見出し画像

山小屋再生の手順を考えてみる #冷泉小屋再生プロジェクト

こんにちは、冷泉小屋再生プロジェクト広報部です。

前回の記事では冷泉小屋新オーナーの村田が山小屋再生を決断するまでのプロジェクト前日譚をお伝えしました。言うなれば偶然の積み重ねを通じて、じわじわとやる気になったのですが、今回は実行篇です。「意外と大変!」の中身を聞いてみました。(インタビュアー:広報部石原)

冷泉小屋とは?
長野県松本市と岐阜県高山市にまたがる乗鞍岳の中腹にある山小屋。小屋のすぐ脇に湧いている4℃の硫黄冷泉が名前の由来。2006年から閉鎖中。

前例がないところからルールを作る、山小屋の移譲

――前回、企業のプロジェクトとして始まった山小屋のリノベーション企画が中止になった後、村田さんが個人として山小屋の経営権を譲り受けることにしたというお話がありました。譲り受けるってどういうことですか?

国立公園や国有林にある山小屋は、林野庁(農林水産省の外庁)から土地を借りて営業しています。

乗鞍岳の麓にある旅館金山のオーナーである筒木東洋男さん(写真)が、現在も冷泉小屋の経営権を持っています。自分が新オーナーになるには筒木さんから譲り受ける手続きが必要なんです。

山小屋の経営権は、基本的には世襲制で、筒木さんもご自身の親から譲り受けています。このルールは国立公園や国有林の整備がされて以来、変わっていません。

旅館金山(旧金山ヒュッテ)とは
筒木東洋男さんが営む旅館。乗鞍岳中腹より引いている天然かけ流しの温泉が最高です。白濁していて硫黄の香りがたっぷり。熱くもなく、ぬるくもない、ずーっと入れる温度。露天風呂もオススメです♨。
https://norikura.gr.jp/product/ryokan-kanayama/

――世襲って…イマドキ珍しい制度ですね。

ですねえ。親子関係でない人同士の移譲の例は非常に少ないです。

さらに言うと、個人から企業への移譲の事例も少ないです。林野庁としては責任の所在があいまいになる可能性があるため好ましくないと考えているとのことです。新オーナーになろうと決めた時、自分が勤めている会社の事業にしちゃったほうがラクかな~と思ったんですけど(笑)諦めて、筒木さん個人から村田個人への譲渡とすることにしました。

林野庁に最初に行ったのは1年前で、手順などを聞きました。面倒な手続きがたくさんあって…筒木さんと村田の関係を明らかにする説明資料を用意したりしました。

「うわ~これは大変」と思って後回しにしていたんですが、今年12月に行ったら、ずいぶん手順が簡略化されていました。林野庁の担当者が、前例がないからとイチから関係各所に掛け合って、手続きを簡略化してくれたんです。あとは松本市とも手続きを進めています。

――親子以外の譲渡の例ができると、他の山小屋の経営権譲渡も変わってくるのでしょうか。

多分そうだと思います。冷泉小屋のケースで可能性が広がれば、経営難に陥っている山小屋を救う手立てが増えるかもしれません。

資金面や進行面でも「参加型」を目指す

――移譲手続きの次のステップは何ですか?

目下は資金面と事業計画づくりをしなければいけない…

鎌倉を拠点に、不動産・建築・まちづくりなどに取り組んでいるエンジョイワークスさんには2019年からプロジェクト全体の進行をサポートしてもらっています。冷泉小屋は、空き家問題の解決を目指す投資型クラウドファンディングの「ハロー!Renovation」の一つとして取り上げてもらっています。

投資型クラウドファンディングは普通のクラウドファンディングと違い、事業収益からリターンを金銭として受けとったり、元本部分である出資金の返還を受けたりできる仕組みです。

他の資金繰りも…今後考えなきゃ……な…

――(まだまだ考え中のようです)

制限があっても、アイデアがある

――その次の大仕事は、小屋の建物のリノベーションですね。建て替える予定ですか?

