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#建築 まとめマガジン

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note上の建築系記事をまとめていきます。 #建築 をつけて投稿しよう!
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2018年9月の記事一覧

お金がなくなる恐怖心

こんばんは。創造系不動産の高橋寿太郎です。『建築と不動産のあいだ』をあらためて読み直してみると、こんなことを書いたっけな〜? というのがけっこうあります! −クリエイティブで賢い建て主は、本当は自分たち家族や企業にあった「幸せの形・理想の形」を追い求めようとスタートラインに立つのですが、お金の疑問は「お金の不安」となり、建て主の伴走者としてぴったり真横にくっついてきます。(P.33) それを払拭するため、建築家+創造系不動産は、住宅を建てたいクライアントに出会ったとき

利用者とつくり上げた空間が人を惹き付ける魅力に繋がる─田中厚生 (私設圖書館 館長)

京都大学平田晃久研究室と京都の建築学生,新建築社で,建築学生のための拠点づくり「北大路プロジェクト」をスタートさせました.その思考を広げるため,学生によるさまざまな専門家へのインタビューを行い,連載として紹介します. 今回は京都市左京区白川の京都大学にほど近い場所で40年以上もの間「私設圖書館」を運営されている田中厚生さんにお話を伺いました. さまざまな人がそれぞれの時間を過ごす場所を提供し続けている田中さんと共に,「北大路プロジェクト」における運営方法やルールづくりについ

建築と音楽の<実は親密な>関係

(おそらく)今年唯一となるライブまで2週間を切りました。音楽は自分にとっては、自然と「建築」に結びついています。 そのわけを書き始めると自分の場合かなり長くなってしまいますが(時間がないときはつい「建築よりキャリアは長いので」などと言ってしまいます…)、端的に思いついたことを綴ってみますと… 例えば、10/9のライブで演奏する予定の新曲があります。もう長いこと、ギター+ベース+ドラムの三人だけで歌のないオリジナル曲のインストを演奏しているのですが、その作曲プロセスでは音の

4章 未来の建築家へ愛をこめて、SYSN(主らのタイプ、研究するとえーで)

ワイはペリカンやけど鳥なりに悩んだで。 どないしたら皆さんに、考えていること届くやろか。 建築家の世界を例えるなら群雄割拠の戦さや。 『ひのきのぼう』と『ぬののふく』の装備で建築家が独立して、作品だけ作ろう思うても戦場ですぐに狩られてしまうで。 群雄割拠の時代は武力だけではなくて、智、人材、運、諸々の力を使って戦術、戦略を尽くした戦いや。 乱世を生き抜くには、戦略的に国同士で同盟を結んだり、武が強い相手には智で対抗してかなあかんで。 目次やで 1、参考図書さがした

住宅営業についてのメモ【3】|家を「売ること」のこれから

職場の先輩F主任とOさん。ベテラン住宅営業ふたりは、それぞれにお客さまの信頼を得て契約を獲ってくる「高い営業力」を持っています。でも、契約に至ったお客さまが実際に建てる住宅は、意匠的にも計画的にも構法的にも「ヒドイ提案」でした。 そんな「営業力」と「提案した住宅」のあいだにある深い溝について「住宅営業についてのメモ【1】」で書いてみました。 そして、前回、「住宅営業についてのメモ【2】」では、その深い溝が、実は「産業」「木造」「注文」「営業」の計4本でできている構造的な問

建築系の卒論はこう生まれる。受賞者に聞く、研究テーマの見つけ方と、その発展性。

専門分野に踏み込んでから論文にまとめ上げるまで1年弱――短期間でさまざまなハードルをクリアする、京大建築の卒業論文。2017年度、卒論を執筆し、計画系、構造系、環境系それぞれの分野で表彰された3人に、論文を完成させるまでのプロセスを聞きました。 text : Katsura Hiratsuka (全文は 京大建築式 でご覧いただけます)

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嗜好品のような情報が 居心地のよい空間を満たす─堀部篤史 (誠光社 店長)

京都大学平田晃久研究室と京都の建築学生,新建築社で,建築学生のための拠点づくり「北大路プロジェクト」をスタートさせました.その思考を広げるため,学生によるさまざまな専門家へのインタビューを行い,連載として紹介します. 今回は京都の有名書店「恵文社」で長年店長を務められた後,独立して個人書店「誠光社」を立ち上げられた堀部篤史さんにお話を伺いました.本のある空間に携わり続けてこられた堀部さんと共に,「北大路プロジェクト」での本の選び方や置き方について議論していきます. インタ

