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【読書感想文】人生の成功とは何か 最期の一瞬に問われるもの/田坂広志

今回、田坂先生のこの本を読み終えて真っ先に思ったことは、
「だから、私はまだ生きているんだ。」ということだった。
何かをやり遂げ、成長を遂げ、自らの人生を素晴らしい旅だったと振り返ること、それがまだまだ遠く感じる。

この人生哲学といえる名著の冒頭。
「誰もが、かけがえのない人生を、生きている。」
「誰もが、人生の成功を願って、生きている。」

この言葉とともに、ドイツの哲学者、ニーチェの「永劫回帰」の思想についてから始まる。

人生の最期の一瞬。
そのときに「ええ、素晴らしい旅でした。この旅に出ることができた、そのことが私にとっては最も深い感謝です。」
今現在の私には、とてもそんな風に言える最期は迎えられないと思った。

人生の成功について、3つの思想から丁寧に解説されていくなかで、これまでの人生で私が取ってきた行動や思考が徐々に整理されていく感じがした。

結論から言うと、これまでのまだ短い私の人生において、人生の成功の3つの思想は、まだどれも遠い。

その1「勝者の思想」
人生を競争と考え、その競争において「勝者」となること。
ーーしかし、勝者になれるのは、一握りの人間だけである
ーーそして、勝者になっても、成功の喜びを感じることができない
ーー誰かが何かを得れば、かならず誰かが何かを失うことになる

私は親によって長く敗者としての刷り込み教育を受けてきたが、日本人には結構多いように思う。
良い成績を取っても、表彰されても、「あんたなんかが?」と、こんな風なので、褒められた記憶がない。
そこで、常に敗者の意識が根付いていて、今思えば、当時は常に失う側にいたように思えてきた。

その2「達成の思想」
人生において「目標」を定め、それを「達成」すること。
自分自身のベストを尽くして山の頂にたどり着く。
ーー「喜びの奪い合い」から、「喜びの高め合い」へと。

この有形無形問わず、失い続ける無限ループをどうしたら抜け出せるのかを考え始めた頃から、達成の思考に深化していたのかもしれない。
常に欠乏感。なにも持っていない私。
このひどく、虚しい、空っぽの、ただ存在しているだけから脱出したい。
今思えば、これが、私が人生において一番最初に求めたものだったように思う。
この本を読むまでは、ただの学もなければ根性もない奴、くらいに自分のことを思っていたが、私は求めて動き出したのだと考えを改めることにした。

その3「成長の思想」
人生の「困難」と格闘することによって、人間として「成長」すること、
そして、人間として「成長」し続けていくこと。

「否定的な出来事」から「可能性を拓く機会」へ
ーー夢:困難に挑戦できるから抱くのだ

「達成する強さ」から「成長する強さ」へ
「人物の成長」から「1日の成長」へ
ーー1日を生き切る。

「無」「空っぽ」を埋めるための学びから、学びを生かす機会創出へと変わっていった時期があったことを思い出す。
そして、私が「夢」を抱くことがなかった理由も見えてきた。
ただただ、ここに存在しているだけの私ではなく、存在する意味が欲しかったから、そのために成長を求めて続けてきたのだという考えに至った。

今のところ、私の意欲の源は「欠乏感」にあり、その次の深化ステージ「感謝から生まれてくる意欲」までの道のりは見えていないようだ。
それでも、この本を読み、自分自身の求めるもの「成功とは何か」がぼんやりと輪郭を持ってきたように感じる。
おそらく、今の私にとっての成功とは、
「私自身の存在意義をみつけること」
だから、ビジネスで実績を残したり、誰かの成功のサポートをしたいと思っているのではないか。

最期の一瞬に問われるもの
たとえ目的地に辿り着くことができなくとも、
その目的地を目指して、力の限り歩み続けていこう。
そして、どこまでも成長していこう。

巻末のこのメッセージには、おそらくまだ続いていく人生の
1日1日を生きる勇気をいただいた気がする。


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