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謎多き"コーヒーの大学院 ルミエール・ド・パリ"

2020年から放映されていた「名建築で昼食を」が好きだ。
「乙女建築」巡りが趣味の池田エライザ演じるOLと、田口トモロヲ演じる謎の建築模型士の2人が様々な名建築を訪れる番組だ。おそらく好評につき、東京編に続き大阪編も放映された。
オープニング曲のGi Gi Giraffeとエンディング曲の浦上想起も素晴らしいがそれはまた別で触れたい。
スペシャルの横浜編で登場したのが1974年に開業した、この「コーヒーの大学院・ルミエール・ド・パリ」だ。
横浜スタジアムで野球の試合を観戦する機会があり、スタジアムの目の前に位置するこちらの喫茶店に試合前に足を運んだ。



入り口脇にいる騎士

コーヒーの大学院ってどういう意味?から始まり、入り口の脇で少し遠慮気味に人々を見守る中世の騎士をジャブを打たれ、全てにおいてツッコミどころ満載なこのお店。
長く横浜で愛される理由を探っていきたい。

1.重厚で煌びやか、スタイル不問な内装

店内の様子
店内の調度品

近年のカフェで見られる健やかでミニマルでサステナブル、それであってお店のコンセプトがしっかりと伝わるようなデザインとはほど遠い。というかどこから見ていけばよいかわからない。
純喫茶の王道である、革張りや赤いベルベットの張り地の椅子やシャンデリアに加え、世界中の骨董品店こら収集されたと思われるアンティークの調度品、絵画が脈絡なく?飾られている。
さらに印象的なのが、天井にあるミラー状パネルだ。そこにはアール・ヌーヴォー調の草木柄が何故か青白く、怪しく浮かび上がっている。
これに加えて大理石や乱張りのタイルなど存在し得る、重厚で煌びやかな手法のデザインが一同に介しているのが面白い。

2.次回は行きたい、圧巻のモザイク画

オーキット特別室

「名建築で昼食を」のシーンで使われたのは特別室と呼ばれる、通りの入り口とは別に設けられた空間だ。通常空いていれば使用できるそうだが、私が行った時は時間帯もあったのか、入り口の手前から一部内部を伺える程度であった。
入り口付近の壁には何故か荒々しいバッファローの角と思われるオブジェがありながら、内装は煌びやかパターンのさらなる手段となる壁面に施された、モザイクタイルによる蘭の花。モザイク画を縁取る、タイルによる多角形のラインも独特だ。

3.装飾なしのコーヒーの美味しさ

ブランドコーヒー

大学院と名乗るほどにコーヒーに自信があるのだろう。
ルミエールブレンドは、マイセンのコーヒーカップで提供される。実家で同じものを母が使っていたので懐かしさも感じる。
コーヒーの味を伝える巧みなボキャブラリーを持ち合わせていないのが残念だが、純喫茶の高度で洗練された美味しさだ。
そして何と言っても香り高い。これはガブガブ飲むシアトル系でも、プレスの苦さが特徴のイタリア系でも味わえない。こだわりのロースター、ハンドドリップが売りのカフェでもこの香りは出ないのでは、と思ってしまう。
コーヒーに関しては何の飾りもない、50年かけて磨き上げられた、シンプルで熟練された美味しさであった。

謎が多く、スタイルを設けず、何でもインテリアに取り入れて不思議な空間。それでいてコーヒーはシンプルに美味しいのが!ギャップを楽しむための狙いなのかわからない。

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