『忘れてゆく』遥葵音作
コホコホ。
咳をする。
気だるさを引っ提げて今日もまた息をする。
社会人2年目。休む訳にも行くまい。
微睡みの中目覚ましのアラームがなる。
バシン。強く叩きすぎたかな。
と思いながら音を切る。
コホコホ。
またひとつ咳をする。
布団から起きて顔を洗って歯磨きして、あー何もかもが億劫だ。
布団の中で身じろぐ。
コホコホ。
また咳をする。
気だるさに任せてまた微睡む。
あの高校の部活の日々に。
泣いて笑って仲間と共に悔しがって、勝って負けて、それでも楽しかったあの日々に。
汗をか