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惚れてガルーダ ーインドネシア本ー

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インドネシア関連のノンフィクション、小説、エッセイ、紀行文、専門書等を集めたマガジンです。インドネシアに関して勉強している人、インドネシア関係で仕事している、インドネシアに興味が…
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2022年1月の記事一覧

インドネシア本(8)「珈琲の哲学 ディー・レスタリ短編集 1995-2005 (インドネシア現代文学選集)」ディー•レスタリ著

インドネシア本(8)「珈琲の哲学 ディー・レスタリ短編集 1995-2005 (インドネシア現代文学選集)」ディー•レスタリ著

「あなたとインドネシアをつなぐ人生と愛のテーマを18篇収録」〜本文より〜

インドネシアの作家であるディー・レスタリによる短編小説集で、コーヒーに関する物語、人間の人生や愛情、家族や友情、社会の問題などについて考えさせられる作品が多数収められている。

この短編集を通して、インドネシアの文化や社会についても知ることができ、興味深く読むことができる。平均年齢が若く、20歳以下が1億人いるインドネシア

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インドネシア本(7)「インドネシアと日本―桐島正也回想録」 倉沢 愛子著

インドネシア本(7)「インドネシアと日本―桐島正也回想録」 倉沢 愛子著

「日本との国交が樹立された直後の1960年以来、激動のインドネシアにとどまり、50年にわたってビジネスを展開してきた男の物語」〜本文より〜

桐島正也氏は小説『神鷲(ガルーダ)商人』の主人公のモデルとして知られていて、第二次世界大戦後にインドネシア初代大統領スカルノの要望に沿い、かのデヴィ夫人に随伴しインドネシアへ渡ってから、2019年に亡くなられるまで半世紀にわたってインドネシアで手広く事業を展

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インドネシア本(6)「利権聖域 ロロ•ジョングランの歌声」 松村美香 著

インドネシア本(6)「利権聖域 ロロ•ジョングランの歌声」 松村美香 著

「菜々美の従兄・稔は8年前、新聞記者として赴任したインドネシアの東ティモール独立紛争に巻き込まれ死亡した。最後の便りはロロ・ジョングラン寺院の写真だった。」〜本文より〜

第1回城山三郎経済小説大賞を受賞した小説で、内容はタイトル通りといってよい。作家は青年海外協力隊に参加した後、途上国の開発コンサルタントをしている方で、当該小説もODA(政府開発援助)絡みに関する裏の内容は鋭い。日本はインドネシ

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インドネシア本(5)「渦巻く南方」岡村テツヲ 著

インドネシア本(5)「渦巻く南方」岡村テツヲ 著

25年間、東南アジアに住んだ筆者が綴るインドネシアで経験したエピソードを語ったエッセイ集。

軽い話だけでなく時に重い話だったり、驚嘆の話もあるのだが、なぜか軽やかでのんびりした熱帯の雰囲気が感じられるのは筆者の洒落た文章からだろう。

インドネシア人の人生観やインドネシア華人に関する分析等、さすが長いこと住まわれていただけあって鋭い指摘だ。

今のジャカルタと比べて当時は生活の不自由さはあるの

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インドネシア本(4)「赤道 星降る夜」 古内一絵 著

インドネシア本(4)「赤道 星降る夜」 古内一絵 著

「祖父の霊とのボルネオへの旅が始まる。旅先で出会ったのは、個性豊かな人々と悲惨な戦争の記憶」〜本文より〜

インドネシアが第二次世界大戦終戦までの3年間、日本に植民地にされていたのを知っている日本人は多いと思うが、終戦間近に今のカリマンタン島で実際に起こった日本軍による現地住民への弾圧事件である「ポンティアナック事件」がモチーフとなった小説。

カリマンタン島西カリマンタン州の州都ポンティアナック

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インドネシア本(3)「腐敗と寛容 インドネシア・ビジネス」 中原洋 著

インドネシア本(3)「腐敗と寛容 インドネシア・ビジネス」 中原洋 著

「官民あげての贈収賄が、大らかな風土のなかで受け入れられていく」「汚職と楽天の風土の光と影」

2005年出版当時の当該本の帯に書かれている宣伝文句だが、汚職捜査機関があるKPKが存在する2022年現在も以前より少なくなったとはいえ、収賄・汚職のニュースは絶えないし、腐敗行為に「寛容」な文化はまだ社会に存在するという認識で間違いないだろう。

インドネシアに12年駐在した筆者は国としての多種多様な

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インドネシア本(2)「アドゥー サバール プルダニア―実録インドネシア日系合併銀行の50年」NNA取材班 大住昭・工藤裕子著

インドネシア本(2)「アドゥー サバール プルダニア―実録インドネシア日系合併銀行の50年」NNA取材班 大住昭・工藤裕子著

旧大和銀行がインドネシアで設立した合弁銀行・現りそなプルダニア銀行の開業から半世紀の歴史を描いたノンフィクション。

インドネシアに限らず海外(特に新興国)での新会社・新規事業立ち上げをする人はもちろん参考になるし、表層的ではなく短い駐在期間だとしても根を下ろして現地でビジネスをしたい人はそのウエットさに共感、経験との重ね合わせができるシーンが多々あるノンフィクションだと思う。

今のインドネシア

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