いや、建て替えはしません。増床したり構造を変えたりする許可を得るのが難しいと判断し、時間もかかってしまうので、リフォームだけにします。

――写真を見ると…あちこち傷んでいますよね。

正直言うと、結構ボロボロ(笑)。2020年はまず入口の橋を渡して、小屋に入れるようにするところから始めました。

橋がかかっていてドアが開いていると、登山客や自転車乗りの人が「営業していますか」と覗いてくるんです。長年閉まっていた冷泉小屋でも、開けばニーズがあり、いかに山小屋が公共財として重要なのか改めて実感しました。しっかりと補修して、乗鞍岳に来る人を受け入れたい。

ですが、ただ補修するのではなく新しい山小屋を目指したいんです。泊まってくつろぎたい人もいれば、靴を脱がずちょっとだけ休憩したい人もいる。いろいろな使い方ができるようにアイデアを出し合っています。構造を変えなくても、アイデアはどんどん広がる。オンラインイベントでもたくさんのアイデアが出ました。

たとえば、当初は眺めが開けた谷側のことばかり考えていたのですが、ロードバイクの人は自分の愛車を眺めながら休憩したいという人が多い。ですので、谷側と道路側の2方向に休憩スペースを作ろうと考えています。

アイデアを建築というカタチにするパートナー

――たくさん出たアイデアをどのように実現するのでしょうか?

建築ユニットo+hさんが今回のプロジェクトの目指す姿に賛同してくれて、彼らと二人三脚でリノベーション計画を考えています。

o+hとは?
建築家の大西麻貴さん、百田有希さんによる建築ユニット。建物だけでなく、その場の物語をとらえ、社会や環境とのつながりを創り出す注目の若手建築家です。本プロジェクトには榮家志保さんも参加くださっています。http://www.onishihyakuda.com/

コンセプト作りから一緒に何度も議論し、今年の夏には建築模型を東京から現地まで運んでくれて、具体的なイメージに落としていきました。

そこには先ほど話したような、いろいろなニーズに応える工夫がたくさんあります。次の冷泉小屋は登山客だけの小屋にもしたくないし、自転車乗りだけの小屋にもしたくない。新しい山遊びのカタチを作る小屋にしたいんです。

――建築周りは来年に向けて具体化していますが、その他にはどんな課題がありますか?

ハード面でいうと工務店選び、エネルギー問題、通信環境。ソフト面でいうとオペレーションとかも検討していかなければいけない。

なぜか壁を塗りたい、左官をやりたいという人はすでに数人いるのですが(笑)、いろいろなスペシャリストの助けを借りて進めることになると思います。

エネルギー問題は次回のオンラインイベントで取り上げますが、この時代の山小屋だからこそ、サステイナブルなエネルギーを使う山小屋でありたいと思っています。小屋のそばで湧いている冷泉の水の動力を使うとか…?ぜひ専門家の意見やみんなの経験を聞きたいと思ってます。

次回のオンラインイベントは2021年2月上旬の予定。SNSなどで告知しますのでぜひチェックしてください。

―—村田さんは自分で全部やるのではなく、他の人の知恵を借りて進めているんですね。オンラインイベントを見ていると、さまざまなバックグラウンドを持つ方が参加し発言しています。

そう。参加型というのは、いろいろな人が交わることなんです。このプロジェクトの参加者は以前から知っている知り合いだけでなく、立ち上げてから初めて出会う人も多いんです。そんな人たちとこのプロジェクトをきっかけに会話して意見を交わせるのが面白い。

実はプロジェクトの進行だけでなく、冷泉小屋自体をそういう場にしたいんです。さまざまなバックグラウンドの人が交わり、カルチャーの話ができる場所。登山の人が登山の話だけをする場所ではなく、自転車の人と交わったり、登山初心者と交わったり。

―—今後のスケジュールを12月のオンラインイベント時に発表しました。

スケジュールも発表しちゃったし、来年のプレオープンに向けてどんどん進めていくつもりです。

―—2020年はキックオフの年でしたが、来年はもっとリアルになっていきそうですね。そしてやることがたくさん!

そして、今年のnoteはここまで。来年も、少しずつ輪郭が明らかになる冷泉小屋の姿をお伝えしていきます!まっすぐな道ではないけれど、引き続きお付き合いいただけると嬉しいです。

日本初の山小屋再生プロジェクトはまだまだこれから。参加型のプロジェクトです。

オンラインイベントを見たい、運営に携わってみたい、投資家になりたいなど、さまざまなカタチでご参加いただけます。

SNSでも随時情報発信中です。

Facebook:https://www.facebook.com/ReisenHutte/

Instagram:https://www.instagram.com/reisen_hutte/

noteのフォローもぜひお願いします!

それではみなさん、よいお年を。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?