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モンテッソーリ教育について調べてみたら、いつも理学療法士として考えていることと同じことばかりだった

『モンテッソーリ教育』というものをご存知でしょうか。

マイクロソフトのビル・ゲイツ氏や、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ氏、最近では将棋の藤井聡太さんなんかが受けていたということで話題になっていたりします。

うちの子どもにこの『モンテッソーリ教育』を受けさせているとかではないのですが、インターネットで簡単に手に入る範囲で情報を集めてみました。

すると、普段から理学療法士として考えていることと一致することが多く、子どもの教育も、高齢者に対する理学療法(リハビリテーション)も、結局のところ人間の可能性を信じるところが大切なんだな、と感じました。

今回は、日本モンテッソーリ教育総合研究所のHPで紹介されているモンテッソーリ教育の理念や方法と、理学療法士として考えていることを対比させ、どんなところが有効と考えられるのかを書いていきたいと思います。

育児をする方はもちろん、育児はしないけれどリハビリテーション関連職種をしているという方にも、どちらにも読んでいただきたいと思っています。

この記事を読むと、
●モンテッソーリ教育が何なのか、基本がわかる
●モンテッソーリ教育と理学療法(リハビリテーション)との類似点がわかる
●大人としての子どもへの関わり方、リハ職としてのクライアントへの関わり方に、新しい視点が得られる


モンテッソーリ教育とは何なのか

まずは、そもそもモンテッソーリ教育って何なの?と思われると思うので、公式HPに書かれている文章を引用しておこうと思います。

モンテッソーリ教育は、医師であり教育家であったマリア・モンテッソーリ博士が考案した教育法です。
「子どもには、自分を育てる力が備わっている」という「自己教育力」の存在がモンテッソーリ教育の前提となっています。歩くことを教えなくても、歩こうとしたり、積極的に環境に関わりながら様々な事柄を吸収していったりする姿は、子ども自身が自立に向かって、成長・発達していこうとする姿のあらわれといえます。この内在する力が存分に発揮できる環境と、自由が保障された中で、子どもは自発的に活動を繰り返しながら成長していきます。
モンテッソーリ教育の目的は、「自立していて、有能で、責任感と他人への思いやりがあり、生涯学び続ける姿勢を持った人間を育てる」ことです。その目的を達成するために、モンテッソーリは子どもを科学的に観察し、そこからえた事実に基づいて独特の体系を持つ教具を開発するなどして教育法を確立していきました。その教育法の確かさは、現代の大脳生理学、心理学、教育学などの面からも証明されています。
(日本モンテッソーリ教育総合研究所ホームページより)

ちょっと長いのでまとめますが、要するに子どもは自分自身で成長・発達していく能力を持っているので、環境を整え、子どもの自発性を尊重してあげる、ということだと理解しています。

そしてこの教育の目的は、「自立していて、有能で、責任感と他人への思いやりがあり、生涯学び続ける姿勢を持った人間を育てる」ことだそうです。

「生涯学び続ける姿勢を持った人間を育てる」

これこそ私がリハビリテーションを考える上で重要なことだと考えていて、最終的にはこの姿勢を再獲得できることが目標だったりします。


子どもの自発性を最重要視する教育方法

一旦、モンテッソーリ教育の内容に戻りたいと思います。

また、公式ホームページに書かれた文章を引用します。

モンテッソーリ教育は、教師(大人)の価値観で一方的に教え込もうとするのではなく、子どもの興味や発達段階を正しく理解し、子どもが触ってみたい、やってみたいと思う環境を適切に用意し、その環境と子どもを「提示」などによって結びつけ、子どもの自発的活動を促します。
子どもは、自分で選んだ活動に満足いくまで繰り返し取り組みながら様々な能力を獲得していきます。
(日本モンテッソーリ教育総合研究所ホームページより)

