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授業の受け方は100通り


授業の受け方は100通り

多様性という言葉がすごく便利でなんでもかんでも多様性だ、と一蹴してしまうのは違うけれど、何かにつけて多様性というのは大切だと思う。そもそも多様性に対して抵抗感が大きいのは、日本人であることが多いように思うのだけれど、それは近代教育がもたらした均質化に他ならない。倣え右の文化で育ったからこそ、はみ出すのを怖がってしまう。僕もそんな環境に20年くらいいたから、いざ多様性だと言われてもなかなか受容体制は整っていない。人間の本質が多様性にあったとしても。

それでも一歩外に出てみると、そこには多様な世界が広がっていて北欧はその先駆けとされることが多い。スウェーデンは今でさえナショナリズムが昂揚しているものの、少し前までは移民大国と呼ばれていた。スウェーデンに比べたらノルウェーは移民に対して厳格と言われるかもしれないが、現地で生活している身としては結構それっぽい人は多い。いわゆるノルウェー人ではない人とすれ違うことは日常茶飯事だ。

そんな多様な生活が当たり前化している中で、教育での多様性にも目を向けてみようと思った。きっかけは先日の授業。ラップトップをカタカタさせながら授業を受けているクラスメイトに対して、教授(ノルウェー人ではない)が少し苛立ちを見せた。少なくとも僕にはそう見えた。その生徒の元へ行った教授は、「何をしてるの?いま説明していたことをもう一度言ってみて」と聞く。クラスメイトは淡々と答え、教授は少し歯軋りをしてまた授業に戻った。

色々な外的要因から教授は苛立ちを見せたのだと思うが、おそらくクラスメイトが授業に関係ないことをやっていると想定しての質問だったと思う。塾講師を2年半くらいやっていた身として、教壇から生徒の様子は本当によく見える。こっちを向いていても聴いてないなってわかるときもあるし、見てなくてもちゃんと聴いているとわかるときもある。それくらい目線や表情から読み取れてしまうものだから、今回の場合もSNSをやっているかで授業に集中していないと思ったのだろう。でも、事実クラスメイトは聴いていた。彼女がラップトップにメモをしているのは前々から知っていたので、僕からしたら特に違和感はない。

セメスターが間も無く終わるということで、今日の授業は総評だった。僕がいるプログラムには複数の教授がいて、クラスごとに一人の教授がオーガナイズするというスタイルだ。いわゆるオムニバス形式。その教授が僕たちに今学期の振り返りを聴いていく中で、彼女がその時の様子を話した。少し怖かったようだ。それに対して、一人の生徒が教授をかばうような発言をする。教授によって授業スタイルが違うからそれに合わせよう。授業中にスマホやラップトップはあまり良くない。こんなことを言っていた気がする。

僕としては頷けなかった。彼女をかばうわけではないけど、教授にも授業スタイルがあるなら、生徒にも学びのスタイルがある。紙媒体でメモをしたければそれで良いし、Macのメモ機能でメモしたいならそれで良い。なんならiPhoneのメモ機能を使ってもいいと僕は思ってる。財布を持たない人、現金を持たない人が増えて、なんでもスマホで完結できる今だから、iPhoneでも論文を読める。ここでポイントなのはこの読み方の是非ではなくて、読みにくいかどうかの話。

初等教育ではまた状況や目的が異なるから話は変わってくるけど、僕がいるのは高等学術機関。しかも、修士課程にいるのだからみんなそれなりに勉強してきているはず。そこまできて授業の受け方を指摘されるのは、なんだか悲しいなと思う。

なんでもいいじゃん、と言ってしまったら軽くあしらったようにも聞こえるが、本当になんでもいいじゃんと思う。程度の問題で、他のクラスメイトに迷惑をかけない範囲内ならどんな手段で学ぼうがその人の勝手であって、責任であると思う。そもそも、ノートの仕方以前の話で授業中にご飯を食べる方が問題視されるべきだと思う。日本の大学にいた時の大教室ではそこまで見なかったけど、こっちでは少人数であっても割と見かける。食べるものにもよるけど、食べ物は香りがつきものだからそれこそ授業の妨害になっているのでは、、と思ってしまう。さすがにいないだろうけど、隣でマックのポテトなんか食べられたらたまったもんじゃない。

授業の受け方に多様性というマジックワードを使っていいものなのかはわからないけど、性とか国籍とか以外のフィールドでも多様性に目を向けるべきだろうなと思ったり。たぶんそっちの方が受容しやすいと思うんだけどな、。

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今日の一枚。多様性といえばの写真。プライドパレードに行ったのは2ヶ月前になるかな。懐かしいと感じるほど時の流れを感じます。

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