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Spirit Inspiration~2022.10.30『清宮海斗vs藤田和之』~
はじめに
清宮海斗という名の船は、未だ発展途上である。
鈴木軍が侵攻中だった2015年末、荒波の中で出港した一隻の船は、2017年の海外遠征、2018年のタッグリーグ制覇→タッグ王座戴冠→シングルリーグ優勝を経て、2018年12月に史上最年少でGHCヘビー級王座戴冠を果たした。
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トップレスラーの座に向けて進路を取る清宮だったが、2020年1月の王座陥落以降、約2年以上にわたり荒波に揉まれ、苦難の時を過ごしてきた。
厳しい結果や苦難が襲う幾度もの嵐を乗り越えて、清宮に光が差したのは2022年9月。
『N-1 VICTORY 2022』で優勝を果たすと、勢いそのままにGHCヘビー級王座を戴冠。
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新王者として迎えた初防衛戦の相手は、元GHCヘビー級王者・藤田和之
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初防衛戦の場で自ら難敵を指名した清宮だったが、前哨戦のタッグマッチでは藤田がビーストボムで勝利するなど、既に挑戦者の圧が凄まじい様相に。
苦難の日々から漸く光を掴み取った男にとって、いきなり負けられない闘いを迎えたのである…。
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『清宮海斗vs藤田和之』
2022年4月の新王者決定戦以降、潮崎豪、小島聡、拳王と、3選手続けて防衛0回のまま陥落しているGHCヘビー級王座。
今回の挑戦者・藤田和之は、今年4月、新型コロナウイルス観戦によって同王座を返上。
返上した藤田に代わり、新王者決定戦に名乗りを上げたのが清宮であった。
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ここ半年で3度も初防衛失敗が続く同王座戦で、初防衛戦にして最強の相手を迎え撃った現王者。
だが、全体的な試合内容は、藤田が押す展開に…。
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それでも、この試合で私が凄いと感じた点は、清宮の頑健さと屈強さだった。
藤田の暴力性と凄惨さは、清宮の耐久力の高さと表裏一体だった。
藤田の強烈な攻撃が何度と無く清宮を襲ったものの、清宮もそれに対峙するだけの威力で反撃した。
藤田の得意な土俵でも、一切競り負けない強さ。
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エルボーや張り手合戦に入っても、押されるどころか押し返す清宮。
体格差のある藤田に全く引かない清宮の姿は、私の胸を震わせた。
私自身、積極的に声を出して応援するタイプではないけれど、それでも咄嗟のうちに「海斗!」という声援を発していた程だ。
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しかし、その後も清宮を襲う、容赦ない攻撃の雨嵐。
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それでも、難局を越えようと反撃に転じる清宮。
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側頭部に蹴りを浴びても、マットに叩きつけられても、決して折れることのない清宮の姿は、映像で見返す事で、更なる光を放った。
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果たして、今の藤田和之が持つ【暴力性を孕んだ攻撃】を幾度も喰らいながら、試合の勝機を見出だせる選手が、日本国内にどれほどいるのだろうか?
その問いが私の脳内に浮かんだ時、この事を実行できる清宮はスペシャルな存在ではないかと感じたのだ。
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極めつけは、ラストシーン。
藤田の強烈な張り手を複数発貰った直後、カウンターのフランケンシュタイナーで逆転勝利した場面だ。
.@noah_kiyomiya defeats the Beast Kazuyuki Fujita after a Frankensteiner!!#noah_ghc #MutoFinal pic.twitter.com/reEpnldQ4s
— Pro Wrestling NOAH Global (@noahglobal) October 30, 2022
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私自身、この結果に対して物足りなさを感じなかった訳ではない。
圧倒的に藤田ペースで進んでいた試合展開を引っくり返すには、やや唐突な結末にも思えたから。
ただ、"藤田和之の強烈な攻撃を喰らってきた"事を前提にして見た時、「この技を咄嗟に決められる体力と閃きを有する清宮もまた、野獣に対峙できる怪物ではないか」と私は感じたのである。
普通なら、試合を決める前に、藤田にトドメを刺されるかもしれない。
それを耐え抜いた事で勝機をモノにした、清宮の頑健さは評価されてしかるべきだ。
正直、フランケンシュタイナーに関しては、ややスッぽ抜けたものの藤田の頭は叩きつけられていたし、何より藤田の上半身を押さえ込んでいた清宮の姿に、2021年2月の『潮崎豪vs武藤敬司』のフィニッシュを思い起こした。
(フランケンシュタイナーで武藤が勝利)
僕が使い始めた背後からやるトラースキックがフックキックと呼ばれてます。
— 丸藤 正道 (@noah_marufuji_) October 31, 2022
フランケンシュタイナーは丸め込むというより脚で挟んで叩きつける技だったもの。
ちなみに今ウラカンラナと言われてるのは「ウラカンラナインベルティダ」が正式名称。
ウラカンラナは肩車から前転して丸め込むもの。 https://t.co/XhGjlwIq8w
この一戦で私が抱いた感想は、「清宮が今の藤田に勝つには、これしかない」という諦観に満ちたものではない。
藤田の圧倒的暴力性を前にしても決して怯むことのない、清宮海斗という男が持つ芯の強さである。
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まとめ
初防衛戦にして強敵をいきなり迎えるシチュエーションとなった、今回の『清宮vs藤田』。
相手の攻撃を受けて受けて、最後に相手の隙を見逃さない清宮の勝ち方は、2018年12月~2020年1月の第1次政権を思い起こさせる、非常に懐かしいものを感じた。
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王座陥落後の2020年以降は、自ら積極果敢に攻めて試合の流れを掴む試合も増えてきたが、個人的に、清宮の真骨頂は【頑健な身体に宿る屈強な心】ではないかと、今回の一戦で確信に変わった。
最近はシャイニングウィザードの継承も含め、清宮から武藤敬司の存在を感じる機会も増えたけれど、この軸がある限り、私は今の清宮に不安も心配も無い。
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退場時、天を指差しながら何かを呟き、最後に「見てろよ!見てろよ!」と叫んだ清宮。
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抱いた目標に向けての誓いの合図なのか、或いは、否定的意見に対する反骨心なのか、それは分からない。
それでも、確実に言えることが一つ。
私は、今の清宮にノレるという事だ。
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今回のvs藤田戦を見ていても、自然と彼に声援を送りたくなるくらい、見る人の魂を鼓舞してくれる存在だとハッキリ分かった。
それは、誰かに作られたりしたものではない、清宮の真っ直ぐなカッコ良さに他ならないと、私は強く感じたのです。
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