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墨たっぷりイカ墨ペンネ サルディーニャ島の赤ワインのはじける果実味

イカ墨をまとった輪切りのイカをペンネに絡める。イカ墨はたっぷり、たっぷりと。イカも自分の吐き出す墨がここまでに自身に絡まるとは想像もしていなかったろう。しかもオーソドックスなスパゲティではなくペンネに。

絵面はちょっと微妙ですが…

手料理だからこそのメリハリ。濃いスミをペンネに載せるようにして食べる。濃厚なソースだったので長さのあるスパゲティだと絡みつきすぎて食べ辛そう。ペンネにして正解。

これまでにイカ墨パスタ、パエリアにワインを合わせてきて安定的に素晴らしかったのがイタリア アドリア海沿いマルケ州のヴェルディッキオ。意外なところでは熟成ボルドーのほぐれてまろやかになった果実味も調和してくれた。

イカ墨パスタにヴェルディッキオ@サイゼリヤ

イカ墨パスタにヴェルディッキオ

イカ墨パスタに熟成ボルドー@大手町レストラン

イカ墨パエリアにシチリア島のグリッロ品種


さて、今日は冒険はしないで安定感抜群のヴェルディッキオにしようかなと思いきや、セラーを開けてみてストックがないことに気付く…。食卓にいつイカ墨が登場するかわからないので常備必須なのに。今から品揃えの良いワインショップまで自転車を走らせると往復30分以上はかかる。その頃にはイカ墨ペンネは冷え冷えだ。

そこで代打として送り込んだのは、フランス ロワールの自然派白ワイン(シュナン・ブラン品種)、サルディーニャ島の赤ワイン(カンノナウ品種)、カラブリア州の赤ワイン(ガリオッポ品種)。いずれのワインともケンカはしなかったが平凡な相性。ただ、赤ワイン2種は非常に惜しい感じ。カンノナウはフレッシュな果実味を感じる仕上げスタイルのものでイカ墨のまったりしたコクに合いづらかったが、もう少し熟成感があると重なりそう。唐辛子によく合うガリオッポは、その特徴を活かして料理にイカ墨に少し唐辛子を加えると繋がりがよくなりそう。唐辛子によりイカ墨のコクも際立つはずだ。だが、イカ墨に備えてヴェルディッキオのストックはマストだ。

さて、イカ墨ペンネとそれぞれのワインの相性について。


ドリアノーヴァ, アンゼナス, イタリア, サルディーニャ, 1,680円
Dolianova, Anzenas, Cannonau di Sardegna, DOC, 2019, 14.5%

1949年設立。協同組合の利点を生かし他のワイナリーを凌駕するコスト・パフォーマンス。
カンノナウ90%、モンテプルチアーノ5%、カリニャーノ5%で造られるワイン。
香りには完熟したダークチェリー、コンポートの粘着性のある香りやドライフルーツ。おおらかな樽香、黒コショウのスパイス、軽快なハーブ香。力強くもニュアンスに富む。
味わいにはパワフルで熟度の高い甘みを伴う果実味、やや甲高い酸味。攻撃的なタンニンは舌に残り非常に長い余韻に。ややまとまりに欠け、粗野ではあるが果実味の魅力あり。
数多くワインを開けていると仕方ないが、若干ブショネ気味だった(開栓から3週間ほど放置していると多少は落ち着く)。

イカ墨ペンネにワインを合わせる。ワインのフレッシュで力強い果実味はイカ墨のコクとの調和がやや微妙。同じカンノナウ品種で古木のものや熟成させたものであれば果実味のカドが取れて重なりは良さそう。きっとどこか甲高い酸味、スパイス、ハーブ香の相性は良いはず。相性: ★★★☆☆


リブランディ, ドゥーカ サンフェリーチェ, チロ DOC, ロッソ リゼルヴァ, カラブリア, イタリア, 2,440円
Librandi, Duca Sanfelice, Ciro DOC, Riserva, Rosso Classico Superiore, Calabria, Italy, 2019, 14%

リブランディはティレニア海とイオニア海に挟まれたイタリア半島のつま先部分に位置するカラブリア州を代表するワイナリー。
古代ギリシャ、オリンピックの勝者に与えられたワインはガリオッポ品種から造られていたという説もある。そのガリオッポで造られたワイン。
香りには完熟したブラックチェリー、チェリーリキュールの果実の凝縮感。黒胡椒のスパイスのヒントやビターチョコレート。ヴェジェタルなニュアンスや穏やかにハーブ。
味わいの果実味の凝縮感は思いのほか軽やかで甲高く、鼻腔をスパイシーなノートが抜ける。明瞭な酸味、やや粗さのあるパワフルなタンニン。余韻にミネラルのニュアンス富む。

イカ墨ペンネに。甲高い果実味と塩味、ミネラル感はスミのコクにもなかなか良い相性。だが、やはりこれらのガリオッポ品種の特徴は料理にもう少し辛味があるとさらに相性が良くなる。相性: ★★★☆☆


ドメーヌ・ニコラ・ジョリー, サヴニエール, レ・ヴュー・クロ2015, 約3,000円(5年前に特価で購入)
Domaine Nicolas Joly, Savennieres les vieux clos

ロワールを代表するワイナリー。ニコラ・ジョリーは、コロンビア大学で経営学修士号(MBA)を取得、その後ウォールストリートで働く。モルガンスタンレーなどで勤務した後、1976年に仕事を辞めフランスへ帰国。母が運営していたワイナリーを継ぎ、ワイン造りを始めた。農薬や化学肥料を一切排除、「ビオディナミの伝道師」と称される自然派。
香りには花梨、黄色い花、りんご蜜、イースト香、ビネガーやフェノリックなタッチ、トマトリキュール、ニュアンスに富む。
味わいにはパワフルでやや攻撃的な酸味を伴う底力のある果実味。旨味と滋味溢れる中に奥に微かに甘美な蜜のニュアンス。ゆったり続く余韻にもビネガー系の酸味あり。

イカ墨ペンネに。ワインの酸味が攻撃的で料理にも牙をむいたが、それ以上にワインの底知れない滋味と海の恵みのイカ墨のコクの相性の良さが印象的。このワインは開栓から1ヶ月ほどすると攻撃的な酸味が落ち着きさらに魅力的に。イカ墨ペンネに合わせたのは開栓直後だったので、もうしばらく置いてから合わせてみたい。相性: ★★★☆☆

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