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独自大会優勝から日が経つにつれて大きくなっていった悔しさ(東海大甲府高校OB 對馬伶インタビュー)

甲子園に行くことを考えて東海大甲府高校進学

――野球を始めたきっかけについて教えてください
 小学生の時に仲の良かった子が野球をやっていて、その子のお母さんから野球をやってみないかと誘われたことで少年野球チームに入団し、野球を始めました。

――高校を選んだ決め手は何でしたか?
 地元が東京で、ありがたいことに中学時代は全国大会に出ていたことで色々な高校からお誘いを受けていました。その際に山梨県で一番強いのは東海大甲府高校ということを知っていたので、甲子園に行きたいと思っていたため一番甲子園に行きやすい高校を選びました。

寮生活で感じた親のありがたみ

――ここからは高校に入学してからのお話に移っていきたいと思います。甲子園を目標としていた当時の思いについて教えてください
 高校野球は3年間しかないので、1年生の時からずっと甲子園というのを目標にやってきました。ある程度厳しい練習は分かったうえで取り組んできましたが、甲子園にあと一歩のところで届かなかった年があったので、絶対に自分たちの代で行ってやるぞという思いでやっていました。

――東京から越境入学されたとのことですが、寮生活で印象に残っていることはありますか?
 約15年間親元で暮らしてきたので、右も左も分からない土地に行って自分で洗濯や買い物などをするということは大変でした。そういったことは中学時代まではやってこなかったので、親のありがたみを感じました。
 また上下関係など厳しさの中で指導してくれた先輩もおり、そういった意味では寮に入り規則正しい生活を送り野球に取り組むということが3年間で来たので、そこは良かったなと思います。

全員で1つになって目指す目標の喪失

――甲子園中止の第一報を知った時はどういった感情でしたか?
 甲子園の中止が発表される前からSNSやニュースを見て、『中止』という2文字を画面越しに見ている中で、すごくやるせない気持ちが一番にありました。
 僕はプロを目指して野球をやっているので、甲子園は『通過点』という認識でいました。しかし高校で野球を終える選手や甲子園だけを目指してやってきた選手も中にはいたので、そういった選手も僕みたいに上を目指していく選手も全員で1つになって目指すものがなくなって、すごく悔しいというか何で自分たちの代だけ……という思いでした。

――そういった中で監督、コーチからの言葉で印象的な言葉があれば教えてください
 中止となった当初は3年生だけで独自大会に出ようというような話もあったのですが、「やっぱり強豪校に入って同級生だけでなく下級生との競争もあり、全員で甲子園を目指してきたのだから、最後は3学年で競争してベストメンバーでてっぺんを取ろう」というような話がありました。

前年の夏と秋に敗れた相手に勝利しての独自大会優勝

――先ほどのお話にも出てきたように独自大会の開催が発表されましたが、開催が決まった時の心境を教えてください
 すごく嬉しかったですね。何もなく夏を終えるわけにはいかなかったので、独自大会が開催されるという報道を見た時には「よし、やったろ!」という気持ちになりました。

――独自大会の全5試合の中で印象に残っている試合はありますか?
 やっぱり決勝戦の山梨学院戦ですかね。自分たちの前の代の夏や、新チームになって最初の秋大会で対戦して敗れていました。前年の夏は4-5で敗れたのですが、自分たちの年は5-4で逆に勝ったという試合内容だったので、その試合が一番印象に残っています。

――お話にあった秋大会の山梨学院戦では9回に12点を取られての敗北で、そこから冬場は後半に力を発揮する練習に取り組んできたと伺いました。独自大会ではそういった冬の練習の成果を感じましたか?
 そうですね。後半に畳みかけるということで後半の集中力はずっとテーマとしてやってきました。先制してからずっとズルズルしていたら逆転される可能性があるので、そこは中盤から終盤にかけてチーム全体で気を引き締めていこうということはやっていました。

――そういった終盤での強さも発揮して見事独自大会を優勝されましたが、優勝した瞬間はどういったお気持ちでしたか?
 優勝した時は嬉しいという気持ちが大きかったですが、日が経つにつれて甲子園ないんだ……という思いが大きくなりました。自分たちが優勝したのに、山梨学院が甲子園交流試合に出ているというのを見て、嬉しい気持ちから段々と悔しい気持ちへと変わっていきました。

甲子園でプレーできることを願って

――この「あの夏を取り戻せ」というプロジェクトについて聞いたときはどう思いましたか?
 あの時の悔しさは毎年夏の時期になると思い出しますし、あの時の悔しさは今も残ったまま大学野球をやり続けています。そんな中で今回こういうプロジェクトが開催されるということですごく感謝しています。
 甲子園で試合をやるということがこのプロジェクト最大の目標だとは思うのですが、仮に日程とかが合わずに甲子園が難しかったとしても、それでもプロの使う球場でやらせてもらえるということに物凄く感謝していますし、自分たちも精一杯このプロジェクトに取り組めたらと思います。

――このプロジェクトでの目標について教えてください
 このプロジェクトは「あの夏を取り戻せ」ということで、先程言ったように甲子園でプレーするということが目標です。
 そして、なかなか全国で優勝したチームと顔を合わせるということは自分たちの年はなかったので、このプロジェクトがいい方向に進んだときに「俺らはこういうすごい奴らと甲子園で野球ができたんだ」と改めて実感したいですし、チーム全員の目標であった甲子園でやるということが実現できたらと思います。

――最後に応援してくださってる方々へ意気込みをお願いします
 このプロジェクトが開催されるにあたって、全員でもう一度甲子園でプレーできることを願って、実現した時は思い切って楽しんでやれるように頑張っていきたいと思います。


プロジェクト公式サイト:https://www.re2020.jp/
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