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背徳のガーリックバター鯖缶 垢抜けたトスカーナのヴェルメンティーノとサンジョヴェーゼ

背徳のガーリックバター 鯖。キャッチーな缶詰のネーミングに吸い寄せられた。

背徳と自ら名乗るとはどれだけガーリックとバターが効いているのか体感してみたくなる。この商品を手掛けるのは1958年創業、兵庫県神戸市灘区に本店を構えるケンコーマヨネーズ。ネーミングからして新興食品ベンチャーあたりのものかと思ったが、創業60年超企業のマヨネーズから事業拡大した先のガーリックバターだ。
開けた瞬間、ガーリックとバターがムンッと香る。

常温でこのボリュームの香りとは信じがたい。温めたらどうなっちゃうのだろうか。サバの身を歯でほどくと力強い鯖の脂と旨味とともに、香りから想像される通りパンチの効いたガーリックバターが広がる。口に入れた前半には特にガーリック、後半にバターの乳脂肪分がまろやかに広がり、それぞれに重なり広がるサバの風味も表情を変えてこちらを楽しませてくれる。

最近の定番、トスカーナの白赤ワインを合わせる。

ラ・スピネッタ, カサノーヴァ, ヴェルメンティーノ, トスカーナ, 2021, 13%, 2,879円
LA SPINETTA CASANOVA, VERMENTINO TOSCANA,
香りには軽やかにグレープフルーツの柑橘香、ナッティなニュアンス、潮風の香りもほんのりと。
香りの上品な様子とはまたうって変わって、ずしりとくる酸味、中盤以降ほろ苦さがしっかり。それでもサルディーニャ島の同じ品種のものより垢抜けた印象だ。

ラ・スピネッタ, イル・ネーロ・ディ・カサノーヴァ, 2018, 13.5%, 2,991円
La Spinetta, Il Nero Di Casanova, Toscana, Italy
サンジョヴェーゼ品種で造られるワイン。香りにはラズベリー、よく熟したプラム、明るいチャーミングな果実香、よくなじんだ樽香、ほのかにカカオのニュアンスも。
チャーミングさも伴う明るくジューシーな果実味、こぎみよい酸味、舌が微かに乾くようなタンニン。

先ずはラ・スピネッタの白に合わせる。ガーリックとバター香るサバの旨味と脂の余韻に、ワインの力強い塩味が口内をさっぱりと整える。サウナ後の水風呂でキメたあの感じだ。サルディーニャあたりの一癖強いヴェルメンティーノ品種だと更にキマりそう。
相性: ★★★★☆

続いてラ・スピネッタの赤に。
さすがにそこそこしっかりとしたストラクチャーの赤ワインに魚は、、、と思ったものの、不思議と臭みは立たず、赤ワインでこの味付けの鯖に寄り添うことに驚かされた。ただ、ワインの明るい果実味と心地よいタンニンと、ワインの良さがググっと前に出てきて背徳の缶詰タイムがふと解かれてしまうような気分に。もう少しガーリックとバターの背徳に浸っていたいのに。相性: ★★★☆☆

風味のインパクトあり、そしてしっかりと中身も美味しい背徳のガーリックバター 鯖。塩っぽさを感じるヴェルメンティーノのようなワインと、鯖の脂、旨味、バターの乳脂肪分、そして刺激的なガーリックのパンチとの相性が抜群だ。

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