虎文 蓮

Ren Kofumi /腐/出戻り字書き/ 一次創作の小説を書いてます。

虎文 蓮

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マガジン

  • 即興小説トレーニングまとめ

    即興小説トレーニングで書いたお話をまとめています。

  • エッセイや雑文など

    気まぐれに書いたエッセイなどをまとめています。

  • 篝室商会業務日報

    一次創作小説。 国に無許可で幽霊祓いしてる野良業者の二人組の話。断片的な話を書いては不定期にアップしています。

  • NaNoWriMo 2020

    11月の1か月間で、50,000単語の作品執筆に挑戦するNaNoWriMo(ナノライモ/National Novel Writing Month)へ参加しました。このマガジンは、執筆期間中に書いた分量の記録や執筆中のあれこれをまとめたものです。

最近の記事

戦いの終わりに

※即興小説トレーニングで書いたお話です。 お題:知らぬ間の吐息 制限時間:30分 文字数:950文字 掲載元:http://sokkyo-shosetsu.com/novel.php?id=625528  すっかり日が暮れてしまった、暗い公園のど真ん中で一人の少女が大の字で寝転がっている。白いワイシャツにプリーツのスカートという出立ちの彼女は、目を閉じているようだ。 「おーい、大丈夫か」  公園の出入り口から入ってきた背の高い少年が、そう声をかけながら少女に歩み寄る。 「…

    • 中古の相棒

       昼過ぎ。予定より少し遅くはなってしまったけど、事務所へと到着した。  主要鉄道路線の駅から徒歩十分程度のところにある、築年数古めの雑居ビル中層階。ここが今日から俺の新しい仕事場だ。机などはまだ手配していないため、ガランとした空間が広がる。しばらく人の出入りがなかったのか、細かい埃が窓から入る日差しに照らされて宙に浮かぶのが見える。  少し室内の空気を入れ替えておくかと思い、アルミサッシの窓を開けたところで配送業者のトラックが視界に入ってきた。雑居ビルの前で停止したのを確認し

      • 自分で書いた小説を、本にしてみた。

        先日、偶然にもTwitterのTL上でこのような企画を見かけまして。 本当に偶然、だったなあ……。 案内を読んだところで、 「いやこれ、500の枠なんてすぐ埋まっちゃうんじゃないの?」 「ひょっとして、5月までもたないのでは?」 という思いがすぐに脳裏をよぎったので、その日の深夜に入稿から何から全て済ませてしまったのでした。 ちなみに、キャンペーン自体は応募が殺到して4月1日に終了した模様。先送りせずに、すぐ動いて良かった……。 自分自身、今現在はオンラインでの一次創作を

        • 月から還ってきた少年

          「実はね、僕は昨年の春に月から還ってきたんだ」  彼があまりにもそっけなく言うものだから僕は思わず、へえそうなんだ、と相槌を打ちそうになった。  少しだけ間を空けて、僕は彼の方をちらりと見た。いつもと同じように、彼はどこか遠くをぼんやりと見つめたままだった。屋上から見下ろす桜並木はすっかり緑色の葉で覆われ、からりとした風が僕たちの間を静かに吹き抜けていく。  彼とは、図書室の一角で言葉を交わしたことをきっかけに顔を合わせては話すようになった。桜の花びらが強い風に巻き上げられて

        戦いの終わりに

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        • 即興小説トレーニングまとめ
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        記事

          名も無き日々のカケラたち 1

           すりガラスがはめ込まれた木製の引き戸を勢いよく開けたフユキは、憂鬱そのものといった表情を浮かべていた。濃紺色のブレザーの下には厚手の黒いパーカーを着ており、被っていたフードをやや乱暴に脱ぐと明るめの茶髪が露わになった。 「まーたお前か」 「またとはなんだよ、またとは」  教室内の一角には、先客とも言える黒髪の少年が椅子に座ってフユキを見つめ返していた。フユキと対等な勝負ができそうなくらい、その表情はくもりに満ち満ちている。ブレザーの下には、学校指定となっている緑色のジャージ

          名も無き日々のカケラたち 1

          文字で殴る夢を見た

          ※即興小説トレーニングで書いたお話です。 お題:小説の山 制限時間:30分 文字数:1853字 掲載元:http://sokkyo-shosetsu.com/novel.php?id=610707 「ささちゃん、今ちょっといい?」 「どうしたんです、サイトウ先輩」 「昨日ね、変な夢見ちゃってさ」 放課後文豪クラブ、今日も活動を開始……というところで、サイトウ先輩が私へいきなり話しかけてきた。 「内容が内容だったから、ちょっと誰かに話しておきたいなあと思って」 「はあ……」

          文字で殴る夢を見た

          先輩は取り憑かれている

          ※即興小説トレーニングで書いたお話です。 お題:肌寒い小説家 制限時間:30分 文字数:1856字 掲載元:http://sokkyo-shosetsu.com/novel.php?id=610633 「先輩、そろそろ窓閉めてもいいですか?」 「いいよ」 「今日も半袖なんですね。寒くないですか?」 「ちょっと寒いくらいがちょうどいいんだよ」 「へ、へえ……」 言って、私は半分ほど開け放されていたアルミサッシの窓を閉めた。当の本人はどこ吹く風やらといった感じで、黙々と、かつ順

