見出し画像

sio鳥羽周作シェフ、今度は料理本でみんなに優しい愛をおすそわけ

 2020年はとんでもない年になってしまったようだ。そう私が気づいたのは3月も後半であった。身近でも感染者が出始め、自粛が呼びかけられ、自分の春に予定して結婚式も延期を検討し始めた。そしてあっという間に日本でも緊急事態宣言が出て、飲食店は営業の制限を強いられることになった。

 私は自他共に認めるレストラン好きでシェフの友人がとても多い。企画していた結婚式もそんなシェフたちが集まってくれて、料理を振る舞うといった内容だっただけに当然延期を決めた。日々の仕事は、出版社で映像の部署に所属し、映画やイベントを行っているが、続々と担当作品の公開・実施の延期中止が決まっていった。いつもは忙しい仕事も減っていき、大好きなレストランにも行けず、ただただテイクアウトを買う日々。どんどん鬱になっていった。何より、店での飲食が出来なければ、いつもお世話になっている大好きなシェフの友人たちに何もすることが出来ない。自分は仕事がなくなったとはいえ、所詮はサラリーマン。結局エンターテイメントって有事の時には何もすることがないんだと2011年の時のことを思い出すほどに私は弱っていった。

 そんな4月である。通っている店、代々木上原sioの鳥羽シェフが「#おうちでsio」とハッシュタグをつけて突然、レシピ公開を始めた。それもお店で出しているメニューである。最初は「今みんな家でご飯作ってるし、これは需要あるよね」という気持ちで読んでいたが、そのアップするメニューの数と次々と上がる異常なスピード感に、すぐにこれは何かいつもレシピ公開とは違う、と気づき鳥羽シェフに連絡をとった。

鳥羽さんは「これ、めっちゃいいっしょ?みんな家で作りたいと思ってさ!俺ずっと引きこもってレシピ考えてるんだよ」と元気そうな様子だった。心配そうに私が「大丈夫?」と聞くと「いやー全然店やばいけどさ!なんとかなるっしょ!こういう時こそ、愛だよ愛!幸せの分母を増やさないと!!」といつもの海賊のような勢いでまくしたててきた。すっかり拍子抜けした私だったが、まさしく鳥羽さんの言う通りここで守りに入るのは違うよね、今こそ「GIVE」の精神だと、強く共感した。いつだって世界を変えるのは愛の人だ。

その後、鳥羽さん率いるsioはテイクアウトを始め、さらに幸せの分母を増やしていった。そのめちゃくちゃ美味しい、「Hey!バインミー」をむしゃむしゃしながら(じゃあ、私が今出来ることとは何なんだろう?私は自分の仕事でどうしたら幸せの分母を増やせるのだろうか?)と自問自答。出した答えは単純明快「そもそも出版社で働いているんだから本を出そう!」だった。そう、鳥羽さんの幸せの分母の増やし方を私になりにヘルプする方法が身近にあったのだ。

画像2

昨年「おうちで深夜食堂」という料理本を編集していたこともあり、すぐに上司に企画書を出し、鳥羽さんに提案した。「マジで?俺の本なんかでいいの?!」と恐縮しながらも、すごく嬉しそうにしてくれた鳥羽さん。まだGW明けだった。そこから怒涛の作業が開始。レシピ考案から撮影、原稿入れまで最速のスケジュールで進行し、鳥羽さんの初著「やさしい レシピのおすそわけ #おうちでsio 」は9月28日という最速の発売日が決定した。全ては鳥羽さんの決断と作業、アイディアの出し方の迅速さによるものだ。

鳥羽さんの「スッキリ!」月1レギュラーが決定し、そこで無事解禁をすることが出来た今日。校正はもちろん終わっていない(笑)そんなギリギリスケジュールではあるが、sioのスタッフや我々書籍スタッフ一同、既に内容に手応えを感じている。...この本の出版はレストラン業界やシェフの地位向上(とまで私が言ったらおこがましいが)に少しでも役に立てる一つの機会きっかけになるのではないだろうか、と思いながら必死でやっている。みなさんの手元に届くまで1.5ヶ月。みんなの予約数がまた世界を変える。ぜひ、ポチった上でお待ちください。https://www.amazon.co.jp/dp/4093106576/ref=cm_sw_r_cp_api_i_kWMmFbVX9EA6M

200828おうちでsio帯付き


※時間を見つけて、編集記みたいなものをまたアップしたいと思います。


2020/9/28発売 小学館刊行 定価1300円+税 著:鳥羽周作

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?