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VTSとは

観察力やコミュニケーション力を高めると言われているアート鑑賞法のVTS(ヴィジュアル・シンキング・ストラテジーズ)。タイトルや作者などの事前情報を全く入れずに、一枚の絵画をじっくり観察して、下記3つの視点で自分の言葉にしていく。それだけです。

VTSのやり方
① 何が描かれているか
② 絵の中で何が起きていて、これから何がおきるか
③ どのような感情や感覚が、自分の中に生まれているか

10回以上VTSをやってみた備忘録として。
VTSはなぜ観察力を上げるのか、なぜコミュニケーション力をあげるのかを経験をもとに振り返ります。

なぜ観察力を高めるのか

何が描かれているかを確認するためには、そこに描かれている「事象・事実」を正確に言語化しないといけません。これは結構難しい。
例えば魚が描かれていたとします。
それをどうして魚と判断したのか、種類は何なのか、どうしてその種類だと判断したのか、その魚は生きているのか死んでいるのか。
僕は単に「魚」としか言葉にできなかったのですが、ミルキクさんは尾ひれの種類からなんという魚なのか特定。しかも正解(笑)。
解像度が高いとはまさにこのこと。あと一歩踏み込んで見えている事実から推測していくこと。その一方で「事実」と「主観」を冷静に分けること。
つまり、「事実」を集めること、それをもとに「推測」すること、なぜその推測をしたのかを問いながら観ることが、観察力を高めることに繋がります。

なぜコミュニケーション力を高めるのか

あくまで個人的な意見ですが、コミュニケーション力とは、ロジックと共感力の掛け算です。コミュニケーション力が高い人は論理的、かつ相手の感情も慮ることができる。その両軸がうまいひとのことだと思います。AだからB、BだからCというようなロジックの部分。これは観察力のところでも触れたように、「何が」描かれているかということを言語化するときに鍛えられます。この絵からどんな感情が自然に生まれるか、という感情の部分。これは想像力です。俯瞰してみたときに湧き出る感情、絵の中に描かれている人物の立場での感情、これを描いた作者の感情。どこまで様々な視点で他者の気持ちになりきれるか、憑依できるか。「自然と」湧き出る感情を言語化していくときに「共感力」は鍛えられます。更に、下記noteで「疑似対話型」を試してみたときに感じたのが、他の人の意見を聞きながらVTSをやると、文字通りそこでコミュニケーション力が生まれるので、更にコミュニケーションの総合力を上げられる、といったイメージです。何はともあれ、気に入ったアートをあれやこれや言い合うのって単純に楽しいので、一番は楽しんでやることが一番です。卓球がうまい人とラリーするとゾーンに入るみたいな感じでしょうか。

VTSに興味を持っていただいた方はこちらの本がおすすめです。
書評を書いたので、是非参考にして頂けると嬉しいです。


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