見出し画像

台湾と日本 〜私たちが知っておくべきこと〜

まえがき

こんにちは、初めまして。私は外国語・多文化共生・国際関係について大学で学びたいと考えている高校生です。今回この場をお借りして、皆様に台湾のことを発信できればと思います。この投稿は、皆様に発信するとともに、私自身の知識整理のためのものだということをご理解いただけるとありがたいです。長くなってしまいましたが、一読していただければ、必ずや皆様の台湾に対する見識を変えられるだろうという思いで書いたので是非読んでいただければ。

 さて、私が台湾のことについて勉強し始めた発端は、大学の選抜入試の際のネタづくりでした。しかし、勉強するにつれ、台湾の魅力に惹かれ始めます。これは私なりに、本を読んだり調べ物をしたりした上で知った事、感じた事をまとめたものです。
 とあるSNSで「日本人が最も好きな国はどこか」といったアンケートを目にしました。それには、日本人が最も好きな国は台湾であるという結果がありました。理由は台湾は親日的な国家だからというものです。「彼らが好きと思ってくれているなら、私たちも好きだ」という具合です。しかし皆さんは、なぜ台湾の人たちが日本に対して好感を持ってくれているのかその理由を知っていますか?残念なことに、日本における台湾の見識は浅いのが現実です。高校世界史においても深くまで学習はしません。知らないのも無理のない話です。しかし、台湾のことが好きだと主張するのならば、そして台湾が日本に対して好意を寄せてくれているのならば、日本が台湾を植民地として統治していたという事実を、現代に生きる私達が礼儀として知っておかなければならないことだと思うのです。
 台湾の中国文化のベースが築かれたのはオランダ統治時代。当時中国と日本の貿易に参入しようとしていたオランダは、バタヴィアに拠点を、日本平戸に商館を置きました。しかし、バタヴィアと平戸はあまりにも遠く離れており、台湾が格好の寄港地でした。台湾はオランダの統治下に入ります。当初オランダによる台湾経営は、貿易港安平に限られていましたが、やがて先住民族を支配し、稲作やサトウキビ生産のために対岸の福建省から漢民族を移住させました。これ以降漢民族が台湾に大量に移住し、台湾の人口の多数を占めることになります。それが今の台湾のベースですね。その後中国清王朝の統治を経て、日本による統治時代を迎えます。日本による統治が終わり、第二次世界大戦終了後、日本は敗戦国となりました。本土では中国共産党と国民党との争いが続いており、国民党が台湾に逃れてきました。国民党の官僚達は、日本が残した企業や専売制度を吸収し私腹を肥やしました。また、本土では両党の争いが続いたため、台湾に逃げた国民党官僚らは台湾人に労働を迫り、その産物を本土に送って本土の国民党を支援しようとしたため、台湾内における作物が不足し、台湾人の生活は困窮を極めました。そんな中で、国民党警察官と1人の市民の衝突が発生。警察官が市民に発砲します。当然台湾人の不満は爆発し、二・二八事件は起こります。2万人を超える台湾人が国民党による弾圧・虐殺で命を落としました。

二・二八事件 抗議する市民達

 当時台湾では「犬が去り、豚がやってきた。」 という諺が流行しました。「犬(日本)は小うるさいが番犬として役に立ったが、今度やってきた豚(国民党)はただ寝るだけだ」と揶揄したものです。日本は統治時代に鉄道や水道を整備し、台湾発展に貢献したのは事実です。対して、後に台湾へやって来た国民党官僚は汚職を極めたことで台湾人は生活難に陥り、最終的には二・二八事件という空前絶後の凄惨な事件を起こしました。これをきっかけに、台湾では日本統治時代を懐かしむ声が相次いで生まれました。これが、今日の台湾が日本に好感を持つ所以の大元となる部分です。では、日本は台湾に住む人々に対して何もしなかったのかというと、そうではありません。原来台湾の先住民族は島全域に分布していました。日本統治以前の清朝統治時代、台湾先住民と漢民族の居住域は厳格に区切られました。その仕組みを後にやって来た日本の台湾総督府が継承し、先住民たちを山岳地帯に閉じ込める方針を取ります。総督府(日本)は武力でもって彼らを包囲し、それに抵抗する者があれば、その一族を皆殺しにしました。とある時先住民族達が日本人に攻撃を仕掛けます。先住民たちの不満が爆発したのです。これに対し日本は、報復として爆撃、毒ガスの散布などを行い、先住民族を虐殺しました。日本による先住民族のぞんざいな扱いは止まりません。太平洋戦争時、日本は自国の兵士以外に、先住民族を徴兵します。彼らは悲願の、日本人と対等に扱われることを期待して日本に協力しました。しかし、太平洋戦争が終結した頃はすでに台湾は日本ではありませんでした。国民党による統治の時代です。彼らが戦地から戻ったころにはすでに台湾は日本ではなくなり、それを理由に先住民族に対して恩給を支給しませんでした。太平洋戦争の歴史に、彼らの影は語られません。
 台湾が日本に対して好感を持つ理由は、中国国民党時代と、先代の日本統治時代を比較した際、後者の行為が目に付かないほどの悪行を前者が極めたからであり、とはいえ日本も台湾先住民に対して容赦ない弾圧を加えました。この背景を知らずして「台湾が好感を持っているのならこちらも台湾が好きだ。」と主張するのは、あまりにも虫のいい話ではないかと思います。関心を持つ切り口としてはそれでも良いのかもしれません。しかし、そこで終わらず、その一歩先へ進まないといけないのです。台湾の歴史を見ると、オランダ、清朝、日本、国民党と、常に外側の勢力によって統制されてきました。思えば、国旗も国歌も中華民国という国自体も、彼ら台湾人のものではなく、外からもたらされたものです。彼らに十分な決定権は与えられてきませんでした。それも今や終わりを迎え、やっと彼らの時代がやってきたのです。彼らが拼音ではなく注音符号を用い、簡体字ではなく繁体字を用い、学校で台湾語を学ぶようになったのは、間違いなく自分達が台湾人であるという意識が高揚し始めている事の現れです。なぜ彼らが元統治者の日本に対して好感を持っているかというと、彼らは常に統治され続けてきたため、内政について考える時、歴代の統治国を比較する他なかったのです。その結果、日本がマシだったというだけなのです。
 台湾人は日本のことを本当によく知っています。政治、経済、流行の情報はすぐさま台湾に共有されます。しかし、わたしたちはどうでしょうか。台湾人のことをどのくらい知っているでしょうか。日本が統治者だったという事実は消えません。にもかかわらず、彼らは日本を友好的に思い、東日本大震災の時には支援をしてくれました。私たちが今何をすべきかということは目に見えているはずです。そう思えば、今の台湾有事も、日本にとって無関係ではないはずです。 

この記事が参加している募集

#最近の学び

181,034件

#探究学習がすき

7,415件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?