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「年上の部下」に対して人事評価を行う「年下の上司」はどうすればよいか?

以前「年下の上司」と「年上の部下」の関係についてこんなことを書きました。

要は上司と部下だからといってそのまま人間的な上下関係を持ち込むのではなく、上司はあくまで「マネジメント」の役割、部下はあくまで「プレイヤー」の役割に徹するほうが円滑に行くという話ですが、一つ難しいのが「人事評価」の場面です。

というのも「人事評価」こそ職場の中で一番揉めることであり、離職理由の上位に来る要因です。

今までのような「年功序列型」の組織であれば上司は自分より先輩であり、年長者なので多少納得いかない評価であってもある程度は我慢することはできました。

それこそ評価面談の場で上司が「今期は頑張りがちょっと足りなかったら評価は”C”ね」と適当に言っても、部下は「わかりました、次は”B”を目指して頑張ります」と”シャンシャン”で終わることもあります。

ところが社歴の浅い20代の「上司」が、社歴の長い50代の「部下」に対して上記のような”いい加減な”評価面談をしてしまうと大変なことになります。部下は「なんでオレの評価が”C”なんだ!納得いかない!」と言い出すことでしょう。

こんなときに若い「上司」が大上段から「あなたのパフォーマンスが低いから”C”なんですよ!」なんて直球で返すと「ふざけるな!お前に何が分かる!」と逆切れされかねません。その場で逆切れされなくても間違いなく信頼関係が崩壊します。

かといって「いや~、評価は”上の人”で話し合って決めていますので、私に言われても・・・」と逃げてしまうと今度は年上の「部下」から「コイツはただの伝言係か」と思われ、「上司」として見てもらえなくなる可能性があります。

というわけで「年上の部下」を持つ「年下の上司」にとって「人事評価」は最も悩ましいことの一つですが、この問題は上司側が額面通り「評価者」として振舞ってしまうことが根底にあると考えています。

日本の企業では上司は「一次考課者」として評価を行うものの、実際に部下の給与を自分で決める権限はほとんどありません。当たり障りのない程度に部下の評価を上申して二次考課者を含めた「評価会議」の場で最終的に評価が決まります。

そのため、直属の上司は部下の給料を決める「評価者」というよりは「評価プロセスのごく一部に関わっている人」というのが現実であり、実際に部下の給料を決めているのはあくまで「会社」だったりします。

部下から見て「納得のいかない評価」であったも上司としては100%自分で決めたわけではないのですが、そこで「評価者」として振舞ってしまうと部下としては「何でお前に評価されないといけないんだ?」となってしまうわけです。

そこで発想を変えて上司は「評価者」ではなく、部下の「代理人(エージェント)」として振舞うと良いかもしれません。

「代理人」というのはあくまで”例え”ですが、イメージとしてはプロのスポーツ選手と所属チーム(球団)の間に立って年俸の交渉などをする人であり、選手が「部下」で球団が「会社」だとすると、「上司」はまさしく代理人としてこの両者とつなぐ役割になります。

このとき、代理人の仕事は選手の評価をすることではなく(査定はあくまで球団)、選手が少しでも高い年俸を得られるようサポートすることがメインの仕事になります。

これを「上司」と「部下」の関係に置き換えるとこんな感じになります。

【目的】

  • 部下がより高い給料を得られるようにする

【手段】

  • 何をすれば給料が上がるか明確にする(目標設定)

  • 給料が上がるためのサポートをする(仕事上のアドバイス)

  • 足りないところがあれば教えてあげる(フィードバック)

【必要なこと】

  • どうすれば給料が上がるのか理解している

  • どういう力学で給料が決まるのか理解している

  • 部下の特性、強みを理解している

要は目標設定から評価面談までの一連のプロセスにおいて「部下を支援する役割」に徹するということになります。

そして最大の違いは「評価者」であれば部下の給料が上がらない(目標を成果を上げられない)のは「部下の責任」になってしまいますが、「代理人」であれば部下の給料が上がらないのは「上司である自分の責任」となります。

もし「年下の上司」がこのような姿勢で「年上の部下」に接することができれば部下側も「何でこんな若造に評価されなきゃいけないんだ」なんて思わずに上司とは良好な関係を築くことができるようになります。

今後はますます年功序列が崩れることが予想されますので、もし若いうちから「上司」の役割を担うのであれば「偉い人」ではなく、「相手を支援する人」として振舞うと良いかもしれません。

最後まで読んでいただきありがとうございます

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