建築の歴史とゲームの歴史─『ゲームデザイナーのための空間設計 歴史的建造物から学ぶレベルデザイン』を読む2

他分野からの建築への視点を見てみよう,ということで読み始めたクリストファー・トッテンによる『ゲームデザイナーのための空間設計 歴史的建造物から学ぶレベルデザイン』. 前回,なぜゲームのレベルデザインに建築の知識が応用できるのか簡単に触れました.ようやく今回から本題に入っていきます. 1章は「建造物からレベルデザインを学ぶ準備」. 建築とゲーム,双方の歴史を簡単にさらってその関係性を探っていきます. 建築と人間の関係ゲームのレベルデザインを考えるには建築の知識が参考になる

一見、非合理的に見える形状は、合理性を追求した結果生まれるーームトカ建築事務所による「Arts and Creative Mind Gallery」

こんにちは。 アーキテクチャーフォトの後藤です。 先日、東京・恵比寿にオープンしたギャラリー「Arts and Creative Mind Gallery」を訪問してきたので、そのレポートと感想を書いてみたいと思います。 設計を手掛けたのは、ムトカ建築事務所です。 ムトカは、ルイヴィトン等の建築を数多く手掛ける青木淳さんの元で経験を積んだ村山徹さんと、山本理顕さんの元で経験を積んだ加藤亜矢子さんが共同主宰する設計事務所です。 お互いに、日本の建築の世界で巨匠と呼ばれる方々

住宅営業についてのメモ【2】|「売ること」と「つくること」のあいだ

職場の先輩として住宅営業のなんたるかを折に触れて教えてくださったF主任とOさん。二人がそれぞれにお客さまの信頼を得て契約を獲ってくるその「高い営業力」と、契約に至ったお客さまが実際に建てる住宅が、意匠的にも計画的にも構法的にも「ヒドイ提案」だったというお話しを前回、「住宅営業についてのメモ【1】」として書いてみました。 その「高い営業力を持つこと」と「住宅提案がヒドイこと」の間に横たわる深い溝は、実は「木造注文住宅」を手がける「木造住宅産業」が持つ性質に由来すると思うのです

「川」と「ため池」─『新建築』2018年8月号月評

「月評」は『新建築』の掲載プロジェクト・論文(時には編集のあり方)をさまざまな評者がさまざまな視点から批評する名物企画です.「月評出張版」では,本誌記事をnoteをご覧の皆様にお届けします!(本記事の写真は特記なき場合は「新建築社写真部」によるものです) 『新建築』2018年9月号購入(Amazonはこちら) 評者:饗庭伸 目次 ●「川」と「ため池」 ●ため池でなく川そのもの─ナインアワーズ赤坂,竹橋,アパートメントハウス ●区分所有→それぞれのため池→多元的な市場─パ

岡山城のまわりで 《近代名建築》をめぐる! ー 前川國男、岡田新一建築と 岡山芸術交流作品

 「岡山では 1日で歩いて回れる場所に《近代名建築》が密集しているんですよ。」  岡山に行く直前、岡山で開催される国際芸術展「岡山芸術交流」についての話を伺っていたなかで、こんな話題が。2016年の「岡山芸術交流」では それらのいくつかの建物を会場としても活用していたのだとか。そして、前回展から2年経った今でも、作品の一部はまだ残っているとのこと。  建築に詳しくはないけど、なんだか面白そう!  というわけで、路面電車の県庁通り駅で下車して、徒歩で巡ってみました。 ■

大工・職人文化とデザインサイディング貼り・新建材まみれ住宅の密な関係

「その会社の技術力を見極めるポイント、ご存じですか?たとえば、この和室をごらん下さい。この長押という部材がぶつかり合った部分、「留め」といいます。ここがキレイにつくれているかどうかに腕の差が出るんですヨ」的な営業トークがあります。 それは、住宅展示場のモデルハウス案内で、自社の技術力をアピールしつつ、そうなっていない他社のモデルハウスを暗に批判する効果も持つトーク。住宅は「つくられるもの」なので、いかに上手に「つくる」ことができるかは業者選定を促す重要な訴求ポイントになる。

感情で語ろう。

言語化とは手段である。 文脈という武器を使って強度のあるように見せることは、説得力としては強力ではあるが、脆くもあります。 それは文脈の多くが人間というものを中心として考えられていることの、誤解を恐れずにに言うと「狭さ」からくるものではないでしょうか。 庭園美術館で開催されている「ブラジル先住民の椅子展」を見てそんなことを考えました。 ここで展示されている椅子たちは「意味」を語りません。感情のみに訴えかけてきます。 我々の「椅子」という観念はそこにはありません。 そして人