響すると言って良い。後から造る以上、どこにもない良いものを期待するのは人情である。ここはぜひ高松市内にまちなかスタジアム(野球場)の建設を求めるものだ。場所は競輪場のあたりではどうだろうか?