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黒胡椒たっぷりサーモンのクリームパスタ サルディーニャの島ワインの完熟果実味と潮の香り

クリームパスタといえばサーモン。
エビ、イカ、アサリなどのシーフードミックスでも作られるが、単体のシーフードならサーモンが定番中の定番。サーモンではない魚を使って、ホワイトソースで仕上げるクリームパスタが想像できない。バター、牛乳のまったり、蕩けるような怠惰なリズムを、サーモンの塩気が引き締める。このコンビネーションが極上。

酒のつまみは味濃いめ、塩気強めで仕上げたいので、週末に自宅で気合いとエネルギーがあれば大人用と子供用で1つの料理で2度、フライパンを回すこともある。イタリアンではアンチョビ、ガーリック、唐辛子を効かせたいとき。このサーモンのクリームパスタは仕上げたあとに黒コショウをたっぷり振るだけ。一気に大人用メニューに変身で大助かり。

合わせたのは白ワイン4種。オーストラリアのセミヨン品種、南フランスのマルサンヌ品種、イタリア サルディーニャ島のヴェルメンティーノ品種、カンパーニャ州の土着品種ブレンド(ビアンコレッラ、フォラステラ品種)。今回のオーストラリアのセミヨン品種はボリュームが軽快な造りだったためクリームソースのパワーにやや圧されてしまったが、ほかの3種は料理の魅力を様々な形で引き出してくれた。特筆すべきはサルディーニャ島のヴェルメンティーノ品種。ワインの完熟果実の口当たりは料理のクリーミーなソースに同調、潮の香りはサーモンの旨味を引き立てた。

さて、料理とそれぞれのワインの相性について。


ピエロ・マンチーニ, プリモ, ヴェルメンティーノ・ディ・ガッルーラ 2021, 2,049円
Piero Mancini, Primo, Vermentino di Gallura, DOCG, Italy, 2021, 14%

サルディーニャ島で唯一のDOCG格付けのヴェルメンティーノ・ディ・ガッルーラ。
香りにはリンゴのリキュール、林檎酒、ピンクグレープフルーツ、グァバ、グレープフルーツの果皮。レモングラスのハーブ香。ほんのり樽香、白胡椒のスパイス。潮の香り。
風味には豊満でジューシーな完熟果実。塩味がメリハリ。清々しい酸味、余韻にはまったりとした乳酸飲料系のタッチ。鼻腔を樽香が力強く抜け、ほろ苦さを伴うリッチな余韻。

鮭のクリームパスタにワインを合わせる。ワインの熟度の高い果実味、爽快なハーブ、アクセントの効いたスパイス、全ての要素が高いレベルでクリームパスタに入り込む。ワインの潮の香りは鮭の塩味と旨味を包み込み際立たせ、余韻のまったりとした風味は、料理のホワイトソースに一体化。相性: ★★★★☆


M.シャプティエ クローズ エルミタージュ ブラン レ メゾニエ ビオ, 2019, 3,051円
M.Chapoutier, Crozes Hermitage, Blanc, Les Meysonniers BIO

グラスに入れたワインを撮る前に飲み干してしまった…

M.シャプティエは、1808年に創業してから7代目ミシェル・シャプティエに至るまで一貫して家族経営。畑を守りテロワールを尊重。有機栽培された樹齢20~40年のマルサンヌ品種使用。
香りには花梨、洋梨、リンゴジャム、黄色い花のフラワリーなフレーバー、軽快にバニラ香、様々な要素ありつつ香りのバランスが素晴らしい。
味わいにはピュアで透明感のある果実味、繊細さとほんの少しの緊張感。酸味は中庸で的確。ひとひらの蜜のような高貴な甘さに続き、余韻に心地よいミネラルのほろ苦いタッチ。
鮭のクリームパスタに。ワインのフラワリーなフレーバーはクリームに調和、白胡椒のスパイスのフレーバーは料理の黒胡椒に同調。甲殻類と相性の良さそうなワインの余韻のグリップ感は、鮭のどこか樹皮のような、強いフレーバーも際立たせる。相性: ★★★★☆


カーサ・ダンブラ, イスキア・ビアンコ, イタリア, カンパーニャ州, 2021, 13%, 1,989円
Casa D'Ambra, Ischia Bianco, DOC, Italy, 2021, 13%

カンパーニャ イスキアの土着品種ビアンコレッラ、フォラステラ品種のブレンド。
香りにはライチ、青リンゴ、洋梨、白桃の瑞々しく伸びやかな果実香に白コショウも。セルフィーユのハーブ香。ほのかな貝殻、海藻、潮の香り。フラワリー、吟醸香系のフレーバー。
風味には瑞々しく力強い硬質なミネラル感や塩味に富む。よく熟した果実味の微かな甘み。酸味は中程度で的確、余韻には微かにほろ苦さ。南部州のワインとは思えないピュアで清々しい。

鮭のクリームパスタに。料理の胡椒とクリームに、ワインのフラワリーなフレーバーが調和。またワインの塩味は鮭の旨味に活力を与える。相性: ★★★★☆


トルブレック, ウッドカッターズ セミヨン, オーストラリア, 2022
Torbreck, Woodcutter's Semillon, 3,080円

1994年に設立のワイナリー。ワイナリー名は創業者がスコットランドで木こりをしていた時の思い出深い森の名前。なんともほっこりするエピソードだ。ローヌ品種から造る凝縮したワインで、創業直後から国際的な評価を得ている。こちらはバロッサ・ヴァレー産のセミヨンを使用。ウッド・カッターズ・セミヨン、つまり木こりのセミヨン。
香りには青リンゴ、白桃などが爽やかに、軽快に。フラワリーなニュアンス、酵母の香ばしさもほのかに。
味わいの果実味の凝縮感は軽快で瑞々しい。酸味は中庸ながら的確にワインを引き締め、余韻の最後の最後まで清々しい。セミヨン特有のグリップ感も少なく徹頭徹尾、清々しい。
鮭のクリームパスタに。ワインの清々しい軽快な風味はケンカしないが、ホワイトソースのパワーに圧倒される。相性: ★★★☆☆

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