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目指せ!NEW GENERATION山小屋エネルギーマネジメント #冷泉小屋再生プロジェクト

みなさまこんにちは。冷泉小屋再生プロジェクト広報部です。FacebookやTwitter、Instagramへの「いいね!」を日々ありがとうございます。

冷泉小屋とは?
長野県松本市と岐阜県高山市にまたがる乗鞍岳の中腹にある山小屋。小屋のすぐ脇に湧いている4℃の硫黄冷泉が名前の由来。2006年から閉鎖中。2021年夏の再オープンを目指しています。

1月の冷泉小屋付近の平均気温は-12.1度と言われています(さむーーい)。今頃、小屋はすっぽり雪の中。雪解けまで6カ月ほどありますが、プロジェクトは今夏のオープンに向けて立ち止まってはいられない。次の課題は…「エネルギー」です!

山と自転車をこよなく愛する環境技術系エンジニアの倉田眞秀さんが新たにプロジェクトに参加されました。現在、倉田さんを中心にエネルギーについて議論中です。

今回の記事ではここまで調べたことや仮説をご紹介していきます。まだ調査中のソースもあり、どれが最適な選択肢なのか模索中です。ぜひ2月13日(土)のオンラインイベントにご参加いただき、みなさまのご意見をいただければ嬉しいです。イベントの詳細はこちらへどうぞ。

新しい山小屋だからこそのエネルギーの在り方

あらためて、冷泉小屋の地理をみると…中部山岳国立公園のなかにあります。山の中にぽつんと小屋があるので、水・電気・ガスなどのインフラが全くありません。みなさまをお迎えするためには、このインフラ整備が必要です。飲料水の確保などの課題もありますが、まず電気のエネルギーをどこから得るかを考えなければなりません(ちなみに今はポータブルの発電機や簡易的なソーラーパネル発電機を持って行ってます)。

「電線を引けばいいんじゃないの…?」

いやいやいや。

国立公園ですからそれも簡単にはできません。そして今までと同じやり方ではなく、この時代だからこそ可能なテクノロジーを使い倒して、柔軟に、だけどサステイナブルなやり方を実現したい!これが成功事例となって、日本社会のひとつの希望になれたらいいなという大きな野望を私たちは持っています。

そこで、冷泉小屋が目指すのは
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冷泉小屋という土地と自然を生かす。詳細は後述します。
オフグリッドで(なるべく)完結させたい。自然環境保護を考えた時にもっとも自然への負担の少ない方法を考えていきたい。
アジャイルを前提にする。今後さらに効率のいい・効果の高い手法が見つかった時に入れ替えが検討できるように、初期導入も身軽に。そして可変な手法が望ましい。
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山小屋は何にエネルギーを使うのか

まずは電気エネルギーについて検討するにあたり、小屋で想定されるエネルギーの用途を考えてみました。

一般的な家庭では電力消費量の大きい順に
・家電・照明等(33.4%)
・給湯(27.7%)
・暖房(26.7%)
・台所(9.0%)
・冷房(3.2%)
となっています。使用する電力はだいたい10kWh/日。

冷泉小屋にあてはめると
・家電・照明等→必須。
・給湯→実はここがキモ!小屋の前に沸いている冷泉は、通年平均4℃ととてもとても冷たいのです。この水を温泉にしてお風呂に使いたいならば、熱を起こすエネルギーが必要です。そして一回沸かすだけでなく温度を保つ必要があります。
・暖房→小屋が営業するのは夏の時期ですが、標高が高く夜はちょっと寒いので暖房が必要なことがあります
・台所→必須。
・冷房→不要!標高2000mを超える場所ですので真夏の最高気温も25度くらいで涼しく過ごせます。

このような用途を考えると一般家庭程度、あるいは+αの電力が必要となりそうです。

小屋の由来である「冷泉」をフル活用をしたい

この写真に写っているのが、冷泉小屋の道を隔てた山側の斜面に沸いている冷泉です。まさにこの小屋の名前の由来であり特徴です。冷泉小屋ならではのエネルギーを追求するならば、この水の力を利用したいと思っています。

冷泉の水は、山の上部から流れて小屋の前で滝になり、道の下を通っています。そこから冷泉小屋の下を通って山裾のほうに流れています。

こちらの写真が下の道から小屋を見上げた様子です。高低差が感じられるでしょうか?

