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エビ好き喜ぶ濃厚濃密の手長海老ペースト 樽で発酵させた甲州ブドウの旨味

近所のカルディで、冷えた舶来のビールでもと冷蔵コーナーを眺めていた。そこに可愛らしいエビが描かれた物珍しい瓶詰めが目に飛び込む。白濁したオレンジ色のペーストは、商品ラベルに“Salsa agli scampi”。イタリア直輸入のエビクリームソースだ(721円)。

イタリア語でsalsa(サルサ)はソース、scampi(スカンピ)は手長海老を意味するらしい。裏側の商品説明ラベルには“スカンピ50%使用(えびに占める割合)”とある。エビソースは専門外なのでこの手長海老ブレンド比率が高いのかどうか今一つ分からないが、一般的なエビソースに使われる半分が手長海老に置き換わっていると考えると、かなり高いのだろう。180グラムで約700円だ。手長海老比率が低いわけがなかろう。

いかにもエビ濃厚そう

さて、手長海老ペーストはクラッカー替わりに愛用しているパスキエのミニ・トーストの上に載せて賞味(このミニ・トーストもカルディで買える)。

エビをそのまま食べたとき以上のエビの風味が口内に爆発的に溢れる。これはまさしくエビ爆弾。エビ好きが喜ぶこと間違いなし。つなぎのクリーム(乳成分)と少しのトマトがエビの旨味を際立たせる。

南フランス ローヌの白ワイン(マルサンヌ品種)、山梨県の甲州ブドウのワインを合わせてみた。ローヌの白ワインの果実味の熟度やどこかフラワリーなフレーバーは、甲殻類との相性が良くセラーから自信満々に取り出す。実食すると期待通り。が、期待以上ではない。手長海老ペーストの風味が強くワインを少し圧倒してしまったか。ソースに使ってパスタと合わせると料理とワインの風味ボリュームが近づき、相性は良くなりそう。驚いたのは樽発酵の甲州ブドウのワインが見せたさらに良い相性。樽発酵で甲州ブドウの魅力がたっぷりと引き出され、ブドウの旨味、滋味が見事にエビの旨味に調和。

過去のカルディの心くすぐる酒のおつまみ。まぐろのパテにスパークリングワイン、この組み合わせを嫌いな人がどこにいようか。カルディのワインつまみ入門編。

さて、手長海老ペーストとそれぞれのワインの相性について。


シャトー・ルミエール, 光, 甲州 山梨, 2020, 3,658円

1885年創業。山梨県笛吹市一宮町南野呂。自社農園で栽培した甲州種を樽発酵した後、20ヵ月の樽熟成で仕上げた。
力強く濃い色調。香りには枇杷、大ぶりの和梨、カボスに微かに柚子、果皮のフェノールの複雑な香り、カモミールティーのほんのりスパイス香。
味わいにはジューシーで滋味溢れる染み込む果実味。ほろ苦さはゆるゆる続き、甲州品種とは思えないほどの非常に長くまったりとした余韻。甲州の魅力を引き出し尽くした名品。

スカンピソースにワインを合わせる。エビ特有の甲殻の香ばしいフレーバーに、樽発酵によるワインの複雑なフレーバーが絶妙に重なる。樽発酵された甲州ブドウからは様々な成分が抽出され、どこかもろみのような、滋味豊かな風味が特に甲殻類のフレーバーとの相性が良い。そしてエビの旨味にはワインの厚みのある、複雑な風味、ほろ苦さが調和。五つ星にするか悩む。相性: ★★★★☆


M.シャプティエ クローズ エルミタージュ ブラン レ メゾニエ ビオ, 2019, 3,051円
M.Chapoutier, Crozes Hermitage, Blanc, Les Meysonniers BIO

M.シャプティエは、1808年に創業してから7代目ミシェル・シャプティエに至るまで一貫して家族経営。畑を守りテロワールを尊重。有機栽培された樹齢20~40年のマルサンヌ品種使用。
香りには花梨、洋梨、リンゴジャム、黄色い花のフラワリーなフレーバー、軽快にバニラ香、様々な要素ありつつ香りのバランスが素晴らしい。
味わいにはピュアで透明感のある果実味、繊細さとほんの少しの緊張感。酸味は中庸で的確。ひとひらの蜜のような高貴な甘さに続き、余韻に心地よいミネラルのほろ苦いタッチ。

スカンピソースに。エビの甲殻のフレーバーと、まったりとしてコクの豊かな濃密なエビの風味に、ワインのグリップ感のある果実味が絶妙に繋がる。しいて言うと、エビの風味がかなり強く、ワインが負けてしまうか。同じ造り手のもう一つ上のクラスのワインをぶつけてみたい。或いはペーストをパスタに絡めてこのワインに。相性: ★★★★☆

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