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今日のランチはヒデの作ったチャーハンと焼きそばとスープだった。ヒデの作った飯は旨い。

今日のランチはシェアメートのヒデの作ったチャーハンと焼きそばとスープだった。ヒデの作った飯は旨いから好きだ。炭水化物の組み合わせという選択も男3人なら悪くはない。

パイロット志望のジュシンは昼になっても起きてこなかったが、ヒデが「メシだぞーっ、おいっ」ってフライパンをすりこ木で叩きながらたたき起こした。(鬼だな、あいつ。)

でまあ、昼メシを食いながら3人で『Death Note』のDVDを観た。

議論は敢えてしないが一応言っておくと
「抑止力」の存在を信じる俺は
ライトがキラであることには反対ではない。

まあいい。

「『Death Note』あったら凄くない?」
「でも死神ついてきたら怖くない?」
「いつもリンゴを買い置きしとかなきゃなんないよね」
「今リンゴ高いじゃん。」
「欲しいの?『Death Note』。」

俺は考えた。
キラのように犯罪者を次々に葬っていくことが
果たして俺にできるだろうか。
しかしそれがもし人々の平穏な暮らしに繋がるのなら…。


「俺いらない。」


世界平和に思いを走らせていた俺の思考をヒデが妨げた。
(モグモグやりながらしゃべるなよ)

普段は何ひとつこれっぽっちも考えていなさそうな、
下手したら人類のカテゴリーから外れてしまいそうなヒデが
そこまできっぱりと『Death Note』を否定するなんて…。

字が書けないのかな。

いやいや、本当は心根の優しいこいつは
たとえそれが人を殺した殺人犯なんかだったとしても
他人を死に至らしめることなんてできないんだろう。

「俺、『Lotto Note』が欲しい。
書いた番号がミリオン当たるヤツ。」

「……。」


普段は何ひとつこれっぽっちも考えていなさそうな、
下手したら人類のカテゴリーから外れてしまいそうなヒデは
世界平和より金儲けに思いを走らせていた。

そんなことで恥ずかしくは無いのか?
世界の犯罪は多様化し、複雑化していく一方なんだぞ。
その犯罪を食い止めるための『Death Note』だぞ。
おい、ヒデ、聞いてんのか?

「れんさんにはあげないよ。」

「えっ」

ベランダの向こうのMowbray roadを
トラックが大きな音を立てながら通過した。
空は青い。

「れんさんにはあげない。うふふっ。」
再びヒデはそれを口にし、不気味な笑みをこちらに向けた。
口の周りにくっついた青海苔が滑稽で阿呆に見える。

しかし何という恩知らずなヤツ。
今お前が食っているその焼きそばは
俺がはなよさんから貰ったんだぞっ。

起きたばかりのジュシンは、
起きたばかりとは思えないほどの食欲で
掃除機なのかとは思えるスピードでチャーハンを吸い込んでいる。

うん?待てよ…
『Death Note』でヒデを亡き者にし、
『Lotto Note』を奪って大金持ちに…。

脳裏にこの図式が浮かんで、思わず口元が緩んだ。

青海苔が付いてるとやばいことに気づいて、
急いでティッシュで口の周りを拭った。

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