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色褪せない音とグラフィック"ART in MUSIC「POINT OF JAZZ」"

中学生の頃シングルCDを初めて買って以降、ドリカムやスピッツなどCDアルバムを買っていた時代は今や懐かしく、スマホであらゆる音楽が聴けるようになり、サブスクのアプリでは自分の好みに合う知らない音楽を勝手にリコメンドしてくれる。
なのでジャケット、という概念が自分の中で薄れつつあるが、この展示会を見て改めて、ジャケットデザインの音楽への貢献度を知ることとなった。
ART in MUSIC「POINT OF JAZZ」は、ちょっと難しいそうと敬遠されがちなジャズをレコードジャケットのグラフィックデザインを「目で見る」ことからジャズの世界観に触れ、音楽を聴いてジャズを発見してもらう構成になっている。


会場の様子

会場は全体的にブルーライトに柔らかく照らされたムーディーな空間になっている。現在、漫画のブルージャイアントが映画化され、音楽を上原ひろみ氏が手がけていることで話題になっているが、老舗レーベルのBLUE NOTEも然りジャズではブルーがよく使われている。
ブルーノートとは、ジャズ音楽で使われるコードの一種で、Cコードなら3,5,7番目がミ♭、ソ♭、シ♭になる音階だ。この3音だけで一気に色気のある、やや悩ましい音楽になる。このコードはあらゆるジャンルの音楽でも多用され、aikoや髭男の曲でも用いられている。

1.音楽が滲み出るジャケット

BILL EVANS
DAVID STONE MATIN

会場にはレーベル、ミュージシャン、写真家、イラストアーティスト毎にまとめられたレコードジャケットが展示されている。私が大好きなBILL EVANSのコーナーでは本人の端正な顔写真から演奏中、風景のジャケットまで様々だ。彼は幼少期よりクラシックピアノを学び、バイオリンやフルートも習った経験があるためか、ジャズならではのグルーヴ感がありながら、美しく上品な演奏だ。それは彼の見た目通りの演奏なのだが、ジャケットの風景や演奏している姿なども含めて、色みやデザインの情報量をなるべく抑えた、叙情的なグラフィックが彼の音楽そのものを表している。

2.映像から飛び出したジャズ

la la land

シネマジャズといわれる分野があるように、多くのジャズ音楽は映画の中で使わられている。数年前に話題を集めたLALALANDもその一つだ。ロスで夢を叶えるために奮闘する男女の物語やダンスと共にキャッチーでミュージカルど真ん中な軽快で叙情的な音楽が印象的だ。作曲家のジャスティンハーウィッツもまたクラシック音楽がベースにありながらジャズ音楽に深く傾倒した経験が作り出す音楽に表れている。

3.聴こえるミュージシャンの息づかい

阿部克自 写真展
ギャラリー&ショップ

+2のスペースでは、ジャズフォトグラファーの阿部克自氏によるジャズミュージシャンの写真展示や鉄棒でライブシーンを表現するアート作家、徳持耕一郎氏の作品が展示されている。書籍や関連グッズも販売している。
写真は演奏中の真剣な様子から日常の素の表情など見ることができる。ジャズはアドリブやセッションなどが魅力のひとつであり、そのスタイルは他のジャンルの演奏よりも自由だ。それだけに演奏する人それぞれの生き様が表れやすいように思う。どうやって音楽に向かい合い過ごしてきたか、演奏する時の息づかいが写真から読み取れる。

ジャズミュージシャンの相関図

会場ではレコードジャケットの他、ジャズミュージシャンの相関図もあった。あまりJAZZに詳しくない人でも、聞いたことあるミュージシャンの関係性を知ることができる。ビル・エヴァンスのイラストも神経質そうな表情が何とも愛らしい。

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