Eric Paradis インタビュー記事
エリックはカナダ・モントリオールで開催しているフェティッシュイベント”Montreal Fetish Weekend”のプロデューサー。
このイベントはホテルに数日間宿泊し、そのままのスタイルでレストランへ行ったり、街中をウォークするなど、他のフェティッシュイベントとは全く楽しみ方が違っています。
イベントには徹底したルールが設けられており、参加者に協力を求めることで街全体にイベントが受け入れるように長年活動してきました。
今年(2024)で20周年を迎える、ビッグイベントを作るエリックにお話を伺いました。
写真はすべて公式となります。
Rei
モントリオール・フェティッシュウィークエンド(以下・MFW)の歴史を教えてください。
何年にスタートしましたか。それはなにがきっかけだったのですか。
Eric
このイベントは2004年に裏庭で開かれたBBQパーティーからスタートしました。
世界中の素晴らしい人々がモントリオールの街に集まるイベントを作ったらどうだろうというシンプルなアイデアから発展したんです。
それは同じ趣味を持つ者同士が楽しいひとときをつくり、分かち合うことが目的でした。
最初の年は200人にも達しませんでした。
かなり困難でしたが、新しいタイプのイベントを開催することにより、みんなが笑顔になり、参加者が増えていくことは楽しくやりがいのあることでした。
MFWが開催される前は、ほとんどのイベントが一晩限りの開催でした。
僕はイベントプロデュースの経験から、遠方から来てくれる人々の興味を引くには一晩だけでは足りないことを知っていました。
モントリオールの想像力と魅力を見せる必要があったんです。
Rei
イベントはどんな内容ですか。なにが起こりますか。
Eric
何よりもまず、イベントは参加者が主役です。
プロデューサーがどんなに大規模で素晴らしいイベントを企画しようとしても、イベントが何であるか、何になるか、そして必然的になるかを決めるのは常に参加者です。
期待、サプライズ、新しいタイプのアクティビティ(モントリオール・ フェティッシュフォトウォークはMFWで最初に始まり、今では他の都市でもよく模範されています)の間の絶妙なバランスを確立するのはプロデューサー次第ですが、参加者が何を望んでいるかを聞くことも必要です。
参加者の想像力、そして一生の友情を築けるような完璧な時間と場所を確立したいと願うのみです。
Rei
MFWは数日間の大きなイベントです。
なぜそのような大規模なイベントを維持できたのでしょうか。
Eric
これほどの人気と息の長さを得るとは思ってもいませんでした。
このような偉業を達成できたのは参加してくれる人たちのおかげです。
僕たちはフェティッシュな魅力を持つ人たちの心の中にある情熱を忘れずにいます。
Rei
街にはイベントのラッピング広告のバスが走っていたりと、街自体が寛容のように見えます。
日本では考えられないことですが、モントリオールの人たちはフェティッシュなイベントに対してどのように思っているんでしょう。
どのように感じますか。
Eric
はじめからそうだったわけではありません。
ある程度受け入れられるまでに約 7 年かかりました。
僕らがフェチを愛していることは確かですが、自分たちにも常識的な視点と、家族やさまざまな考えを持つ責任あるコミュニティーの一員であると理解することで達成できているんです。
つまりそれはバランスと協調なんです。
水のようであること、順応できること、そして常に誰に対しても敬意を払うことが大切だと感じています。
Rei
街を巻き込んでのビックイベントを開催することは大変なことだと思います。とくに気を使うことはなんでしょうか?