冷泉小屋の上から小屋まで、また小屋から下の道まで、それぞれ5m程度の高低差がありますので、この高さや水の流れを利用して水力発電を考えてみました。

水力発電の中でも「マイクロ水力発電」と言われる10,000kW以下の水力発電は、水流を水車で受けて発電する仕組みです。水の流れの中や本流の脇に水路を作ってタービンを設置して発電します。

長所:CO2を発生させない。水は繰り返し使えるクリーンエネルギー。
短所:発電量は水の流れる量次第。落ち葉などのメンテナンスは必須。さらに厳寒期は凍ってしまうため撤収や保護が必要。

冷泉で設置したら流量は足りるのか?どの程度発電できるのか?小さい機械とはいえ、国立公園内で設備を設置していいのか?など、さらに調べて解決するべき点はありますが、冷泉小屋の最大の資産である水は積極的に活用したいと思っています。

Youtubeでも「マイクロ水力」と検索するとさまざまな動画あります。発電実験をされている方もいるようです。https://www.youtube.com/watch?v=uEdYuPp-BiM

エネルギーマネジメントを考えるために、選択肢をまな板の上に乗せてみる

マイクロ水力がメインの電力源とならない場合、それ以外にどのような選択肢があるのでしょうか。

また「環境によい」「カーボンニュートラル」と一言で言ってもいろいろな視点があります。発電効率のよさを追求するのか、現地(オンサイト)でCO2を出さないことを優先するのかなど、何を優先するかで、どのエネルギーをどの程度導入するかのマネジメント全体像が変わってきます

私たちのプロジェクトではまずオフグリッドの環境下で、現地でCO2を発生させない方法は何かを模索しています。ひとつのエネルギー源に絞るのではなく、複数を組み合わせていく必要がありそうです。

現在、このような選択肢について話しています。
プロパン:台所で使うことが想定される王道のガス。調理以外の用途にも使うことはできて効率はいいが、環境への負荷や新しさでいうと「?」。プロパンを使ってエネファーム(家庭用燃料電池コージェネレーションシステム)を利用すれば、電気とお湯を作り出すことができます。温泉を作るという点では冷泉小屋のニーズとマッチしています。
ソーラー(太陽光発電):CO2排出ゼロのエコフレンドリーなエネルギー。最近では発電効率がよく、コンパクトな造りのソーラーパネルも多く販売されています(車の上に設置するタイプもあります)。日照に左右されるので電源としてはやや不安定であること、降雪期には撤去する必要があるので補助的なエネルギー源と捉えています。また国立公園内にソーラーパネルを設置することが可能かの検証も必要です。
・EV (Electric Vehicle):バッテリーで動くいわゆる電気自動車。V2H(Vehicle to Home)機器を使えば、EVのバッテリーから家庭用電源に電力が供給できる。いわば走る電力源。現地でのCO2排出がゼロという利点もありますが、最新モデルは高価なので中古モデルを選んだり、バッテリーの劣化を考えるとバッテリー交換などが必要かもしれません。
・PHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle):ガソリンも併用するバッテリーを搭載した電気自動車。BEVに比べて一回の充電に対して電力供給可能日数が長く取れますが、CO2を排出してしまうことがデメリットとして挙げられます。
バイオマス:有機性のエネルギー資源のことを指し、冷泉小屋では樹木(薪)を使い、主に暖房の熱源として利用することを想定しています。木を加工した木質ペレットのほうが効率がいいという数字もありますが、地元の資源を使わないと結果的にコストがかかることも懸念されます。一方、薪の場合はどう確保するのかも課題です。
風力:冷泉小屋がある乗鞍岳長野側は風が比較的弱い斜面です。機材の強度やメンテナンス、発電量を考えると、この地域にはあまり向いていなさそうです。

オンラインイベントでぜひ議論にご参加下さい

先ほど挙げた選択肢以外や、新しい技術を探して現在も議論が進行中です。

2021年2月13日(土) 10:00 ~12:00に「国立公園でオフグリッドは可能か?冷泉小屋のインフラを考えてみる。」と題してオンラインイベントを開催予定です。アイデアセッションや質疑応答もありますので、エネルギーや環境にご興味がある方、もうちょっと知りたいなと思った方は、ぜひご参加ください。

お申込URL:https://hello-renovation.jp/event/form/447
※お申込みには「ハロー!RENOVATION」への会員登録(無料)が必要です。
※お電話(0467-53-8583)、メール(info@enjoyworks.jp)でもお申込みいただけます。お気軽にご連絡ください。


そして…乗鞍の夏の風物詩「乗鞍ヒルクライム2021」の開催が発表されました!ワクワク!

8月末に向けて冷泉小屋再生プロジェクトも準備を本格化していきますので、ぜひnoteのフォローもぜひお願いします!

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