モンテッソーリ教育では、「教育」と言いながらも、日本で従来行われているような「教育」のように一方的に教えるということはしないようです。

そうではなく、子ども自身が選択できる機会や環境を与え、自発的活動を促すというのが教師(大人)の役割のようですね。

これ、すごく大切なことだと思うんです。

子どもでも、大人でも、自分のやりたくないことを強制されるのって普通に嫌ですよね。

大人であれば理性が働くのである程度は我慢しながら取り組めますが、子どもはそこまで自制して取り組むことは難しいです。

しかも、子どもの成長・発達には『最近接領域』というものがあると考えられています。

『最近接領域』についてはこちらの記事で書いているので、興味のある方はこちらをご覧下さい。

簡単に説明すると、子どもが次に獲得可能と予測される発達水準が『最近接領域』で、それに合わせた教育や発達の促しを行うべきだ、という考え方ですね。

モンテッソーリ教育の観点で考えると、子ども自身が選んだ活動=子どもが次に獲得できる発達水準、と考えられるのではないでしょうか。

全然獲得できないことはやってみようと思えないですからね。

そして大人はそれを見守る、最後まで取り組めるように援助する、という役割を持っていることになります。


子どもも大人も自発的な活動が大切

モンテッソーリ教育は子どもに向けたものですが、この考え方は大人にとっても大切なのではないでしょうか。

きっとこのnoteを読んでくださっているあなたは、自発的に選んで読んでくれていることと思います。誰かに「読め!」と言われて読んでいるわけではないですよね?

それが本来の人間の姿だと思うのです。

「生涯学習」という言葉があるように、人間は生きている限り学習を継続すべきです。

この「学習」というのは数学の勉強とかそういうのではなくて、生きていく上で獲得すべき知識や経験のことです。

もしかすると、子どもの頃から自発的に活動するという習慣がなければ、大人になってからその習慣をつけるのは難しいのかもしれません。

それがモンテッソーリ教育が大切にしている理念であって、目標としている人間像なのかもしれませんね。


リハビリテーションが必要な人は自発的な活動が難しくなっている

『リハビリテーション』という言葉は、日本語では『全人的復権』と訳されます。

一般的に「リハビリ」と言うと、ケガを治して生活や競技に復帰するためのトレーニングをイメージしがちですが、このイメージは本来の『リハビリテーション』の一部に過ぎません。

全人的復権と言うと訳がわからないと思いますが、人間として生きていくために必要な能力を再獲得し、人間としての権利を取り戻す、ということだと思います。

病気になったから、ケガをしたから、障害を負ったから、人間としての権利が失われるわけではありません。

そうではなく、そういった人間としての権利を自分で実感できなくなった人がリハビリテーションの対象になるのだと思います。

じゃあ、どうやって権利を実感できるようにするのか?

それが、自発的な活動を通して、生涯学習していけるような能力を取り戻す、ということだと思うのです。

自分が生きている環境と自発的に関わり、見つけた問題を自分で解決し、そのために必要な知識や経験を蓄積していく。

私たち理学療法士等のリハビリテーション関連職種は、これを手助けするのが仕事です。実際の生活場面や競技場面を想定し、環境を設定し、問題となりそうな要素を見つけ、解決できるようにお手伝いする。そういったやり方で。

これ、モンテッソーリ教育の考え方と同じじゃないですか?


まとめ

モンテッソーリ教育とリハビリテーションの理念を比較して、似ていると思った点について書いてきました。

子どもも大人も、自発的に活動することが大切だと思います。

それができなければ、リハビリテーション=全人的復権の達成はないと思います。

これから成長していく子どもの場合は復権ではなく、その人間としての能力・権利を新たに獲得していくということになります。

育児・子どもの教育に関わる方は、子どもの自発性を促し、子どもが自ら学んでいく能力の獲得を促してあげるのが大切だと思います。

リハビリテーション関連職種も、病気やケガを負ってしまった方が、自ら社会や環境と関係しながら、自分自身で選び活動していける能力を再獲得できるように促していくことが必要なのだと思います。

子どもも大人も、どちらも人間です。

人間に関わる仕事というのは、対象者の年齢に関わらず、その人自身を尊重して関わっていくことが大切なのではないでしょうか。


おわりに

日本モンテッソーリ教育総合研究所
参考にさせていただいたホームページです。




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