マスク着用義務がない日本で「いつマスク外せるの?」と問われたらどう答えるか?
テレビの報道番組を見ていたら「いつになったらマスクを外せるのか?」という特集をやっていました。
専門家が出てきてあれこれ言っていましたが、日本はそもそもマスクの着用義務も罰則もない(公共交通機関では”要請”されている程度)ので、「法律に従えばよい」という考えの人にとってはこの問い自体が成り立ちません。
「最初から義務じゃないので、外したければ今すぐ外せる」で終わりです。(そして、マスクの要請がないところではもう外している人もいます)
一方で「法律以外にも守るべきものはあるだろう」と考える人にとっては気になる話です。
特に日本では「世間様」という国家権力よりもはるかに偉くて恐ろしい存在がいらっしゃるので、「マスクについて世間様の答えを知りたい」という人も少なくないと思います。
こういう人は「世間様がOK」と言わない限りは外してはいけないと考えているので、この手の番組の需要は高いのかもしれません。
こればかりは人によって考え方があまりにも違うので無理に白黒をつける必要もないのですが、もし自分がこういう質問を投げかけられたらちょっと厄介だなと感じました。
というのも、この質問は人によって正解が異なり、かつ対立関係になっているからです。そのため、自分の考えを言っただけでも地雷を踏む恐れがあります。
例えば「着用義務はないので、要請がないところでは外してもいいですよ」なんて答えてしまい、もし相手が「他人の目を気にすべきだ」という考え方の人であった場合、相手から「あなたは他人の迷惑を考えない自己中な人だ!」と攻撃されかねません。
私は研修講師という仕事をしているので、新人研修の場などでたまにこの手の質問が飛んでくることがあります。
新入社員の方にとって「世間の常識」は気になることなので、「社会人って〇〇をしても大丈夫ですか?」といった質問をしてくることがあります。
そこで、もし新入社員から「いつになったらマスクを外せますか?」と質問されたら、まずは相手の質問の意図を探ります。
「純粋に知りたい」という意図もあれば、「講師を試している」という意図もあるからです。
前者であれば「日本は着用義務がないので今すぐ外しても別に違法ではありません。ただ他人の目を気にする人もいるので、周囲に合わせてつけている人もいます。なので、自分で外したいと思えば外してもいいし、他人が気になるならつけてもいいです。どちらでも構いません」という無難な答え方をします。
もし後者の場合、相手には何らかの「期待している答え」を持っている可能性があります。
例えば相手が「義務がないなら今すぐ外していいはずだ」という考え方であれば、講師には「日本にはそもそも着用義務はありません」という答えを期待するでしょう。
こちらが「専門家がまだ早いと言っているので当面つけたほうがいい」なんて答えてしまうと「この講師は偏っている」なんて思われてしまいます。
相手の質問の意図を探るのはかなり難しく、「あなたの質問の意図は何ですか?」とストレートに尋ねても答えてくれない場合があります。
そのため、回答を小出しにしながら探っていくしかありません。
正直言ってかなり面倒臭いのですが、不特定多数の人に対して喋る商売をしている以上、世の中いろいろな考え方の人がいることを想定したほうが身のためだと思いました。
まあこういう面倒臭さはある意味日本ならではのものかもしれません・・・
今回もお読みいただきありがとうございました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?