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映画日記〜アーリーキャット〜

何時もnoteをお読み頂き有難う。今回は番外編。「アーリーキャット/榊英雄」滅茶苦茶面白い話。面白いことを求めてnoteに辿り着いたみんな。気に入って頂ける映画。窪塚洋介×降谷建志が1人の女の為に戦う。

野良猫を通じ知り合った2人の男。1人の女を守るために戦う2人組。聞くのみでも眠る少年心が騒ぎ出す方も多い。2人は秀晃をマル、郁巳をリリィと互いに呼び合う。ストーカー被害に悩む片親の護衛。仕事を引き金に彼女を取り巻く闇社会のいざこざへと巻き込まれる2人。

一大事に見舞われた時にリリィの名前を呼ぶマルの声。瞬間現れポコポコと間抜けなパンチを繰り出すリリィ。守るべきものの手を引き夜を駆け抜ける。

瞬間が重なる程に2人は他人〜相棒へ変わる。はみ出し者たちの英雄的行為。2人は闘争、取引の世界に生きる訳ではない。野良猫のよう何処にでもいるはみ出し者。マルは心に鍵をかけたまま何処か諦念の中を生きる人。

一方リリィは猫のように素直で怒りっぽいのに人懐っこい。2人は正反対でなく寧ろ同じ。愛情よりも愛着。1つ1つ消し去れないまま進む中1人が2人になる。必然でない愛おしさのある関係。

劇中2人は片親を住む街から遠く離れた東京へ送り届ける。彼女は遂に闇社会に飲み込まれる。片親の護衛を諦め帰る車の中リリィがマルに言う。「やっぱボクサーとして死んだ方がかっこよかった」命知らずな選択。愛着、愛、矜持の為なら選ぶまでもなくあり。

効率的じゃない生き方の美しさ、清らかさは愚鈍。彼らを平和から引き摺り下ろす。叫びながら引き返した高速道路は彼らの為に全ての光を宿す。周到に用意された世界組織もあなたの一晩の劇的の為、血まみれのあなたを愛してるの為に存在。

デジタルであらゆる色で撮られたはずの画面。何処か登場人物と一定の距離感を保つ。他人事に映される。何時か憧れたジャームッシュ、ヴェンダースの白黒フィルムのよう淡々。

2人の駆け抜ける世界。見えないザラつき。心の視神経を辿り何時か思い返したら白黒。間違える。1人で笑いながら私は1番新しいロードムービーの世界に浸る。

野良猫。そう。他人様。あなたが1口僕の窓辺で飯を食べたあの日、名前を呼んだらたまたま返事したあの日。絆より前に放っておけない。

文句を言い、手を引く。何時かそれが当たり前。愛着は誰にでも生まれるものではない。愛着を誤魔化す。特別の言い方の1種。なのだと思います。

放っておけない者同士。言い合いをする2人。上空を飛行機が横切った最初の場面。1回りし帰る。最終場面の時間の中、初めて言葉でマルはリリィをとても気に入って居たと思う。

瞬間の愛おしさがSomebodyがbodyになったことを教える。物語の結末が幸福か如何かは分からない。リリィがマルに格好よく生きてと強請って歩道橋を蹴っ飛ばした時マルは幸福な人。

格好よく生きて。誰かが言い放つ人生は必ずそうしなければいけない。運命で決まる。勿体無い位の美しさを持つ。初共演の2人の間に流れる空気感、映画が丁寧さ、情熱の相反する揺らめきに任せて撮られたと教える。

監督自身俳優。役者1人1人と対話。重ねながら柔軟に現場の空気を生き残る制作をする。

私も榊組の作る現場の中を生きる。時の厳しさ、暖かさは役柄を超えて自身の人生の奥までを照らし合わせるのを手伝う。本作でも登場人物1人1人に重なる役者自身の魂の鼓動に耳を澄まる。更にどんどん面白く味わい深い作品。

映画中で出会った人々同士が放っておけない者同士になる。現場では俳優陣、製作陣がみんなで1つの空気を作る。語られた愛着物語。

心の1番奥にありすぎて忘れる純粋さ、ダサくて危うい美しさ。ロードムービーとして焼き残す。感謝する程格好よく生きる。ぼやいたあなたは是非。

今回初めて2人組を組んだ窪塚×降谷の間に生まれた香ばしい空気感を味わうのみでも深く価値がある。男の友情にtkmkたい子是非。本作は魂のこもった作品。あなたの心に触れることが可能。是非映画館に足を運んで。

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