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教育において「ダメ出し」が機能するために最低限必要な3つの条件

こんな記事を見つけました。

学校教育における「ダメ出し」の問題点について指摘した記事ですが、個人的にはむしろ学校よりも職場のほうが上司や先輩社員による「ダメ出し」が多いと考えています。

というのも学校は別にできるようにならなくても誰かが困るわけではないのですが(強いて言えば本人が困るぐらい)、職場ではちゃんとやらないと色々な人が困るので、上司や先輩社員は厳しく指導していく必要があるからです。

そんな訳で職場での「ダメ出し」を全否定する必要はないのですが、ただ「ダメ出し」をしたからといって行動が改善されなければ意味がありません

実際に職場では「ダメ出し」をして終わりという上司や先輩社員の方がいらっしゃいますが、「ダメ出し」が教育として機能するためには少なくとも相手に次の3つの条件が揃っている必要があると思います。

1.相手自身が現状をより良くしたいと思っている

ダメ出しの本来の目的は行動を改善していただくことですが、「別にこのままでいいじゃん」と思っている相手にとってはただのうるさい小言になってしまいます。

例えば新人に「挨拶の声が小さい」とダメ出しをしたとき、「もっと印象の良い挨拶をしたい」と思っている新人なら「あっ、今の挨拶の仕方じゃダメなんだ」と受けとってくれますが、「挨拶なんて何でもいいや」と思っている新人だと「ちっ、うっせえな!」と思われてしまいます。

そのため、もしダメ出しをしても改善する意欲が見えないなら、ダメ出しの前にまずは「より良くしていきたい」という動機付けが必要かもしれません。

2.相手に自力で改善できる力がある

ダメ出しをしても行動が一向に改善されない場合、相手のやる気の問題ではなく「どうすれば改善できるかわからない」可能性があります。

例えば若手社員が作った資料に対して「こんな資料ではお客様に伝わらない」とダメ出しをしたとき、自分なりに何がいけないのか分析して自分で資料を修正できる人ならいいのですが、そうでない場合「これではダメなのはわかったけど、どう修正すればよいかわからないよ・・・」と途方に暮れてしまいます。

そこに更にダメ出しを畳みかけると相手は追い詰められてしまうので、もし改善が見られない場合はダメ出しではなく「やり方」をしっかり教えたほうが良いかもしれません。

3.ダメ出しをフィードバックとして受け止められる

これが一番大事なポイントですが、ダメ出しを「上司から責められている」と受け取ってしまうとますます行動に目が行かなくなり、ただ「申し訳ございません」を繰り返すばかりで事態は余計に悪化するだけです。

ダメ出しするときの言い方にもよりますが、ダメ出しはあくまで「今のやり方ではうまくいかない」という事実を教えているに過ぎません。

それが「うまくできないあなたはダメな人だ」という人に対する攻撃として聞こえてしまうと相手は精神的に参ってしまいます。

もし相手がダメ出しを嫌がっているなら、まずはダメ出しは相手を責めているわけではないことを伝えたほうが重要かもしれません。

「ダメ出し」がうまくいく相手は限られている

ここまで3つの条件を紹介しましたが、要は意欲も能力も高く、かつ信頼関係が出来ている相手でもない限り、ダメ出しはうまくいかないということです。

ダメ出しが絶対にいけないというわけではないのですが、ダメ出しをしても相手の行動が変わらないならそれはダメ出しが足りないのではなく、やり方を変えた方が良いかもしれません。

ダメ出しは目的ではなく手段の一つに過ぎませんので、相手に合わせて指導方法を柔軟に変えていくことが上司や先輩社員に求められていることだと思います。

今回もお読みいただきありがとうございました。

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