Eric
たとえばカップルがドイツや日本から足を運びたくなるようなきっかけ、それを継続させることは最大の課題です。
参加者と制作スタッフは、年に一度のイベントに参加することで素晴らしい人々に会えることがとてもエキサイティングなことだとわかっています。
特別な来場者に敬意を表し、彼らが滞在中ずっともてなされ、歓迎されるような完璧なロジスティクスを作り上げること。
ホテル探し、つまり、ホストホテルの比較的近くにある会場を選ぶことは物流面だけでなく、参加者にとって納得のいく価格帯のホテルを見つけることも難題なんです。
よく言われるように、悪魔は細部に宿る"the devil is in the details"です笑。
Rei
コロナという世界的な出来事がありました。
イベントなどができなくなっていた時期はどうしていましたか。
Eric
コロナはある意味、終わりであり、再生でもありました。
個人的にはとてもクリエイティブで国際的なファミリーの一部であることが自分にどんな意味があるのか、自分の心にとってどんな意味があったのかを実感することができたし、MFWを通して、他の人の人生に影響を与えたり、数日間の楽しみを提供したり役立てることができるんだと気づかされました。
この一時休止は、いつか自分たちの理想的なイベントを立ち上げるであろう、新しく、若く、美しく、才能がある人たちを育て、継続していくための喜びやひたむきさについての視野をも広げてくれました。
Rei
あなたがイベントをやるにあたって影響を受けたフェティッシュイベントはありますか?
Eric
はい、もちろんあります!
MFWは僕が参加する機会に恵まれた『Dressing for Pleasure』からインスピレーションを得たものです。
このイベントは、1980年代後半にニューヨークの伝説的なペンタホテルで開催され、プロデュースはコンスタンス・エンタープライズでした。
Peter W.Czernich(当時Oマガジン、後にMarquisマガジンの創立者)、Schwarze ModeのJurgen Dietzel、DDIマガジンのDavid Jackson、写真家のKalus Lucks、トロントのNorthbound LeatherのGeorge GiaourisとAnna Giaourisといった著名人たちと会った懐かしい思い出がよみがえってきます。
2 つ目の影響は間違いなく、SkinTwoマガジンのTim Woodwardがプロデュースした一夜限りの大規模なイベント、『ロンドン・ラバーボール』です。
この2つのイベントと運よく築くことができた素晴らしい友情は、MFWのインスピレーションを生み出しただけでなく僕の考え方に影響を与えました。
このフェティッシュコミュニティは、地元だけではなくむしろ国際的なものであり、毎年素晴らしい人たちが集まってくるという「大局」を見るという点にも影響を受けました。
僕たちは一晩の大規模なパーティーとホストホテルでの4泊か5泊の楽しみをシンプルに組み合わせ、真の”フェティッシュ・ウィークエンド”にしたんです。
Rei
あなたはフェティッシュを持っているのでしょうか?
あるとしたらなんですか?
Eric
僕にはたくさんのフェチがあります。
ラテックス、レザー、ランジェリー、PVC、ブーツ、手袋、フード、ガスマスク、精神的なプレイ、D/sプレイ、官能的な前戯。
日常という牢獄から抜け出してファンタジーの世界に入ることを可能にする、あらゆる形のフェチを持っています。
Rei
モデルやショーなどをブッキングする場合、なにを基準にしていますか。またどうやって見つけていますか。
Eric
常にアティテュードと意志を重視します。
自信もまたスペシャルな才能であり、それがさらに刺激的なものにもなります。
他の人の参加意欲から学ぶ事は多くあるなと思っています。
MFWに参加したいと願う人たちに刺激され、自分自身が若返り、良いプロデューサー、良い聞き手、良い友人になるため、変化し続けることを余儀なくされます。
僕たちはモデルやアーティストを探すのではなく、MFWの20年のレガシーに影響されて(タブンね)彼らが僕たちに手を差し伸べてくれているんです。
Rei
KURAGEはショーを行っています。KURAGEを招聘した決め手は?
Eric
KURAGEは宝物...それは僕にとって、砂漠を歩いていて喉が渇き、はるか彼方に美しいオアシスと補給物資を発見したような感覚に似ています。
日本人は常にファッションとデザインのそのアイコニックなスタイルに敬意を払ってきました。
何年も前、日本の情熱的な魅力を体験することが僕の夢でした。
Kid'Oさんの瞳の中に僕は宝物を見つけた!
それは僕に夢を抱かせたこだわりと情熱の作品そのものでした。
Rei
注目しているデザイナー、モデルなどはいますか。
Eric
僕は常に目を光らせ、世界中からモデルやデザイナーを歓迎するよう最善を尽くしています。
誰とは言わず、才能ある素晴らしい友人たちをお迎えできることは心から光栄ですよ!
