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余所者

どいつもこいつもドイツ人もでおなじみのオーストラリアだが、チャツウッドのフィットネスファーストがこの月曜から木曜の間にシャワールームの全面改装に入(りやが)った。

冬のほうが影響が少ない、というオフィスのエアコン工事と同じ理由だろう。

しかしコンバットをやりにいってもシャワーを浴びられなければこまる。だから行けない。

と、今回は今までになかった素敵な提案があった。
近所の系列に行っていいよ、ってことなのだ。基本的にどこでも行けるのがこのジムの売りだと思うが、単館契約もできる。ということで普段の俺はチャツのしかいけない。

が、今回はやむを得ないということで出張可能の許可が出た。

で、ウィロビーのフィットネスファーストに行ってきた。
ボディコンバットのクラスがあったからだ。

知らないところに初めて行くから朝から緊張する。違う場所でコンバットのクラスに出るからには俺は余所者である。余所者だと分かれば石を投げられ、罵声を浴びせられる可能性も0.00007%くらいはなくはない。

看板を見つけ撮影。坂を上って建物に入り、受付に行く。カードを出して事情を説明すると感じよくロッカーが使えるようにしてくれた。
どうやらいきなりの罵声はないようだ。
ただ、油断させて中に入れておいてあとで一斉に、という可能性も0.0000006%くらいなくはない。

初めてのところは勝手が分からないので戸惑う。
ボディコンバットの部屋もチャツのとは構造が違った。

インストラクターのステージの向こうは全面窓。鏡は左側の壁にあった。チャツはステージ側が鏡だから、自分の姿を見られるのがいい。横にあっても困る。何を見ろというのだろう。とりあえず無いよりはあった方が的な適当感が見え隠れする。

時間がきてスタートの運びになる。
人数は13,4人。スカスカだ。それに参加者が見るからに年配と言える人たちしかいない。一番生きのいい雰囲気のご婦人があたしは息子3人育て上げたからね。と孫の顔も浮かびそうな感じなのだ。おじさん二人はいかり肩になっていて、若さからは遠くはなれてしまっていた。あとは推して知るべしである。

それでも俺は気を抜かず、いやむしろ全力でやった。俺に攻撃しても無駄だぜ、というオーラを出さねばならない。

隣のおばあさんはリズムにのることをあきらめたからくり人形のようだった。余所者を気にするどころではなかった。

その向こうのふくよかなおばあさんは腕を振っているだけのように見えた。この場に来ただけ偉い、凄いと褒めてあげたいくらいだった。

どうやら罵声はなさそうだった。それに石を投げても俺のところまで届きはしなさそうだった。

部屋の構造だけでなく、コンバッターたちも違った。

チャツウッドのクラスがとても恋しく思えた。

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