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イカ墨パスタにアドリア海の潮風ワイン

ヴェルディッキオはイタリアマルケ州で造られるカジュアルなワインだ。
海沿いのマルケで、ヴェルディッキオというブドウの品種で造られる。

粒が密集したヴェルディッキオの房
写真引用: https://www.montebussan.co.jp/italy/2019/007773.html

厳密な呼称はヴェルディッキオ・デイ・カステッリ・ディ・イェージ (DOC)、ヴェルディッキオ・ディ・マテリカ (DOC) という、なんとも長い名前だが、ヴェルディッキオと覚えておけば十分。ちなみにこれらはDOCという産地の格付けカテゴリーとなる。
余裕があればリゼルヴァが付いていれば一つ格が上がり、DOCGとなると覚えておきたい。
イタリアワインの格付けはDOCGが最上級、DOCがそれに次ぎ、IGT (地酒) 、VdT (テーブルワイン) と4段階。

さて、リゼルヴァとなると収量や熟成期間の規定が厳しいので、リゼルヴァと記載のないヴェルディッキオよりもおいしいはず、というおおまかな予想がつくので多少、有用な情報だ。
おいしいというと何とも主観的な表現だが、リゼルヴァはそうではないものに比べて、深みがある、複雑さがある、飲みごたえがある、と考えておけばよい。
従い、リゼルヴァと名前に付いていると少しだけ値も張る。
といってもヴェルディッキオのリゼルヴァは2,000円台で買えるものが多いので、リゼルヴァとそうでないものの価格差は数百円程度だ。
お財布に余裕があればぜひ、リゼルヴァと付いている方を選びたい。
なお、ヴェルディッキオはファミリーレストランのサイゼリヤにも置かれているカジュアルワインだ。

ワインが造られるマルケ州はアドリア海沿岸。

アドリア海沿いのマルケ州

なんともかわいらしい魚の形のワインボトルでも知られている。
海沿いで造られて魚の形をした瓶に詰められたワイン。魚介類との相性は良いはずだ。

魚の形のワインボトル
写真引用: https://www.dragee.co.jp/fs/dragee/W-IT20080305

とある日の夕飯、イカ墨パスタに合わせるワインを何にしようかと少し悩む。
軽い白ワインであれば墨のコクに負けてしまうし、赤ワインはものによっては反発して臭みが出てしまうかもしれない。
あれこれ考えるより海のワインを合わせようと、セラーからヴェルディッキオを手に取った。魚の形ではないヴェルディッキオもたくさんある。
こちらはリゼルヴァではなくお気軽タイプだ。

Velenosi, Verdicchio del castelli di jesi Classico, Italy, 2020, 13%, 1,496円
ナッツやアーモンドの香ばしい香りが広がる、青リンゴ、グレープフルーツなどの適度に酸味を含む柑橘の爽やかな果実香、グラスを回すとほんのりとグァバ、パイナップルなどの南国系果実香も。
軽めの凝縮感、爽快で快活な酸味、中盤から余韻にかけて柔らかいビターなタッチもありミネラル感が心地よい、しっかりとドライなフィニッシュ、軽快な酸味と果実味とほろ苦い余韻の素晴らしい構成で、ついついグラスが進んでしまう。

さて、イカ墨パスタに合わせると、イカ墨の旨味が増幅し、同時にワインの風味も厚みを増す素晴らしい相性!お互いがお互いを高めあう、なんとも幸せなペアリングだ。
ヴェルディッキオはイカ墨パスタ専用ワインではなかろうかとまで思った。
価格は約1,500円、そして開栓からゆっくりと日時をかけて飲み終えたが、3週間後もフレッシュさを維持する脅威の持続力も嬉しいワインでもあることを言い添えたい (私は普段から、複数本のワインを開けておき、チビチビといろいろな種類を同時に楽しむ) 。

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