Rei
MFWを手掛けるまではなにをしてきましたか。
どんな音楽を聞き、映画を見てきたのかなど影響を受けたカルチャーについて教えてください。
Eric
MFWの前は、ニューヨークのイベント『Dressing for Pleasure』でモデルをしており、ツアーミュージシャンでもありました。
同世代のフェティシストの多くがそうであるように、僕が文化的な影響を受けたものにはSF映画やテレビ番組がありますが、さらにひねりを加えるなら、社会的な認識の束縛から解放されたときの人々の行動に魅了されたのかもしれません。
心と外見の変化という行為によって、自分の力を解放する美学をシンプルに受け入れることが、人生という短くも実り多い旅における、僕の精神的指針です。
Rei
日本に来たことはありますか?あるならイメージを聞かせて下さい。
また日本のフェティッシュシーンをどう感じますか?
Eric
日本はいつまでも神秘とスピリチュアリティに満ちた美しい国であり続けるでしょう。
人生の中で日本への短期旅行ほどフィジカル面で気分が良くなったことはありません。何故かわからないんだけど、僕は以前にも日本に来たことがあるような気がしたんです。
同行してくれた人たちや出会った人たちは、いつまでも大切にしたいギフトを僕の心に残してくれました。
日本のフェティッシュ・シーンについて正しい考えを確立するのに十分な時間を費やすことはできなかったけど、僕が垣間見たものからすると、「フェティッシュ」が官能的あるいは性的な表現以上のものになるという意味で、日本はとても特別な国だと思います。
それはまさに自分の分身の表現なのだと感じます。
秘密の箪笥に眠る美。たまにその箪笥が開かれ、世の中に公開されるとき、それは言葉では言い表せないほど眩しい。
それは繰り返し体感したい所です。
Rei
今後のプランを教えてください。
Eric
今は父の面倒を見ることです。
父は90歳で人生の旅の終わりを迎えようとしています。
その他にはより良い人間、より良い友人、より良い聞き手、そしておそらくより良いギター奏者になることを計画しています笑。
将来はまた音楽をやれればいいなと思っています。
Rei
これを見ている日本のフェティストへメッセージを下さい。
Eric
僕のフェティッシュ業界での人生の話を少しだけ紹介したこの記事を読んでくれている日本の友人の皆さん、一人一人に特別な才能があり、夢を実現させる才能があることをいつも忘れないでください。
見て、聞いて、感じて、そして行動してほしい。
人生は、あなたが本来あるべき姿になることで限りなく豊かになるでしょう。
Eric Paradis
2024年で20周年を迎えるカナダ最大のフェティッシュイベント”モントリオールフェティッシュウィークエンド”を手掛ける。
イベントはフェティッシュファッションで地下鉄に乗るなど街中でも楽しむため、人々の尊敬、尊重、理解など基本的なものを大切にし、フェティストたちにはもちろん、住民にも受け入れてもらえるよう気を配っているとのこと。
2024年のイベントは8月29日から9月2日まで。
1日だけ参加することも可能。
予約などはサイトへ。
後記
日本語を使ってSNSでもやり取りをするなど大変な親日家で知られるエリック。
インタビューは「エリックもいつかやって!」と冗談ぽくいったところ「いいよー、頑張るよ!」と返事をくれたこと、また、MFWはまだまだ日本では参加者が少ないので、色々詳細を知りたいし、行く人が増えてほしいと思ったところです。
自分の内なる欲望である、フェティッシュなファッションを身に着け、レストランや地下鉄にみんなで利用する。
そのスリリングな開放感はプロデューサーのエリックとそして参加する人々の心持ちによって維持されていることがわかります。
それにしても哲学的なワードが多くてかなり手こずってしまった!
そしてたくさんの画像資料!
エリック忙しい所ありがとう!arigatou!
日本に来るときは色々と案内したいところです。
Montreal Fetish Weekend
Official site
INSTAGRAM
https://www.instagram.com/fetishweekend/
TWITTER(X)
https://twitter.com/FetishWeekend
All images credit Montreal Fetish Weekend.
Thanks for all you do!
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