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「正しいビジネスマナー」と「謎マナー」の違いを新人にどう説明するか

最近たまたまネットで見つけたものですが、上司や顧客に対して『了解しました』と返答するのは失礼か失礼ではないかで論争になっているようです。

ネットを見る限り失礼ではない派が多いという印象ですが、中には「了解いたしました」ならOKで「了解!」はNGとか、細かいことを言いだすとキリがない感じもします。

こんな感じで最近はいわゆる「マナー講師」が唱える細かいビジネスマナーに対して「こんなのただの謎マナーだ」という疑問の声が増えていますが、何が「正しいマナー」で何が「謎マナー」か問われるとなかなか悩みます。

例えば名刺交換では名刺の向きや持ち方などの作法はありますが、これは正しいマナーだから誰もが身につけるべきだという人もいれば、こんなの別にどうでもいいという人もいます。また会議室での席次もこだわる人もいれば全く気にしないという人もいます。(ZOOM会議の画面配置の上座下座はさすがにどうかと思いますが)

部下や後輩に「了解しました」と言われても8割以上の人は気にならないというアンケート結果もありますが、見方を変えれば不愉快に感じる人も1割以上はいるということになります。

結局のところ「絶対正しいマナー」というのは存在せず、世の中で気にする人が多ければ「正しいマナー」、気にする人が少なければ「謎マナー」という程度のことかもしれませんが、これを新人にどう教えるかが問題です。

さすがに「マナーなんて人それぞれなので何でもいい」というわけにもいきませんので、ほとんどの企業では新人には一通りのマナー研修を実施しています。

今までなら研修で講師が一方的に「これが正しいマナーだから必ずこの通りにやりなさい」と伝えていましたが、今は新人の方も色々考えていますので、「意味のないマナー」と思われると実践しようと思いません。

そのため、職場で実践してほしいと思ったら「なぜこのマナーが必要なのか」の背景から丁寧に説明したうえで、「やらされるもの」ではなく新人自身が「マナーを実践したい」と思っていただくことが重要です。

実は私もたまにマナー研修の講師を担当することがありますが、自分自身も「謎マナー」には疑問がありますので、どのようなマナーであっても「なぜこのマナーを実践したほうがよいのか」説明するよう心掛けています。

例えば冒頭の「了解しました」についても、「目上の人に対する返事で『了解しました』と言ってもほとんどの人は気にしないと思いますが、ごくたまに「コイツ偉そうだな」と思う人もいるので、『承知しました』『かしこまりました』を使ったほうが安全ですよ」と説明します。

それでも「そんなの気にするほうがおかしい」と思う人がいればまずは相手の言い分を聞いたうえで、職場でどう振舞えばよいか一緒に考えるようにします。

マナーはあくまで仕事で接する相手からよい印象を持っていただくための作法に過ぎず、時代とともに変わってきますので、これからはマナーを教える側も画一的な教え方ではなく、学ぶ側と対話しながら柔軟に教えられるようになる必要があるかもしれません。

自分が正しいと思うマナーを一方的に押し付けるとそれこそ「謎マナー講師」になってしまうと思います。

今回もお読みいただきありがとうございました。


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