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ホワイトレディー


 青色の薄明かりが白いレースカーテンから差し込んできている。

 夜中3時半を過ぎたばかりの部屋に、街灯の明かりがこぼれ落ちてくる。

   私はレースカーテンから零れてくる薄明かりを頼りに、彼女の体に後ろから手を伸ばした。

 彼女は何を言わずに、服をずらして寝ころんだまま少しずつ着ている薄着の寝間着を脱いでいく。

 私達はささやかなキスをしながら、お互いの体をまさぐった。

 部屋中にシーツが擦れる音が響いている。小さいベッドの上で、私達は体を重ね合わせる。

  私は彼女の頬にささやかなキスをした後、彼女の柔らかい肌を手のひらを使って少しずつ押して解し始めた。

  舌先を使って、全身を順番に撫でていく。

 彼女は言葉を発しない。ただ、時折目を合わせてお互いの波長を合わせるのみだ。

 繰り返しているうちに、徐々にお互いに次にやることが目を合わせるだけで伝わるようになってきた。

 肌に触れる感触をたっぷりと味わった後、少しずつ次に移行していく。彼女の目がおっとりとしてきて、次に入るべきだと私は思った。

 私がまだ履いていたボクサーショーツとシャツを脱ぐと、彼女は私のペニスを口に含んだ。

  舌を絡めて全体をねっとりとさせた後、少しずつ吸い付くように口を動かし始めた。

 唾液を使って全体を湿らせた後、ペニスの裏筋にそうように舌先を使って線を描いていく。

  私は彼女と目を合わせる。

 私達は目を合わせても、こころを通わせることは無い。私達はただ、お互いの体温を求め合っている。

 お互いを肉体として欲しているだけであって、そこにいかなる精神的な営みも存在していない。だから、高揚感や幸福感はなく、ただ単なる肉体的な快楽だけが渦巻いている。

  私達はもう何度もこうして体を重ね合わせているが、彼女がオーガズムを迎えたことはない。

  私も達して射精こそすれ、終えたあとに虚しさが残るだけだった。でも、こうして体を重ね合わせずにはいられなかった。

  私は初めは少しばかりの悲しみを感じたものだったが、もうずっと前に、そういった感情は生まれなくなった。

 その日はそこで果ててしまって、終わってしまった。

 私達はお互いに体を舐め回すためだけに夜中2時間も抱き合っていた。



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