「育休時代のジレンマ」を読みました
2014年刊行と少し前の本ですが、自分自身が産休・育休に入ったこのタイミングで読み直したくなり、一度読んだことのあるこの本を改めて読み直しました。新卒のときに一度読んだことがあるのですが、当時は「そうなんだ…」くらいに思っていた内容が、今の自分のキャリアの悩みにぶっ刺さり、首がもげるほど頷きました。
この本の問題意識は「育休・産休の制度が昔より整ったにも関わらず、多くの総合職の女性が、出産子育てを機に仕事を辞めるもしくは仕事を続けたとしても意欲が低下したように見えるのはなぜか」という点。総合職女性15人へのインタビューから構成された筆者の博論がベース。結論は、「それまで男性に負けないように勝ち上がっていく意欲があった女性こそ、出産・子育てを機にかえって辞めてしまうことがある。辞めずに続けている女性は、元々ある程度働きやすさを軸に仕事を選択していたり、仕事への意欲を引き下げたり、出産・子育て後もやりがいのある仕事を続けられている人」。
”仕事を辞めなさそうだったのに、出産を機に辞める女性”。実は、元々キャリアによる自己実現を求めたいという価値観や、男性に負けずに平等に競争するという価値観を身に付けてきたがゆえに、実際に出産・子育て後に両立しようという段階でスタックしている。出産前に総合職として元々やっていたような、男性と同じように無定量に残業する・どんなプロジェクトも引き受けるという働き方はとても継続できず、一方で職場で過剰に配慮されてマミートラックに乗せられると、仕事のやりがいを完全に見失い、子育てとの両立をやりくりしてまで仕事を継続する意味を失い、辞めてしまう。
この、出産・子育てを機に、職場でアサインされる仕事が変わってしまうor働きやすさを優先して転職することで、仕事に対するやりがいを失う不安は、まさに今私が感じている不安そのものだと思う。
私の場合、この本で書かれる”辞めずに続けている女性”の考え方も、結構意識しているかもしれない。無定量に残業する男性がまだまだマジョリティな職場で、自分が出産後も前と同じ働き方をできるとは到底考えておらず、そもそも時短などを自分から選択し、働きがいのある部署へのアサインを先に諦めて、仕事への意欲を意図的に冷却しようとしている。おそらく、職場の人事から見れば、バリキャリを突き通しそうだったのに、マミートラックに甘んじてキャリア意欲が低くなった人間と見られる可能性がある。
すると、仕事のやりがいと子育てはトレードオフなのか?という疑問が湧くのだが、救いなのが、職場復帰後も仕事のやりがいと子育てが両立し、仕事を継続するパターンも書かれていること。仕事の量は減らしつつ(+仕事の仕方を工夫しつつ)、仕事の質・内容は出産前から変わらない人たちは、仕事を継続する見通しが高い。
ただ、ここでさらにふと浮かぶのが、そもそも仕事のやりがいと子育てがトレードオフにならないような環境整備が多くの職場でできてない、という点。この本でも指摘されているように、男性が担うケア労働が、女性より圧倒的に少ない。無定量に働ける人(多くは男性)がマジョリティの職場で、ケア労働を抱える人(多くは女性)が同じ土俵で戦えないのは当然…。男女問わず働く人が様々な形で仕事とケア労働を両立することが当たり前な社会になるとよいなと思うし、そういう社会の実現に加担していくようにできればと思う。
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