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01.恋ってなに? ー 愛の正体 ー

やれなかった やらなかった どっちかな

みつを

都内の大学生となった18歳のぼくは、大学やバイト、ナンパ、合コンなどでたくさんの女性と知り合った。

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その頃は、「女性を性的対象としてアリか/ナシか」としてしか見ていなかった。アリの人なら、そこまでドキドキしなくても口説いたし、ナシの人は口すら聞かなかった。

それなのに、すごく綺麗な人が現れると、「あんな人がおれなんかを相手にするはずがない」と尻込み、声をかけることができなかった。断られてショックを受けるのが怖かったからだ。

ダサい。

だから、今まで誰かに対して、心から「好きだ」と言ったことがなかった。

そこそこ可愛い人を口説き、その人が自分の彼女となる頃には、すでにぼくの熱が冷めていることもあった。今振り返ると、それはただの支配欲だった。「付き合う前が一番楽しい」という人は、恋をしたいのではなく、支配したいのだ。

その場の流れで「まぁ、良いか」と付き合うと、いつも数ヶ月で連絡が途絶えた。別れる時も、「まぁ、しょうがないか」とあっさりしていた。そうやって、コロコロ女性が変わっていった。

理想の彼女とデートして、二人でたわいも無い会話をしながら大学生活を送るつもりが、一向に「好きな人」には出会えなかった。


大学4年、冬。

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就職活動を終え、単位も取得し終えたぼくは、アーティストとしての個展準備や、イラストコンテストの参加、一人旅など、大学生活で一番充実した日々を送っていた。やりたいことがどんどん叶って、少しずつ自分に自信を持つようになった。

そんな時、ぼくの前に「好きな人」が現れた。

恋は、自分が能動的に活動している時に訪れる。

その人のことをずっと見ていても飽きなかったし、その人の言動は全て正しく聞こえた。不思議と性欲は湧かなかった。考えるほどの余裕もなかった。会って、話せるだけで、心臓が飛び出そうになった。その人が話すことは全て素晴らしく感じた。その人が他の男と話していると勝手に胸が締め付けられた。

そしてぼくは、生まれて初めて、本心で「好きだ」と言えた。
その人に告白した後、何故だか頬に涙が落ちた。

自分の気持ちを正直に伝えられたことにホッとした。
言わずに後悔するより、言ったほうが100倍良い。
今までは、言えなかったんじゃない。言わなかったんだ。

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結局、その人とは恋人にはなれなかったけど、ぼくはこの時「恋」の意味が分かった。

恋とは、四六時中その人のことで頭がいっぱいになることだ。
その人が世界で一番魅力的で、ずっと見ていても飽きないし、性欲なんて湧く余裕もない。会って話せるだけで最高な気分。それが、恋だ。



エシモ

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