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中小企業のPR:直筆お手紙作戦
大手マンションメーカーで広報担当15年、PR会社経営15年のPRプランナーが、地方の中小企業に特化した広報PRのヒントを発信しています。
1.地方の小さな会社ならではのメディアアプローチ手段
地方の小さな会社や個人商店では、「日本一の技術を開発した」など、間違いなくニュースになるネタがそうそうあるわけじゃないですね。だからといって、「うちのような小さな会社がマスコミにプレスリリースって、おこがましい」なんて、思わないでくださいね。
前回までに、プレスリリースにはオーソドックスな形があって、奇をてらわない方が良いと書きましたが、これは中小企業の中でも、ある程度の規模をもって動いている会社の場合です。
たとえば「脱サラした主人が郷里に帰って小さなお店をオープンする」。あるいは、「社長夫婦と従業員数人の町工場が初めて自社オリジナル商品を作った」。「今まで新聞やテレビで紹介されたことがないけれど、ぜひ広く知って欲しい」。そんなときは、形式的なプレスリリースよりは「社長からの直筆のお手紙」を地元メディアに直接送るほうが記者の心に届き、取材につながる可能性が高いんです。
2.記者あてに、思いをつづった手紙を書こう
先ほど述べたとおり、主要な新聞社やテレビ局には一日何百件というプレスリリースがFAX、メール、郵送などで届きます。記者たちは取材や執筆の合間に、それらをなかば機械的に読むので、小さな会社の社長が一生懸命に書いたプレスリリースも、ニュース価値が読み取れなければそのままスルーされて終わるケースが多いのです。
ここでお教えする「お手紙作戦」は、他社の幾多のプレスリリースとは一線を画す情報提供の方法です。これは、特に地方の新聞社やテレビ局に初めてアプローチするときには、とても有効なやりかたなんですね。
自分が毎日読んでいる新聞の県版や地域経済面には、文末に記者の名前が載った「署名記事」があると思います。その記事を読んで「いいな」と思ったら、その記者あてに直筆のお手紙を書いてみましょう。
送り先は、その面に記載してある当該新聞社の支局。体裁はハガキよりも、会社名などを印刷していない無地の便箋・封筒の方が良いでしょう。
3.たとえばこんな文面で
お手紙には、記者の記事を読んだ感想、苦労話や熱い思いを盛り込む。たとえばこんな感じです。
「△△新聞社・・・様 はじめまして。 ○月○日付の貴紙の・・・様の記事を拝読し、心温まる話に非常に感銘を受けました。取材等ではご苦労が多いこととお察しします。私はA市で、金属部品製造工場を営んでおります。これまで30年間○○重工の協力会社として細々と経営してまいりました。ところがご存知の通り、今年で○○重工が同事業から撤退することが発表され、弊社は苦境に立っております。そんな時、古参社員のアイデアから、高齢者の介護に役立つオリジナル製品の□□を開発し商品化しました。□□はこれまでにない××という機能を備えております。この製品で将来への活路を開くとともに、高齢化社会の課題を少しでも解決していきたいと考えています。どうかご取材いただき、□□を多くの方々に知らせていただけないでしょうか。・・・・・」
4.記者魂に訴える、苦労話と社会貢献への意欲
「自分の記事を読んで感銘を受け、ぜひ助けてほしいと名指しで頼まれた。なんとか力になれないだろうか」と、あなたがその記者だったら思うのではないでしょうか?すぐに記事化はむずかしくても、取材にだけは行ってみたい、会ってみたいと思うはずです。もし自分の担当分野と違うときも、間違いなく担当の記者につないでくれるでしょう。
多くの記者は、世の中のため、人のためになる記事を書きたいと思っています。自分が書いた記事で、誰かを救うことができたら、さらにその記事がきっかけで社会のためになる製品が広がっていったら、記者冥利に尽きる仕事になるはずです。
プレスリリースでは伝わらないものが、一記者への心を込めた手紙なら伝わり、取材を呼ぶことができる場合もあります。あなたの商品やサービスの誕生の裏に、人知れぬ苦労話や感動秘話があれば、お手紙作戦は非常に効果的なのです。
ただし、そんな記者の優しい心根につけこんで、ウソの手紙を書いては絶対にいけません。「手紙に感激して取材し、記事になった後で、実は作り話だったことがわかった。実は新商品を宣伝したいだけだった」などということになれば、その後はどのメディアからも二度と取材されなくなるのは間違いありません。
ウソは必ずばれます。PRにおいて誠実さ、真摯さは絶対に欠かしてはならない大事な要素なのです。
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