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マンション建築における相続税対策についてFINAL

こんばんは。
運が悪いことが続いた次の日には、ささやかな嬉しい出来事が起きるのは偶然なのかと思っているレイです。

さて。本日はいよいよ最終回。マンション建築における相続税対策についてです。

前回の現状を踏まえ、自宅をマンションにした場合、どれぐらい税金の圧縮効果があるか見てみましょう。

▼前回の振り返り

前提は以下の通りでした。

(設定)
現在Aさんが、現金1億円と自宅(土地評価額1億円・建物評価額1,000万)を所有していたとします。※土地は、敷地面積×路線価で1億円と仮定してます。
また家族構成は、Aさん、奥様、子供2人の4人家族とし、Aさんが亡くなった場合の相続税を考えてみました。

前回の計算で現状の相続税額を把握できました。

そして、今回相続税額を圧縮するということですが、圧縮するためには、Aさんが亡くなる前に資産を減らす必要があります。
流れとして、Aさんが生前にマンションを建築し、資産を減らし、相続税対策になるということです。
※Aさんが亡くなってから、相続人がマンションを建てても対策にはならないので、ご注意ください。

▼マンション建築の評価額

仮に1億円のマンションを建築した場合を考えてみます。

Aさんの資産は、マンションを建築することにより現金は、1億−1億=0円となります。

では不動産は、どうでしょうか。

まず土地から見ていきます。

土地については、1億円の評価でしたが、マンションという他人が住む建物を建築します。

そのため、自分で使っているのではなく、他人が使うことに対して、土地の評価減があります。

公式は以下の通りです。

貸家建付地の価額 = 自用地としての価額 - 自用地としての価額 × 借地権割合 × 借家権割合 × 賃貸割合

急にキモい公式が出てきました。

大丈夫です。一つ一つ見ていきます。

①貸家建付地(かしやたてつけち)についてです。
今回のようにAさんが所有の土地にAさん名義のマンションを建てることを指します。
文字のままで、貸家(人に貸す)を建付地(土地に建てる)ということです。

先程申し上げた通り、Aさん所有の土地に他人が使う(住む)建物を建てるため、他人の住む権利が発生するので、その部分を計算しています。

②自用地としての価格についてです。
その名の通り自分の土地の価格です。今回の場合だと土地1億円を指します。

③借地権割合についてです。
まず今回のケースだと、Aさんが所有の土地にマンションが建ってるわけですが、そのマンションに住む方の権利は、建物と土地に及びます。今回の借地権割合とは、住む人(借地してる人)の土地の権利を考慮しますという内容です。
では、どれぐらい権利があるかというと場所によって異なります。
先日の記事の路線価をご紹介したと思いますが、その路線価を調べた時にCとかDとかアルファベットが書いてあります(300Dのように)。
このアルファベットが、借地権割合を表しており、Cであれば70%、Dであれば60%です。
他にもありますが、ここでは割愛します。
ちなみに300Dと書かれていた場合は、道路の値段が300,000円で借地権割合が60%の場所となります。
私の経験則ですが、Dのエリアが非常に多いです。

④借家権割合についてです。
今度は、借家ということですので、Aさん所有のマンションに他人が住むということですので、その権利が発生します。
借家権割合は、借地権割合のようにエリアで変わるということがなく、30%と決まっています。

⑤賃貸割合についてです。
賃貸割合とは、Aさん所有のマンションに入居者が入っている割合になります。
Aさんが亡くなる直前の入居率ということです。例えば10室あるうちの5部屋しか入ってなければ、賃貸割合は1/2になりますし、満室であれば、賃貸割合が、10/10のため1となります。

それぞれの文言について、確認できたので、実際に計算してみましょう。
※借地権割合60%、賃貸割合は、1(満室想定)とします。

1億(自用地としての価額) - 1億(自用地としての価額) × 60%(借地権割合) × 30%(借家権割合) × 1(賃貸割合)=1億 - 1,800万 =8,200万
となります。

これで、まずマンションを建築することで、土地の評価が、1億円から8,200万になり、1,800万の資産圧縮になりました。

続いて建物評価です。

前回記載したように、建物は建築した瞬間中古になり、評価が5〜6割になるので、
建物の評価額をここでは、6割の6,000万と仮定します。(この時点で、もともと1億かけてるので4,000万の圧縮)

▼まとめ

Aさんの資産は以上を踏まえると、

(マンション建築前)
現金=1億円
土地評価額=1億
建物評価額=1,000万
合計=21,000万

(マンション建築後)
現金=0円
土地評価額=8,200万
建物評価額=6,000万
合計=14,200万

となります。

▼建築後の相続税額と圧縮額

こちらを計算していきます。

まず、遺産額から基礎控除を引きます。
14,200万-4,800万=9,400万

家族構成をもとに、前回同様法定按分していきます。

まずは相続税課税対象額は、
母:4,700万(1/2)
子:2,350万(1/4)×2
になります。

それぞれの税額を見てみましょう。
母:4,700万×20%-200万=740万
子:2,350万×15%-50万=302.5万×2=605万
合計:1,345万

参照:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4155.htm

(マンション建築前の税金)
母:1,730万。
子:610万
合計:2,950万

上記を比べると
2,950万-1,345万=1,605万の相続税額を圧縮できたことになります

このように、相続税額が下がるため、マンション建築による相続税対策が行われるということになります。

▼最後に

今回のシリーズの目的は、

①相続税って言葉を聞いたことない人に知ってもらう
②新聞とかで相続税対策によるアパート・マンション建築が加熱してるという背景を知って頂くきっかけになってほしい
③ハウスメーカー入社の若手社員に向けたもの

の3つです。

少しでも、お役に立てて頂けると嬉しく思います。

ではまた。

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