「799」とお姉さんはさほど大声とも言えぬ声で言った。
弁当屋にお昼(3時前だった)を買いにいった。
何人か自分の注文した弁当ができるのを待っていたわけだが、ある弁当が厨房からレジの人へパスするための棚にポンとのせられたーーーーーーまましばらく放置されていた。
待っている客はもちろんその弁当に注目している。弁当が送られてきた瞬間に自分のができたんじゃないかと身を乗りだす。その気持ちはよくわかる。
しかしレジの人は気が付かないのか、レジわきで全然別のことをやっていて、その弁当には見向きもしない。
誰かが何個かまとめて弁当を買っていて他ができるのを待ってるんだろうな、と俺は勝手に思いつつ、自分の弁当ができるのを待つ。
で、次の弁当が厨房から送られてきたときに、レジの人が厨房の人に注意された。その放置された弁当のことだ。できているのに渡していないってわけだ。
それはおねえさん怒られて当然、文句は言えん。待ってる人はこんなにいるんだから。
あのお兄さんなんて同じ首の角度でどんだけスマホいじってると思ってるんだよ。首の血が固まっちまうよ。そうなったら首をレンジでチンするしかないよ。その弁当と一緒にチンしちゃえよ。
というわけで、こりゃやばいな、と思ったよ。みんな最初からその弁当見てんだから。ずっとほったらかされてたことみんな知ってるんだよ。
おいおいこれさっきからずうううっとそこに置いてあった奴じゃねえか。もうぜんぜん冷めちゃんてんじゃねえかよ、ああ、どうしてくれんだよ、あ"あ"っ?とかなんとか言っちゃって、そこのおじさんだったら怖いよー、ビビらせまくられちゃうよ。
「799」とお姉さんはさほど大声とも言えぬ声で言った。
ほら、799、誰だ、799。お兄さん?それともそこのおっさん?女子学生二人組か?
誰も動かないので手元のレシートに目をやると…。
まあ俺の人生、大体こういう星回りである。
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