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組織に「多様性」が必要な理由は「某B社の不正事件」でよくわかりました

今ではすっかり”流行り言葉”になった感もある「多様性(ダイバーシティ)」ですが、いざ「本当に組織に多様性が必要なのか?」と問われると誰もが納得できる答えはなかなか出せません。

教科書的な回答をすると、

  • 多様性があることで新しいアイディアが生まれる

  • 多様性があることで生産性が上がる

  • 多様性はイノベーションの源泉である

といったことになりますが、これだと「うーん、確かに無いよりは有ったほうがいいけど・・・」という反応をされることが多いです。

おそらく本音の部分では「多様性はあくまで”理想論”で、現実はお金をかけても多様性を促進する意義はあまりない」ということかもしれません。

それが今回日本で大騒ぎになっている某中古車販売大手のB社の不正請求事件を見て、「組織に多様性が必要な理由」がはっきりわかりました。

一言で言えば「組織が滅びないようにするため」です。
(B社が滅ぶと決まったわけではないのですが、このままでは存続が厳しいのは確かです)

もう少し詳しく言えばこういうことです。

  • 多様性のない組織は全員が一つの方向に向かって突っ走る

  • 正しい方向に進んでいるときは良いが、常に正しい方向に進めるとは限らない

  • 少しでも間違った方向に向かったとき、多様性のない組織は修正できずにそのまま突き進んでしまう

  • その結果、致命的な間違いを犯して組織全体が滅んでしまう

B社の事件を見て、多様性とは決して「理想論」や「きれいごと」ではなく、組織が生き残るために不可欠なものだと言えます。

全員が同じ”色”に染まった組織の危険性

報道されているB社を見ていると典型的な「多様性のない組織」に見えました。

イメージとしては下図のように全員が会社の”色”に染まっている「単色」の組織です。

このような組織も一体感の強さというメリットもありますが、それ以上に大きなデメリットがあります。

それは一人ひとりが組織の”色”に合わせることだけを考えてしまい、思考停止になることです。そして法律や社会通念よりも「組織内部の論理」を優先してしまいます。

こうなってしまうともはや「不正」を不正と思わなくなるので、お客さまの車にゴルフボールで傷をつける行為も、街路樹に除草剤を撒くような行為も上に言われるまま平気で実行してしまいます。

B社を見ていると全国で店舗前の街路樹が枯れていたので、おそらく「それ、マズイですよ」と言える人は一人もいなかったのかもしれません。
(あるいは既に排除されてしまった)

では組織に「異分子」を入れれば良いかと言われると、それも難しいのが現実です。

やっぱり組織は同じ”色”に染めたくなる

組織の「多様性」を促進するために様々な人を入れるのは良いのですが、そのままだとただの「烏合の衆」になってしまい、まとまりがつかなくなります。

組織としては足並みを揃える必要はありますので、「和を乱す人」がたくさんいると困ってしまいます。

そうなると一番「楽」な方法は無理やりでも全員を同じ”色”に染め上げることになりますので、放っておくと組織はどんどん多様性を失っていきます。

それが行き過ぎてしまうとB社のような組織になってしまうというわけです。

多様性に富んだ組織をつくるのは楽なことではない

多様性に富んだ組織というものは単に「色んな人がいる」というものではありません。それだけでは烏合の衆になってしまいます。

あくまで「組織」として機能するためには下図のように一人ひとりが自分の”色”を持ちながら「組織として大切なこと」だけは共有している状態をつくる必要があります。

この状態には一朝一夕で到達しませんので、地道な努力を気長に続ける必要があります。

具体的には次のようなことです。

  • 相互理解を深めるための対話を行う

  • 組織として大切なものを共有するための対話を行う

  • 互いに違いから来る対立を乗り越える(建設的な対立)

これを繰り返すことで初めて本当の意味で多様性に富んだ組織ができます。

とはいえ、ここまでは気が遠くなるような道のりですのでその間どうしても「組織をまとめる」という名目で一色に染め上げたい誘惑に駆られますが、それをしてしまうとB社のような組織になってしまう恐れがあります。

それを乗り越えて本当に多様性に富んだ組織をつくるためにはやはり「組織が滅びないようにする」という強い信念が必要かもしれません・・・

B社の事件を見て改めて組織の「多様性」の必要性を痛感しました。

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