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 日本どころか世界の町の至る所で販売されて、使用されているスマートフォン。スマホ片手で行動することがもはや当たり前になっている風景。

 内蔵のカメラを目の前にあるモノ(商品)に向けて、その商品を“認識”させることで、即。あとは注文ボタンを押すだけで、そのモノ(商品)がすばやく自宅に届くという、買物革命。

 リアルで購入すればいいものをわざわざECサイトとリンクさせてしまう機能は一度使うと確かに便利である。

 アップルのiPhoneがiTunesや、APP STOREといった自社のサイトでデジタルコンテンツを独占販売することで、利益を上げるモデルが画期的なことであったのが15年ほど前のこと。SONYなど名だたる日本企業が考えつかなかったビジネスモデルが今や当たり前に。

 幾ら優れた機能を持つハード(端末)を、高い開発費と長い時間を掛けて世に出しても、それをソフトの販売で全て囲い込みされるとお手上げだ。ビジネスモデル同士の戦いでは、ハードはすでに一つの側面にすぎない。

 それが今度はネットショッピングの世界にも訪れたのだ。いや商業界全体の革命とも言える。お店で実際の商品を見て触って確かめ、あとはスマホをかざして、その場でアマゾンとの購入決済を完結するスタイルが出来あがる。

 価格も当然のようにECサイトのほうが安くなる。もはやスマホは売り場であり店はショールーム。ついこの間までの携帯電話はいかに性能が優れデザインがかっこいいかの競争だったが遠い過去のモノに思えてしまう。

 実はすでにiPhoneが誕生した時点で、その動きは確かな速度で我々に近づいていた。 

店での買い物する体験が希少に?

 すでに今の大学生から30代くらいの世代には、お店で買い物をする経験自体が我々の頃とは決定的に減って来ている。今後はこれにスマホ・ネイティブ層である現在の小学生から中学生が加わる。

 大人になった時、商店で買い物をする仕方をあらかじめレクチャーしないと、うまく買い物も出来ない。なんていう笑えない話が出てくるのは時間の問題である。

 時代はこうしてドラスティックに変貌する。これからの客商売は、いかにどこにもないものを仕入れ、もしくは自分達で造るなどの調達をして、その店に行かないと買えないものとして、希少価値を付けるか。

 もしくは感動のサービスを提供しファンを作り人を惹きつけるかでしか、ネットショッピングに対抗する手段がなくなってしまうのだ。

 常に新しい商業施設や、オシャレなトレンドが作り出される大都会とは異なり、10年単位でしか変化が見えてこないような地方都市。

 対抗しうる勢力や真剣に魅力アップを作られないと、地方の商業集積は壊滅してしまいかねない状況となってきた。すでに郊外型の大型モールの売り場にも以前ほどの集客力はない。

 スマホの普及とともに、パソコンでのネット検索は次第に過去のモノとなってきている。今の大学生はネットサーフィンをしなくなったという。検索エンジンが勝手に自分の趣向や検索傾向を判断し、あらかじめ画面上にワードを表示する。

 AIスピーカーと話すだけで自分の好きな世界から一歩も出る事なく、暮らす事が出来る世の中の誕生だ。そこに必要なのは“スマホのようなもの”だけ。SNS上ではないリアルな体験をすることで広がる新しい可能性や楽しみをわざわざ造ってあげること。

 スマホを仕舞い人と人との出会いや会話からアナログなつながりを経験し、自分で納得して決断、チェイスをして買い物を楽しむ場をもう一度創造していかなければならない。地方における商業のあり方を一から形づくっていく。



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