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書評_013_ランチェスター戦略「弱者逆転」の法則/福永雅文著

弱きもの、持たざるものの逆転劇。スポーツでもビジネスでも逆転に人は熱狂し、心を奪われる。逆転劇には原理・原則がある。それがランチェスター戦略。本書はその理論を体系的に学ぶことができ、実践へと導く。

営業戦略を立てる役割にいる人、営業マネージャーなど営業に関わる人間がこれを読むと、売上目標の立て方、営業戦略の立て方、営業のかけ方において、見直すべきところが多く出てくる。営業職にはオススメの一冊。

前半では、ランチェスター戦略の原理原則に触れる。そして原理原則だけでは理解が追いつかない部分を、14個の歴史事例と、38個の企業事例を織り交ぜることによってストーリーとしてイメージしやすくしているのが特徴。

中盤では、肝ともいえるシェアについて触れる。企業事例の「トヨタの40%」は必読。終盤では、シェアをどうやって知るのか、そしてどうやってシェアを上げていくのかの具体的ステップに触れ、実践につなげる。

シェア/7つのシンボル目標値
◆74%・・・上限目標値
◆42%・・・安定目標値
◆26%・・・下限目標値
◆19%・・・上位目標値
◆11%・・・影響目標値
◆  7%・・・存在目標値
◆  3%・・・拠点目標値

中長期計画や販売目標を立てるときに、このシンボル目標を知っているか否かで、説得力が全然違ってくる。何年でシェアを〇〇%にしたいから今年の売上目標は〇〇、というようにシナリオを描けるようになるだろう。

ランチェスター戦略3つの結論
①ナンバーワン戦略・・・2位を射程圏外に引き離しているダントツの1位。
2社間競争なら3倍、それ以外なら√3倍の差をつける。
②一点集中主義・・・ビジネス領域を細分化し、部分のダントツ1位を目指すこと。勝てる土俵を選び、商品、地域、顧客層に一点集中する。
③「足下の敵」攻撃の原則・・・自社のシェア1ランク下の企業を攻撃目標にすること。ミート戦略。

上記3つの理解の隙間を埋めてくれるのが歴史事例10。兵力3,000人の織田信長が、兵力20,000人の今川義元にどうして勝てたのか。しかも尾張の兵力は弱いことで有名だったそう。成績不振を部下のせいにしている課長、必読。

著者の福永雅文氏自らもランチェスター戦略を使って弱者逆転された1人。だから説得力がある。戦略も歴史も大好きな人が書いたランチェスター戦略の歴史事例は福永さんしか書けない。ネットにはもちろん載っていない。

自ら勝てる土俵を探し、小さな勝ちを積み重ねて、ある分野で圧倒的な強者になるのか。戦略ももたず、負け癖がついて弱者のままでいるのか。弱者逆転のための教科書。本で読む意味が十二分にある本。オススメです。

侘び寂びという分野で圧倒的な「強者」千利休。
利休の生い立ちから、強者確立までの物語が知れる一冊はこちら。


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