          先輩は取り憑かれている

          創作文字書きQA 回答

          Twitterにて見かけたこちらの質問集に回答してみたいと思います。 ファボの数は関係なく答えます。全体的に長いので、そこんとこよろしくです。 1:創作をはじめたきっかけそれまでもっぱら漫画を多く読んでいた自分にとって、教材付録情報誌の中で連載されていた小説「ふしぎ少女ミコ」(作者:沖 貴雪/イラスト:科基 鋼鉄)は良い意味で衝撃を受けた作品であり、今となってはこの作品と出会えたことで「自分もこんな風に物語を自分で作ってみたい!」と強く思うきっかけとなりました。 (※この件

          創作文字書きQA 回答

          既に明けてた2022年。

          もう新年じゃん、ということで。 とりあえずnote初めしておきます。 昨年末に2年ぶりの帰省をしました。 帰ったと思ったら即降雪に見舞われ、かなりの量の雪に閉ざされた結果行きたいと思っていたところにも出かけられず…温泉行きたかったな…。 年始も家でまったりして、家族と共に雪かきをし(※思えばこれがぎっくり腰誘発のトリガーだった気がする)、必要最低限の外出に留め、ひっそり過ごしてましたとさ。 で、実家を離れ自宅に戻ってきて、後日部屋の整理をしていたら人生初のぎっくり腰になった

          既に明けてた2022年。

          秘密の魔法少女

          ※即興小説トレーニングで書いたお話です。 お題:暴かれた、と彼は言った 制限時間:1時間 文字数:1864字 掲載元:http://sokkyo-shosetsu.com/novel.php?id=605313  放課後。  教室で荷物をまとめたところで、さて帰るか、となったところで僕のスマホが通知を告げた。 「今日、この後用事ある? ちょっと話したいことがあるんだけど」 と、あいつから連絡が入った。  今日は病欠を理由に学校を休んだあいつ、から。 「なあ聞いてくれよーー

          秘密の魔法少女

          リベンジは容易くなんかない

          ※即興小説トレーニングで書いたお話です。 お題:壊れかけの復讐 制限時間:1時間 文字数:2911字 掲載元:http://sokkyo-shosetsu.com/novel.php?id=605306  それは先週のことだった。忘れもしない、週末の夜。  土曜出勤を終えて、自宅に帰ったのは20時過ぎ。仕事での疲労も溜まりに溜まっていたけれど、帰り道の途中で道路の渋滞に見舞われるなどして更に疲労が蓄積し、くたくたの状態で俺は玄関のドアを開けた。  ちょうどその頃、自宅には誰

          リベンジは容易くなんかない

          本棚は、昔から身近な存在だった。

          先日、こういった呟きを見かけた。 何となく腑に落ちるところがあったので、自分の子ども時代を振り返ってみることにした。 小学生時代、自分が圧倒的に読むのは漫画本が多かった。 何故かというと、小学館の小学生向け月刊誌を長年読んでいたことも大きいが、それと同時に居間の一角にあった木造本棚に漫画単行本(「SLAM DUNK」などの少年誌作品)がいっぱい詰まっていたからだ。おそらく、父親が買い集めて読んでいたものだと思われる。 また、これとは別に、廊下には英語教材セットやまんが日本

          本棚は、昔から身近な存在だった。

          思い出のルーズリーフ

          さかのぼることウン十年前。 子どもだった自分は、ひとり頭の中で考えたオリジナルの物語を書くことに熱中していた。 気の向くままちまちまと絵を描くこともあったけれど、物語る手段として自分は小説を書く割合が大きかったように思える。 小学生の頃は、B5サイズの横書きノートを使うことが多かった。時間が許す限り、否、時には宿題の時間を削ったり授業中にもこっそり話を書くまでに至った。今考えると相当のめり込んでいたというか、自分の頭の中で展開されるお話をとにかくアウトプットしたくてたまらな

          思い出のルーズリーフ

          古いコレクションに関する事案について

          ※この即興短編から生まれた二人組を使って短いお話を作りましたとさ。国に無許可で幽霊払いしてる野良業者の二人組、という設定です。

          古いコレクションに関する事案について

          にゅるんと一発

          ※即興小説トレーニングで書いたお話です。 お題:楽しかったところてん 制限時間:30分 文字数:1374字 「あれ、なんだっけ。なんて言ったっけ、あの道具……?」 「えーっと……細長い棒でぎゅっと押すと、にゅるんって出てくるあれだよね?」 「そうそう」  表現がやや不安定な会話を互いに交わしつつも、頭の中には共通の道具が浮かんでいると信じたい。流しの下にある戸を開けて、相方ががさこそと何かを探し始めた。 「だいぶ前に買っておいたんだけど、一回も使わずじまいでさ」 「頻繁にな

          にゅるんと一発

          紙一重の苦痛

          ※即興小説トレーニングで書いたお話です。 お題:苦しみの火 制限時間:1時間 文字数:1420字 掲載元:http://sokkyo-shosetsu.com/novel.php?id=593204  赤く燃え盛る火は、私自身を焦がすことはない。それでも、近づく者全てを焼き尽くす分には到底十分過ぎるほどであった。  いつからこんなことになってしまったのだろう。 「不吉だ」 「忌まわしい」 「恐ろしい」 「醜くて、悪い存在だ」  そんなことを、人間たちから言われるようになっ

          紙一重の苦痛